そら飛ぶ庭
   

介護日記
 
2011.11.8 

Diary of Country Life
Nursing of My Parents

父、転倒怪我

中性脂肪500も下がる

読書量落ちる

大島  一洋 

近所を散歩する父
金木犀

■大出血

10月6日(木)晴
 午前中、洗濯。
 午後、父が床屋へ出かけた。留守の間に、父の寝室、茶の間、和室、廊下に掃除機をかける。
 3時過ぎ、台所に入り、夕食の準備を始めていると、同級生から電話。父が「吉田米店」の前で動けなくっているという。太田町にある50年間行きつけの「原理容室」へ行くつもりだったようだが、「吉田米店」は家からわずか100メートルほどの所。杖を使えばある程度歩けると思っていたが、ついにダメな日が来たか、と走っていく。「吉田米店」の前に5,6人が集まって父を支えている。「大丈夫か」と聞くと「大丈夫や」と言うので、とにかく家へ戻ることにした。集まっている人たちにお礼を言って、父の腕をとって歩き始める。杖の使い方が危ない。「もっとゆっくり歩いたら?」と言うと「ゆっくり歩けんのや。足がどんどん先へ出よる」との返事。膝が効かなくなっていて足の動きを支えられないのだ。あっという間に右膝から崩れ落ちた。自分は父の左腕を抱えていたが、倒れるのを止めきれなかった。
 どうにか「高木酒店」の前まで連れていき、ビールケースに座らせる。骨が折れたり、ヒビが入った気配はないので救急車を呼ぶ必要はないと判断する。
 ここから家まで坂道を上らねばならない。しばらく休むというので、自分は家へ行き、ヘルパーさんがいつ来てもいいように準備して、父のところへ戻った。よく見ると父のジャケットとズボンに血がついている。右肘と右膝を打ったようだ。坂道をゆっくり上がる。こういうときは手助けしない。父が慣れた上り方にまかせたほうがいいのだ。
 玄関にたどりついたところでヘルパーさん来る。台所をまかせ、父の傷の具合を見る。ジャケットとシャツを脱ぐとすごい出血だった。ウエットティッシュで拭きとる。大出血に見えたが傷そのものはたいしたことなかった。
「まるみ薬局」へ走り、大型バンドエイドと包帯を買ってくる。右膝は擦りむいた程度。出血もおさまって、とりあえず一安心。
 夕食も普段通り、きっちり食べた。
 その後、毎日包帯を換え、5日目からバンドエイドをやめ、化膿止め軟膏と包帯だけにする。7日目には包帯もはずした。全治一週間ですんだ。内出血した部分があるが、入浴すると少しずつ消えていった。
 大怪我でなくてよかったが、今後、杖での外出は無理なので、車椅子を介護保険で頼むことにした。

父の車椅子
コスモス

■車椅子拒否

10月12日(水)晴
 午後、買い物から帰ると、父が床屋へ行く準備をしていた。車椅子は使わずタクシーで行くと言う。車椅子に乗っているところを他人に見られたくないらしい。
 杖を使って坂道を下りたので、タクシーを呼んできて乗せる。太田町の「原理容室」の前で降ろす。店主に、終わったら連絡くださいと伝える。
 40分後に「原理容室」に電話すると、今終わったところでマッサージしてます、というので、タクシーで迎えにいく。「高木酒店」の前で降り、坂道を上がる。見ていてはらはらする。もうこの坂道の上り下りは無理かもしれない。坂で転んだら、骨折入院だろう。

坂を上る父

■血液検査結果

 禁酒してちょうど一か月たったので、可知医院で血液検査。数値は良くなっているだろうと思っていたが、意外なほど下がっていた。ガンマGTPは362。100下がった。中性脂肪347。なんと500も落ちた。可知先生に褒められたが「それでも普通よりはまだ高いですからね」と釘を刺される。
 これで一応の目安がついたので、今後は飲み方に注意する。ゆっくり飲むこと。これが一番。意地汚く飲まないことを心がける。

孔雀草
千日坊主

■見たDVDと寸評

「アデル」フランスのコミック・アドベンチャー。ハリウッドに完敗だ。
「海猿 ラストメッセージ」おなじみの出来具合。
「ディア・ドクター」西川美和監督作品。瑛太という役者を初めてきちんと見た。
「レスラー」ミッキー・ロークの体が、本当に壊れそう。自分の考える名画が一本ふえた。
「踊る大捜査線2」まずまず。今、ネットの世界がどうなっているかを見せつけた。
「完全なる報復」見せどころは多いが疲れる。
「ストーン」ロバート・デニーロ主演の心理サスペンス。大きな事件は起こらないが見応えあり。
「狼たちの処刑台」昔見たチャールズ・ブロンソンの「狼たちの午後」が思いだされるが、これは主人公が70歳過ぎの老人というのがミソ。元海兵隊員だが、息をきらせながら不良少年たちを処刑していくのが面白い。
「死刑台のエレベーター」1957年のルイ・マル作品の日本版。
「TSUNAMI」韓国映画。津波より人間関係が主体で、ワー、ワー、キャー、キャーわめく演技が自分には合わない。
「純喫茶磯辺」仲里衣紗という女優を見る。こういう演技をしていると、他の映画に出られるのだろうかという気がする。
「クロッシング」三人の立場から描いていき、最後にクロスするという趣向。ウェズリー・スナイプスとリチャード・ギアがいい。
「エクスペンダブルス」シルベスタ・スターロン監督・主演。ジェンソン・スライサム、ミッキー・ローク。ちょい役にブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツネッガーが出ており、豪華だ。内容はスターロンお得意の傭兵アクションもの。
「パリより愛をこめて」ジョン・トラヴォルタ主演。ピエール・モレル監督。テンポよく銃撃戦も見せる。相棒ものとしてもよくできている。
「ゲーム・オブ・デス」ウェズリー・スナイプス主演。CIA内部の裏切り劇。スナイプスがいい。気に入った。

しおん

■父が一日二食に

 父が朝寝坊になり、なかなか起きてこない。11時頃にやっと朝食を食べはじめる。朝と昼が一緒になってしまった。「俺はこれから一日二食にするから、お前は好きなようにしろ」と言う。つまり自分の昼食は外食ということになる。それでもかまわないが、生活費がかさむ。一食700円として30日だと2万円余かかる。これは田舎生活では負担が大きい。仕方ないので、父が朝食を終えた正午ころに、自分の分だけそばやうどんを茹でて食べる日を作ることにした。まあ夕食だけは一緒に食べられるからいいかと思う。
 そのかわり、午後3時には、饅頭などの菓子を父の机に置くことにした。おやつである。

ジンジャー
マリーゴールド

■弟来る

10月22日(土)雨
 夕方6時過ぎ、弟が来た。飯田で短歌の会があり、それを終わって帰省したのだ。今回は弟としなければならない作業がある。
 翌日、朝食後、打越(うちこし)の墓掃除に行く。雑巾、軍手、水、除草剤、線香を持ち、駅前の花屋で仏花を買って歩いた。墓は落ち葉も少なく意外にきれいだった。前日の雨で墓石は洗われていた。雑巾で拭き、花を活け、線香をあげた。
 帰宅して正午まで仮眠。起きていくと、父が朝食を終えたところ。「これからきしめんを茹でるが食うか」と聞くと「そうやな、少し食うわ」というので、三人分のきしめんを茹で、父の丼には少しにする。それにしても今、朝飯を食べたばかりなのによく入る。この食欲が父を支えているのだろう。
 午後、買い物から帰ったあと、弟と炬燵にふとんを掛ける作業にかかる。前回、弟が来たときに絨毯を敷き、机を片付けて炬燵だけ出してあった。まず自分の部屋から。炬燵板を二人で持ち上げて移動させ、炬燵の上に押入れから出した下掛けやふとんを掛けた。炬燵板を戻す。これで冬支度完了。次に茶の間の父の炬燵に同じようにふとんなどを掛ける。父は黙って見ていた。
 最後は、応接室の椅子カバーと台所のカーテンを夏物から冬物に交換した。こう書くと簡単なようだが、実際は二人でないとスムースにいかない作業である。
 午後3時半終了。4時に台所へ入り、買ってきたおでんセット4人前に牡蠣を加えて味噌おでん鍋を作る。他に目刺し、ヨーグルト、漬物、りんご。たっぷり食べた。
 月曜午前10時に弟は帰京した。

父と弟
弟と墓掃除

■単調な生活

 弟がいなくなって、また父との単調な生活が始まった。毎日がまったく同じ。以下のように、ほぼ時間通り。
 朝、午前7時半に起床。洗面したあと朝食準備。やかんでお湯を沸かし、ポットに入れる。大根を擦ってしらすおろしに黒ごまをかける。トマト、きゅうりを切ってサラダ。佃煮、味のり。インスタントみそ汁。ごはん少し。自分だけ先に食べ、父の分に卓上傘をかぶせておく。洗濯をし、9時半くらいから11時まで仮眠。この二度寝が一番の楽しみ。
 起きると父が朝食を終えている。昼食を外食にしたくないので、そばかきしめんを茹でる。「食べる?」と父に聞くと「少し食べる」と言うこともあれば「俺はええわ」と答えることもある。
 昼食後、週に一回は「三洋堂」までDVDを借りに行く。帰り道に「夢」という喫茶店(「夢」が休みの日は「縹」か「梅の木」)でアメリカン・コーヒーとスポーツ新聞。小一時間ほどで店を出て、「アピタ」で夕食の買い物。2時ころ帰宅し、3時まで週刊誌を読む。(2時半に父におやつの饅頭などを出す)
 3時過ぎに台所へ入り、夕食の準備。お湯を沸かす。翌日の米をといで笊に入れておく。夕食用の食器を並べ、メニューの食材をそろえる。曜日によってメニューが決めてある。
 台所とトイレの床に小型掃除機をかける。3時40分に準備を終えて、自室で夕刊の届くのを待つ。3時50分には夕刊が来る。読んでいると4時にヘルパーさんが来る。材料を見れば、作るものはわかるが、一応説明する。自室に戻って夕刊を読み終え、父に渡して台所へ。りんごを切ったり、ヨーグルトを開ける。
 ヘルパーさんと雑談しながら、できあがった副食(ホウレンソウのごまあえや長芋千切りなど)を自分だけ先に食べる。晩酌はキリンのフリー。
 ヘルパーさんは4時45分ころに帰る。炊飯器から父と自分の茶碗にごはんをよそい、釜を洗い、といである米を入れ、水量を調節して電源OFの炊飯器に設置する。
 父を呼んで夕食。自分は主食とごはんだけ。父は食事がのろい。自分はさっさと食べて食器を洗う。水曜日と日曜日は翌日がごみの日なので、家じゅうのごみをまとめて玄関に出しておく。
 5時50分から茶の間のテレビで天気予報とニュースを見る。自分がテレビを見るのはこの時間だけ。6時20分に自室に入る。これからが自由時間で、DVDをみたり、本や雑誌を読む。酒場へは火、金、日曜日の夜9時から10時半まで。帰宅して入浴し、「ラジオ深夜便」を聞く。炊飯器のスイッチを入れ、セルシンとデバスを服んで、午前零時半就寝。
 ヘルパーさんの来るのが夕方4時と決まっているので、昼間はほとんど時間に余裕がない。ヘルパーさんの来ない日曜日は、自分が雑炊、おでんなどの鍋を作る。以上。

デュランタ
ガーベラ

■読んだ本と雑誌

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』まあよく知っている人だ。勉強にはなる。
『不眠症』スティーヴン・キング。訳者の柴山幹郎氏が送ってくれた文庫上下二巻。まだ上巻の三分の二まで。
『週刊朝日』4冊。『週刊文春』4冊。『文藝春秋』11月号。『本の雑誌』11月号。『波』10月号。『一冊の本』10月号。『本』10月号。『ちくま』10月号。
 DVDばかり見ているので本が読めなくなった。読書は眠くなるが、映画は眠くならない。映画は内容を記録しておかないと、すぐ忘れる。だんだんバカになっていくような気がする。

アストロメディア
秋の紫陽花

■ベビーオイル

10月31日(月)晴
 今月の生活費を精算。総支出12万4349円。そのうち特別出費が約1万7000円あるから、まずまずの使い方だ。野菜が値上がりしているので、野菜主体の我が家の食事に響く。
 夜、父が入浴したあと自分も入る。出てから全身にベビーオイルを塗る。虫に刺されたわけでもないのに、体のあちこちが痒い。「後藤理髪店」店主によると、冬は老人の肌がかさかさになって痒くなるのだそうだ。それを防ぐには湯上りにベビーオイルを塗るとよいと聞いた。確かに効果あり。痒みがあっという間に消えた。これはオススメですよ。
 今月は、父の怪我が大きな事件だった。家の中でも転ぶ心配があるので、ずっと見守りする必要がある。                               

(次回へつづく)


大島 一洋  (おおしま・いちよう)
1943年岐阜県中津川市生まれ。早稲田大学第一文学部美術専修科卒。
大和書房を経て、平凡出版(現マガジンハウス)に中途入社。「週刊平凡」「平凡パンチ」「ダカーポ」「鳩よ!」などの雑誌および書籍編集にたずさわり、2005年定年退職。現在はフリー編集者&ライター。著書に『芸術とスキャンダルの間』(講談社現代新書)。
 
 
 
 


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