そら飛ぶ庭
   

介護日記
 
2013.9.10 

Diary of Country Life
Nursing of My Parents

応募原稿読み

芥川賞、直木賞寸評

父、発熱す

大島  一洋 

ひまわり

■「坊っちゃん文学賞」
 
 今年は「坊っちゃん文学賞」の年で、先月末、ダンボール箱5個分の応募原稿が届いた。約350作。一次選考、つまり「下読み」は自分以外に、S氏とY氏がおり、1000本以上の応募作を三人で分けて読む。今年は最終選考日がいつもより2週間も早くなっているので、今月中に最終候補作8本を決めなければならない。
 1日15本のペースで読んでいけば、十分間に合う。その替わりDVDで映画を一本も見ることができなかった。一作ごとに〇、△、Х印を付けていく。〇と△だけを残しておき、Χはダンボール箱に戻す。〇も△もなかなか出てこない。下読みほどつらいものはない。ひょとしてすごい才能を見逃してしまうかもしれない、という不安がある。

ハイビスカス

■猛暑

  とにかく毎日暑い。夜中でも30度を下がらない日がある。エアコンはないので、扇風機だが、全然効果なし。座っているだけで汗がだらだら流れる。草刈りをするのも、陽が落ちるのを待ってからだが、それでも暑くて倒れそうになる。長くは続けられない。
 8月の後半になって、やっと夕立がくるようになった。それもわずかの時間。

おいらん草

■芥川賞

 藤野可織『爪と目』。なんだか尻切れとんぼのような終わり方だが、目に爪とくれば、十分に怖い。それも「あなた」という呼びかけ文体だから、後ろから刺される感じがする。

■直木賞

 
 『オール讀物』9月号で、直木賞受賞作『ホテルローヤル』を読む。短編連作集で、最初の「シャッターチャンス」を読んで、ちょっとがっかりしたが、「本日開店」「星を見ていた」と進むと、なかなかいい味わい。人間の貧しさ、くだらなさ、また幸せとは何かを教えられる。郊外のラブホテルを舞台に、ほどよい性描写とユーモアをまじえて書いている。よく考えられた文章だ。

 
彼岸花

■夏祭り

 今年の夏祭りは、12日が花火大会、13日が風流踊りと企業神輿の「おいでん祭」だった。花火大会は昨年より工夫がこらされて、りんご、ひまわり、綿あめを思わせる花火が上がった。

花火大会


「おいでん祭」は、昨年、雨で中止になったので、企業神輿に気合が入っていた。

「おいでん祭」の企業神輿

■藤圭子

 22日午前7時、藤圭子が新宿のマンションから飛び降り自殺してしまった。彼女は自分が『週刊平凡』時代の担当歌手である。1969年のデビューから、前川清との離婚まで取材した。その後、自分が『平凡パンチ』に異動したため、付き合いはなくなっていた。いろいろ噂は聞いていたけど。
 23日の夜「にしの」で藤圭子の歌を5曲歌って追悼。

ガーベラ

■「坊っちゃん文学賞」最終候補作8本決める


 応募原稿を読んだ結果、自分は〇が2作、△が3作。S氏から送られてきたものは、〇が3作、△が3作。Y氏から届いたのは〇が2作、△が1作。三人で電話会談をし、〇が7作で1作足りない。自分が△をすべて読み返し、1作選ぶことになる。どうにか最後の1作を決め、これで8本になった。寸評をつけてマガジンハウスへ宅急便で送る。

■半沢直樹

 毎週日曜日、夜9時から見るのが楽しみだ。かなり話題になって視聴率が30%を超えた。池井戸潤の原作だが、タイトルを「半沢直樹」としたところが、テレビ屋らしい発想で成功した。しかも、原作に反して父親を首つり自殺させ、それを見た半沢少年が復讐する、というストーリーが読めるようにしてある。「2倍返し」は流行語大賞だろう。
 視聴率2位の「あまちゃん」は、残念ながら一回も見たことがない。朝8時はまだ寝ている時間。

 

■本

  応募原稿読みで忙しいなか、『安部公房とわたし』山口果林を読んだ。噂は知っていたが、こんなに深い関係とは思わなかった。安部公房が亡くなったのは68歳。山口果林は24歳下だから、安部の死亡時は44歳。交際期間25年というから山口果林が20歳前に知り合ったことになる。現在66歳。

■「生楽館」

 父が38度の熱を出したのが心配だったが、レントゲン検査の結果、肺炎でないことがわかり、熱も下がってほっとする。
 父の物忘れがひどくなっている。5日前に大阪へ行く弟が面会に寄ったのだが、弟が来たこと自体を覚えてない。誕生日が9月25日ということは知っているが、それが来月であり、満100歳だということがわかっていない。
 自分が毎週水曜日に面会にきていることも忘れているようだ。まあ新聞もテレビも見ないのだから、今日が何日で何曜日かわからないのは仕方ない。ただ、週刊誌を持っていくと、非常に熱心に読んでいる。
 以前は自分が帰るとき、寂しそうな表情をしたが、最近はベッドに寝たまま「おおそうか」と言うだけになった。

歌集を読む父

 今月は「坊っちゃん文学賞」の応募原稿を読むだけで終わってしまった。
 来月の目玉は9月25日、父100歳の誕生日だ。            


                                                                (次回へつづく)


大島 一洋  (おおしま・いちよう)
1943年岐阜県中津川市生まれ。早稲田大学第一文学部美術専修科卒。
大和書房を経て、平凡出版(現マガジンハウス)に中途入社。「週刊平凡」「平凡パンチ」「ダカーポ」「鳩よ!」などの雑誌および書籍編集にたずさわり、2005年定年退職。現在はフリー編集者&ライター。著書に『芸術とスキャンダルの間』(講談社現代新書)。
 
 
 
 


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