そら飛ぶ庭
   

介護日記
 
2011.12.6 

Diary of Country Life
Nursing of My Parents

映画三昧

父ゆったり、自分せっかち

尿瓶を買う

大島  一洋 

庭のどうだんつつじ
庭のわびすけ

■「スター・ウオーズ」

 雑誌「ブルータス」10月15日号に刺激されて、「スター・ウオーズ」全6本をDVDで見ることにした。これまでは子供向けのたわいないファンタジー映画だと思っていたが、とんでもない誤解だった。こんなに面白いとは。驚き。
 この映画は公開順に見ていかないと意味がないと思う。「ダース・ベイダー」は何者だったのか、というのが主題だからだ。だんだん過去に遡っていき、「エピソードT」ですべてがわかる仕掛けになっている。登場するロボットや妖怪のキャラクターも素晴らしい。ジョージ・ルーカスの才能に降参である。
 にしても、この歳で「スター・ウオーズ」とは遅すぎるよなあ。

これも菊
これも菊です

■DVD辞典

 内田樹『うほほいシネクラブ』(文春新書)が役に立つ。『日本辺境論』や『下流志向』の著者が187本の映画を批評した400ページの新書である。ここに載っている映画のDVDを「三洋堂」で借りて見ている。まさにDVD辞典。この本によって素晴らしい映画を何本も知ることができた。以下に記す。
「ダニー・ザ・ドッグ」
「コンスタンティン」
「Vフォー・ヴェレンデッタ」
「シルク」
「きみに読む物語」☆
「トンマッコルへようこそ」☆
「ソーシャル・ネットワーク」☆
「グラン・トリノ」
 ☆印がオススメ。ハズレもけっこうあるが、この本がなければまず見ることがなかっただろう映画を堪能できている。全部見るにはずぶんかかるだろう。その分読書が減る。読書は眠くなるが、映画は眠くならない。安易に流れているのかもしれない。

茶の間で新聞を読む父
つわぶき

■夢日記

 毎日午前中1時間仮眠しているが、眠りが浅いせいかよく夢をみる。忘れないよう目覚めてすぐメモしている。心地よいのもあれば、不快なのもある。いくつか紹介する。
★キャッシー中島が出てきて、自分の隣に座り、巨大な尻でぐいぐい押してくる。彼女はデブだが、自分はデブセンなのであの体型は好きだ。押されてベンチから転がり落ち、彼女が自分の上に乗っかった。その重さで目が覚めた。勃起していた。
★坂道を下りていくと大きな湖に出た。湖の真ん中に尖った島がある。視点が変わって、自分はその島にいる。頂上から溶岩が流れてきて追いかけられる。ドボンと湖に落ちたところで目が覚めた。
★東京にいる妻が別の男と暮らしているらしい。男は出てこないが、彼女のいる部屋には男と住んでいる気配がある。彼女が何か喋っている。「こういうことになっちゃたのよ」みたいな感じ。「ほう、そうかい」と自分が答えると「そうなの」と言って妻は遠ざかっていった。そこで目覚めた。気分悪し。
★父と母と弟が電車に乗っているのに、自分だけホームにとり残されて泣いている。子供のころからよく見る夢だ。
★東京の仲間たちが10人くらいで宴会をしている。そこへ自分が入っていくと、みんなが奇妙な顔で見る。自分だけ招かれていなかったらしい。せつない。東京へはもう一年以上帰っていない。

コタツに突っ伏して眠る父
大文字草

■トイレ問題

 父と二人だけで暮らしているのに、なぜかトイレでぶつかる。朝6時頃目が覚めてトイレに行くと、父が入っている。小便を便器の外に漏らしたらしく、トイレットペーパーをタイルの床に敷き詰めて吸わせ、便器へ流す作業をしている。仕方なく自分は寒い庭で放尿する。これがほとんど毎朝。
 失禁した場合はパンツを洗濯機の中に放り込んである。ある日など午前中だけで4枚のパンツとジャージーのズボンが入っていた。あわてて洗濯した。
 ある朝は、自分が便器に座っていると、父がやってきた。さっとすませて父に替わろうとしたが、父は我慢できないのか、台所の勝手口で放尿していた。寒くなって頻尿が激しくなっている。しかも父はそれを自分に隠そうとする。まだプライドがあるのだ。
 もう98歳なのだから、絶対に怒らないようにしている。怒っても意味がない。ただ、尿瓶を買ってきてトイレに置いておく必要があるかもしれない。ポータブルトイレは父のベット脇に置いてあるが、一度も使った様子がない。
 逆の場合もある。父が便器に座ったままなかなか出てこない。自分は便意をじっと我慢して待つことになる。庭で排便するわけにはいかない。

数珠サンゴ
庭の柿 今年は豊作

■同級生たちの死

 大学時代の同級生が二人亡くなったとの知らせ。一人は登山中の事故死。もう一人は心筋梗塞とか。他に大腸がんの手術をしたのが二人。みんなそういう年齢になってきたということだ。
 自分は父が生きているかぎり、死ぬことも病気になることもできない。そう考えているから結膜炎とアルコール性肝炎くらいでおさまっているのかもしれない。

茶屋坂の紅葉
デュランタ

■弟来る

 今月は弟が二回帰省した。すべて彼の短歌の仕事がらみである。墓掃除には行ったが、あまりゆっくり話す時間はなかった。まあ父が喜んでいたので助かる。
 弟が自分に言った言葉が気になっている。「もうちょっとぐうたらしたらどうか」。確かに自分はせっかち過ぎるきらいがある。父がどんどんゆっくりになっていくので、差が開いてしまい、ときどき父が不機嫌になる。食後の器洗いなど、父のぶんもさっさと洗うので「そうあわてるな」と怒られる。
 弟が来ると、和室にふとんなどを準備しなければならないし、朝の食事など面倒なことが増えるのだが、気分的には弟がいると落ち着く。また、不思議なことに、弟が来ている間は、父が失禁しないのだ。緊張するせいか。

父と弟
弟と墓掃除

■トイレ問題その後

 父に相談せず、尿瓶を買ってきてトイレに置いた。父は何も言わず、使っているようだ。トイレの床が濡れなくなった。自分の意図を察してくれたのが嬉しい。

うたた寝する父
庭に実った柚子

■今月の精算

 支出合計は12万3252円。このうち馬島さんに払った庭木の剪定代が2万5000円あるので、実質生活費は10万円以内でおさまっている。
 今月も無事おわった。相変わらず同じことの繰り返しなので、日記を書くのに苦労する。
 さて12月。5年連用日記が最後の月になった。田舎に来てから5年以上たったことになる。 

庭の山茶花
クリスマスホーリー
                         

(次回へつづく)


大島 一洋  (おおしま・いちよう)
1943年岐阜県中津川市生まれ。早稲田大学第一文学部美術専修科卒。
大和書房を経て、平凡出版(現マガジンハウス)に中途入社。「週刊平凡」「平凡パンチ」「ダカーポ」「鳩よ!」などの雑誌および書籍編集にたずさわり、2005年定年退職。現在はフリー編集者&ライター。著書に『芸術とスキャンダルの間』(講談社現代新書)。
 
 
 
 


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