【特集】 驚愕的中国旅行術  
2007.05.14
族王の邸宅をホテルに 老北京料理、洗練された盛り付け バス、トイレの水周りも一新
成田 勝
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(写真左)中国のシンボル天安も広場はいつでも観光客で賑わう。
(写真右)四合院ホテルの伝統様式の小さなロビーに癒される。
 
どこに泊まるか
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マンション群の中の小公園に伝統的な民家を再建し保存。
 
北京オリンピックを控えて、ホテルの建築ラッシュが続いているが、外国人観光客に対応するため、政府は既存のホテルの格上げを図り、補助金を出してホテルの改装を奨励した。4星が5星になって宿泊料が上がったところで、簡単にサービスが追いつけるのだろうか。来年6月に宿泊料金の値上げが噂されている。
 中国旅行には思わぬストレスが溜まりやすい。とくに北京や上海などの大都市が問題だ。二極化が進む市民生活を目の前にし、声高で喧騒としか思えない話し声、道路を渡るときの緊張感、トイレ事情の悪さなど、小さいことだが積み重なると心身ともに疲れてしまう。このようなストレスを癒してくれるホテルを選びたいが、なかなか難しい。
 
多い「主」不在の部屋
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25階建のビルでマンションは8階以上、下はデパート。
 
私が仕事のために定宿としているのはウイクリーマンションだ。地下鉄環状線の北京駅と前門駅に挟まれた崇文門駅の都心の一等地にある。高級マンションとデパートの複合施設として香港の新世界集団が投資したものだ。この新世界デパートが核となって小型の繁華街に発展し、高級マンションが続々建設された。ところが、これらのマンションは夜になっても灯りがつかない。香港人や沿岸部の金持ちたちが投資目的で購入しているため、主の不在な部屋が多いのだ。価格は1平米3万元(45万円)にまで高騰している。
 
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1LDKのリビング。香港デザイナーのインテリアはシンプルでくつろげる。
 
この不在部屋を利用したウイクリーマンションが快適なのだ。ホテル型のサービスはマリオットホテルが請け負っているが、余計なわずらわしいサービスが何もないのが好い。何もない代わりに一歩外へ出れば何でも揃っていて不自由はしない。私が泊まる部屋は100平米の1LDK。余分な装飾は何一つない快適なスペースで、NHKの国際放送も見ることが出来る。標準料金は朝食付で1万3千円程度になる。
 
外国人専用ホテルに
 北京の旅行社の知人から、四合院形式の侶松園ホテルが6年前に改装してから、欧米人の客が増えはじめ、今では欧米人が80%、日本人が20%と外国人専用のホテルになっている。試しに泊まってみないかと勧められた。
 ところが、私は10年前に四合院ホテルの名にひかれて下見に行っていた。ユースホステルを兼業した古いホテルで、四合院のあれこれより、室内と水周りが薄汚れていて、泊まる気にはなれなかったと思い出した。
 
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胡同の灰色の壁にぽつんと開いた侶松園賓館の入口。
四合院とは明清時代からの北京の建築様式で、中庭に向かって東西南北に4棟の家屋があり、周囲を厚い壁で囲い、外に通ずるのは門だけである。この四合院が立ち並ぶ横丁を胡同と呼ぶ。侶松園は1850年代の蒙古族王「僧格林沁」の邸宅の四合院をホテルに転用したものだ。胡同の静かな環境は申し分ない。
 
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簡素な室内と天蓋付の寝台はまさに癒しの空間。
私が泊まったのは増築された2階の天蓋付の寝台がある25平米ほどの特色標準間だ。肝心のバス・トイレの水周りが一新されており快適で、宿泊料は朝食付約9千円強であった。
 
朝日を浴びながら食事
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中庭を挟んで魯迅が孫文に話しかけているようだ。
泊まってみてみれば、四合院形式を上手く利用して魅力的なホテルになっていた。中庭で朝日を浴びながら食事をしたが、テラスに置かれた魯迅と孫文のブロンズ像がよい雰囲気を演じていた。館内に置かれた伝統の中国家具類が古い様式をほどよく再現していて嫌味がない。
 
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中庭に朝食を持ち出して陽気に楽しむ米国人たち。
どんな食事を出すのか、友達たちを招いて夕食を共にしてみた。老北京料理で特別に変わったものはないが、桂魚の清蒸が特に美味かった。油が控えめで、一皿の料理の量も程ほど、盛りつけも洗練されていた。外国人宿泊客たちが磨き上げていったのではないかと思った。この外国人たちは胡同のある南鑼鼓巷(街)をさらに変えて行ったのである。
 
侶松園賓館 ☆☆☆  北京市東城区寛街板廠胡同22号
URL   http://www.the-silk-road.com  (英語・中国語)
電話   (中国) 86-10-6404-0436
(注)繁體中国語が文字化けの場合はエンコードを選択
 
北京旅行 ひとくちメモ
■ ホテルの格付け
 中国のホテルのグレードは、国家旅遊局が定めた基準により5つ星から1つ星まで格付けしているが、ミシュランの星のように認められた世界的標準ではない。古くなったホテルの星を格下げできずに、上海で新しくスーパー5つ星のホテルが格付けされた。とにかく星の数は目安に過ぎない。日航、全日空、JTBなどが中国向けのパックツアーで、料金帯によるホテルの格付けを行っているが、この方が実態に近い。

■ ホテルのチップは必要か
 中国のホテル料金にはサービス料が加算されているので、基本的にチップは不要だ。
北京、上海などのホテルでは荷物を届けにきたボーイがなかなか部屋から出て行かないことがある。チップが貰えるのを待っているのだ。天安門に近い5つ星のホテルでチップを置き忘れたら、バスルームのタオルが一枚足りない。三日目にチップを置いたらタオルが揃ったという経験をした。頼んだ内容に応じて5元から10元のチップを上げたほうが、ホテルライフをスムースするようだ。
 
 
成田 勝 (なりた・まさる)
1936年東京生まれ。
大手IT企業の宣伝部を経て、日中文化交流のため北京に5年間駐在。
帰国後も文化交流を継続し、2006年中国から「中日囲碁友好功労賞」を受賞。
 


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