そら飛ぶ庭
   

介護日記
 
2012.6.12 

Diary of Country Life
Nursing of My Parents

外食増える

父、食欲はあるが

独居生活の怖さ

大島  一洋 

しでこぶし
シャクナゲ

■夏の準備

5月1日(火)晴
 12時12分発の電車で多治見へ。バスに乗り換え1時40分頃「生楽館(きらくかん)」。父は元気でなんの変化もなし。持っていった饅頭を嬉しそうに食べた。「新アララギ」5月号を渡すと、ずっと読み続けていた。
 3時のバスで多治見駅。中津川へは4時半過ぎ着。
 我が家から坂道を上り、国道を渡って右へ行った所に「まき」という店ができたので、同級生の高木茂家を誘って夕食。この店は東京・新宿で居酒屋の店長をしていた長男が帰ってきてメニューを大幅に変えた。種類が多く、グラスワインもある。いい店で常連になりそう。
 夜、「にしの」。10時半帰宅。シャワー。「ラジオ深夜便」

5月3日(木)憲法記念日 曇
「田舎日記」69回目を送信。
 夜、DVD「デレデラ」を見る。楢山節考で捨てられた老婆たちが、生き残って老婆王国を作り、村に復讐しようとする話。浅丘るり子、倍賞美津子がすごい。

5月4日(金)みどりの日 曇
 本来なら多治見へ父の面会に行く日だが、土日祝日はバスの乗り継ぎが悪く、タクシーを使わなくてはならないので行かないことにする。
 買い物から帰って、風呂に湯を溜める。シャワーは毎日浴びるが、入浴は週に一回。それも夜は怖いので昼間にしている。入浴後、すぐに一週間分の洗濯。これが気持ちいい。
 ついでに坂道の落葉を掃く。
 夕食後、雑誌を読んだあと、8時半に「にしの」。10時半帰宅。雑誌を読み継ぐ。

5月5日(土)こどもの日 晴
 天気がいいので、昨日の洗濯物をもう一度干す。自分の冬物のシーツ、毛布、ふとんも干す。喫茶店「縹」とスーパー「アピタ」と回って帰宅。
 夕方、洗濯物を取り入れ、冬用の毛布、シーツを押入れに収納し、夏物に替える。
 夕食後、DVD「ザ・インター・プリター」を見る。シドニー・ポラック監督。ニコール・キッドマン、ショーン・ペン主演。以前に見たことがある。国連が初めて撮影を許可した映画で、完成までに2年もかかったとか。

池のアヤメ
てっせん

■寺島しのぶは美人か

5月6日(日)雨
 雨の中を歩いて「三洋堂」。DVD5本借りる。今日は六斎市のうえに中山道祭りで、出店も多く、イベントが企画されていたようだが、雨で中止というのもあった。
 夕方まで『文藝春秋』5月号を読み、読了。
 夜、DVD「キャタピラー」を再見。寺島しのぶが好演していることを再確認したが、『文藝春秋』5月号の「平成の美女ナンバー1」に選ばれるほど美女だろうか。美人であればいいというものではないけれど、藤純子の娘とは思えない。ま、美女の定義は顔だけではない、総合的な印象なのだろう。
 夜、「にしの」。客が誰もいなくなったので、高木茂家を呼びだしてカラオケ。二人で交互に6曲も歌ったら喉がガラガラになってしまった。

5月8日(火)晴
 馬島さんが、朝から草取りに畑と庭に入っている。
 12時12分の電車で多治見へ。「生楽館」に1時40分着。午前中に、短歌関係者二人の面会があったらしい。
 父に柏餅を食べさせる。父はこれが一番の楽しみのようだ。あとは届いた「現代短歌新聞」を渡すと、いつものように、じっと読んでいた。
 3時のバスで多治見駅。3時43分の電車で4時半過ぎ中津川着。「アピタ」で買い物して5時頃帰宅すると、馬島さんの草取りはほとんど終わっていたが、松の木の剪定と溝さらいがあるので、明日午後また来るとのこと。
「まき」で熊崎夫妻と夕食。
 8時半「にしの」。10時帰宅。シャワー。「ラジオ深夜便」

ホームでテレビを見る父
カンパニューラ

5月9日(水)曇のち雨
 午後1時頃買い物から帰ると、馬島さんが松の剪定をしていた。
 午後2時半、縁側に座ってもらい、馬島さんにお茶と饅頭、雑菓子を出す。
 4時頃すべて終了。きれいになった。
「はま」で夕食。
 夜、DVD「グッド・シェパード」を見る。ロバート・デ・ニーロ監督。マッド・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー主演。以前見たことがある。

5月10日(木)晴一時雨
『オール讀物』5月号の「城特集」で、文芸評論家の斎藤美奈子さんが、中津川の苗木城を推薦していたので、久し振りに自分も登ってみることにした。案内人は同級生で「苗木城友の会」のメンバーである高木茂家。彼の丁寧な説明を聞きながら歩くと、苗木城が天然の岩石を利用した素晴らしい山城であることがわかった。午後1時から夕方4時まで。
 夕食は焼き鳥の「いわき屋」。最近の夕食は外食が多くなってきた。よくない。
 夜、DVD「マンマ・ミーア」メリル・ストリープのミュージカルもの。途中で眠ってしまった。

苗木城天守閣から見た中津川市
苗木城の模擬天守閣
苗木城の石垣

■007シリーズ

5月12日(土)晴
 午後、「三洋堂」まで歩きDVD5本借りる。「007シリーズ」を最初から全部見ることにした。どうせDVDを見るなら、何かテーマがあったほうがいい。
 風呂の湯を洗濯機に送るポンプが壊れてしまったので、電気店「デオデオ」へ持っていく。結局、修理するより新しいのを買ったほうが早いというので、2400円の新品を購入した。
 帰宅して浴槽に湯を溜め入浴。新しいポンプはちゃんと動いた。洗濯。
 夜、「007シリ−ズ」の第1作「ドクター・ノウ」(1962年)と2作目「ロシアより愛をこめて」を見る。久し振りの再見だが、非常によくできている。「007シリーズ」が、以後の他の映画製作に与えた影響は大きいと思う。特典メニューが付いていて、製作裏話が面白い。

なんじゃもんじゃのき
 

5月13日(日)晴 母の日
 天気がいいので、昨日の洗濯物をもう一度干す。
「アピタ」の花屋でカーネーションを買い、仏壇を開けて供える。
 夜、DVD「ゴールドフィンガー」を見る。
 8時半「にしの」。10時半帰宅。

5月14日(月)晴
 午後、洗濯屋「はりぶん」へ冬のジャケット4着を出す。
 夕方まで雑誌読み。
 夜、「サンダーボール作戦」「007は二度死ぬ」を見る。後者は日本が舞台。浜美枝がボンドガール。丹波哲郎以外の日本人の英語は吹き替えだと、特典メニューの裏話で明かされている。

5月15日(火)雨
 雨の中、多治見の「生楽館」へ。毎月15日は先月分の請求書が渡される。4月分は医療費も含めて25万9070円。父の年金でほぼまかなえる。
 父に饅頭とお茶。郵便物。
 3時のバスに乗る。バスはきっちり3時にくるわけではなく、5分から10分遅れる。バス停に屋根はないので、雨の日は気分が悪い。4時半過ぎ中津川着。
「まき」で夕食。帰宅して雑誌を読んでいるうちに、うたた寝。
 8時半「にしの」。10時半帰宅。やっと雨が止んだ。

髭を剃る父
矢車草

■別役実の芝居

5月16日(水)晴
「三洋堂」まで歩き、「007シリーズ」6本借りる。
「梅の木」「アピタ」と回って午後1時半帰宅。台所とトイレに掃除機をかける。
 夜、「女王陛下の007」を見る。この回だけボンド役は、ジョージ・レイゼン。特典メニューまで見たら10時だった。

5月17日(木)曇、夜雨
 午後、買い物から帰ったあと、坂道の落葉を掃く。石垣の隙間の草取りをする。取っておかないと根を張って、石垣が崩れる心配がある。ついでに家の周囲に除虫剤を2本撒く。ムカデや他の虫が家の中に入ってくるのを防ぐため。
 ここまで一気に働いたら、さすがに疲れた。
 夜、「アニー・ホール」という欧風創作料理の店で還暦合唱団の懇親会。16人(男女8人ずつ)集まった。ビール、赤、白ワインを飲んで酔った。10時過ぎに解散し、歩いて帰る途中で雨。「にしの」に入って少し飲み、傘を借りて11時帰宅。

あおい
アマリリス

5月18日(金)雨のち晴
 12時12分発の電車で多治見へ。バスに乗り継いで1時40分「生楽館」着。父に郵便物と饅頭。2時半に父の入浴タイムで介護師がくる。浴室の前まで車椅子で送る。
 3時のバスで多治見駅。4時半過ぎ中津川着。
「いわき屋」で焼き鳥。
 夜、DVD「ダイヤモンドは永遠に」を見る。ボンド役にショーン・コネリーが復活したが、これでボンド役を降りると、特典メニューにある。
 8時半「にしの」。満員なので「いちりき」へ。ここも満員。一つだけあいていた椅子に座る。11時過ぎ帰宅。昨日、今日と飲み過ぎ。

饅頭を食べる父
カルミア

5月19日(土)晴
 午前10時、高木茂家の車で福岡の「常盤座」へ。劇団「夜明け」の定期公演で、同級生の磯貝啓子が出ているので見にいく。「常盤座」は歴史が古く渋い作りの芝居小屋だ。出し物は小山内薫作「息子」と別役実作の「虫たちの日」。啓子ちゃんは後者に出ていた。老いた夫婦の二人芝居。細かいところで笑わせるが、別役実が普通の芝居を書くわけがない。最後のオチを、客のどれだけがわかっただろうか。
 正午過ぎに帰宅し、パジャマに着替えて仮眠。
 夜、8時「かかし」。名古屋から同級生の纐纈が鮎釣りに来ているのでミニ同窓会。纐纈の本日の釣果は26匹とか。今夜は車の中で寝て午前2時に場所取りのため付知川へ行くそうだ。11時半帰宅。

5月20日(日)曇
 入浴。洗濯。
 夜、DVD「死ぬのは奴らだ」を見る。ボンド役がロジャー・ムーアになった。
 8時半「にしの」。10時半帰宅。「ラジオ深夜便」

白い藤
エビネ

■「坊っちゃん文学賞」の効用

5月21日(月)晴
『群像』6月号に新人賞の発表。岡本学「架空列車」。この岡本学という人は「坊っちゃん文学賞」の最終候補に二回なったことがある。
 昔『GO』で直木賞を受賞した金城一紀も「坊っちゃん文学賞」の最終候補になったことがある。
 つまり、下読みが間違っていないということと、「坊っちゃん文学賞」が次の賞へのステップになっているということだ。これは悪いことではない。
 夜、DVD「黄金銃を持つ男」「私を愛したスパイ」を見る。

5月22日(火)曇のち雨
 多治見の「生楽館」へ行く。父は膀胱がんだから胃腸には関係ないため、食欲は旺盛だ。
 4時半過ぎ、中津川着。「いわき屋」で焼き鳥の夕食。
 夜、DVD「ムーン・レイカー」を見る。「007」ものは、時々小さなアイディアがかぶる(例えばカーチェイスやボートチェイス)が、毎回必ず新しい工夫をしているところが偉い。スタントマンもすごいし、スタジオ内に巨大セットを作ってしまうデザイナーも素晴らしい。映画がヒットして資金が豊富なのだろう。
 ロジャー・ムーアのボンドはユーモアがある。     

外の風景を眺める父
オダマキ

5月23日(水)晴
 午後「三洋堂」まで歩いて「007シリーズ」のDVDを借りる。「梅の木」「アピタ」と回って1時半帰宅。夕方まで読書。
 夜、DVD「ユア・アイズ・オンリー」「オクトパシー」の2本を見終わったら11時。よくもまあ、これでもかこれでもかと、ヒヤヒヤさせてくれる。

5月24日(木)晴
 午後、洗濯屋「はりぶん」で冬用の長袖シャツ3枚受け取る。「縹」「アピタ」と回って1時半帰宅。夕方まで雑誌読み。
 夜、DVD「美しき獲物たち」ロジャー・ムーア最後のボンド役。続いて「リビング・デイライツ」を見る。ティモシー・ダルトンが新しいボンド。なんだか違和感がある。
「007シリーズ」は出演する女性がみんな同じに見える。最初は髪の色で見分けていたが、あまりたくさん出てくるとわからなくなる。次第に今回のボンドガールはこれかと知れるのだが。欧米人が東洋人はみな同じに見えるというのと同じことだ。

5月25日(金)曇のち雨
 午後1時40分、「生楽館」。父を車椅子に乗せて散歩に出ようとしたら雨。仕方なく一階のリハビリ・コーナーで外の風景を眺める。すると父が突然、妙なことを言い始めた。「あそこにクルマ走っとるやろ。あの道を上っていくとな、湖と公園があって、ええとこやぞ」
 自分は知っているが、道の上は住宅地で湖も公園もない。おそらく父の過去にあった風景に似ているから、思い出して喋ったのだろう。
 4時半過ぎ中津川着。
 夜、DVD「消されたライセンス」を見る。ティモシー・ダルトンのボンドは人間性というか感情が入りすぎて面白くない。

5月27日(日)晴
 入浴、洗濯。
 夜、DVD「ゴールデンアイ」を見る。今回からボンド役はピアース・ブロスナン。ティモシー・ダルトンよりはマシか。
 ベルリンの壁が崩壊したため、このてのスパイものは作り難くなっている。
 8時半「にしの」。11時帰宅。

つつじ

■突然倒れる

 5月28日(月)晴時々雷雨
「三洋堂」まで歩き「007シリーズ」最後の5本を借りる。
 午後2時に同級生の工藤昌樹が迎えにきて、東美濃ふれあいセンターまで「前田青邨賞記念大賞展」を見にいく。入選作103点が展示してあった。応募総数300点だそうだから、3人に一人入選というわけだ。青邨賞や特別賞はやはりいい作品だった。
 突然、雷雨が襲ってきた。しばらく待ってやり過ごしたあと、野球場や陸上競技場、工業団地などを見てまわる。
工藤の家の近くで夕食。7時に東町まで送ってくれた。
DVD「トゥモロー・ネバー・ダイ」を見る。核ミサイルを使って、イギリスと中国に戦争をさせようという話。ボンドガールは中国人。

5月29日(火)晴
 午後1時40分、「生楽館」。父は調子が悪そう。「体がえらい」「頭が重い」「風呂入りたくない」などと言う。ただ、食欲があるから大丈夫だろう。
 4時半過ぎ、中津川着。
 夜、DVD「ワールド・イズ・ノット・イナフ」を見る。「007シリーズ」19番目の映画。ボンドがボンドガールを射殺してしまう。よく出来ているが、ちょっと飽きてきた。
 8時半「にしの」「いちりき」とはしごして11時半帰宅。

5月30日(水)晴
 午後「はりぶん」にドテラを出す。「梅の木」「アピタ」と回って1時半帰宅。坂道の落葉を掃く。
 夜、DVD「ダイ・アナザー・デイ」を見る。北朝鮮が舞台。新しい工夫は波乗りダイバーとフェンシング。都合のいいものも出てきた。なんと消えてしまう車。Qというボンドの小物作りの学者作ったものだが、ここまでくるとリアリティがない。

5月31日(木)晴
 昼食にそばを茹でて食べようとしたとき、ガスの元栓を閉める際、まだ少し出ていたガスを一瞬吸ってしまったらしい。膝をつき、肩から倒れる。茶の間まで這っていき、しばらく休んだら治った。脳溢血か脳梗塞かと思った。独居生活は注意しないと危ない。
 夜、DVD「カジノ・ロワイヤル」「慰めの報酬」(2008年)を見る。ボンド役はダニエル・グレイグで、かなり残酷なキャラクター。この評判が悪く、「007シリーズ」は終了となった。
 新藤兼人監督死去。100歳、老衰。

紫のてっせん
薔薇

 今月は「007シリーズ」全22本を見ることで終わってしまった。全部見たのに、今、内容を覚えている作品は数本しかない。ああ、物忘れのひどさよ。
 

(次回へつづく)


大島 一洋  (おおしま・いちよう)
1943年岐阜県中津川市生まれ。早稲田大学第一文学部美術専修科卒。
大和書房を経て、平凡出版(現マガジンハウス)に中途入社。「週刊平凡」「平凡パンチ」「ダカーポ」「鳩よ!」などの雑誌および書籍編集にたずさわり、2005年定年退職。現在はフリー編集者&ライター。著書に『芸術とスキャンダルの間』(講談社現代新書)。
 
 
 
 


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