そら飛ぶ庭
   

介護日記
 
2011.10.11 

Diary of Country Life
Nursing of My Parents

父、98歳の誕生日

自分、禁酒命令

冬支度する

大島  一洋 

おしろい花
しゅうめい菊

■悪役・三浦友和がいい

9月1日(木)曇
 午後、父の寝室、茶の間、廊下に掃除機をかける。
 夕方7時、浴槽に湯を溜め、父に入浴をうながす。我が家の風呂は小さいので、父の体が滑って溺れるということはないから安心。父は入浴に1時間かける。
夜、DVD「ナイト&デイ」を見る。トム・クルーズとキャメロン・ディアスのコメディ・スパイアクション。ずいぶん金がかかっている映画だが、評判はよくなかったよう。
 9時半入浴。缶ビール、焼酎。雑誌読み。

9月2日(金)曇のち雨 台風12号近づいている
 朝食後、洗濯。
 午後、「三洋堂」まで歩き、DVD3本借りる。途中で小雨が降り始めたので、あわてて帰宅。洗濯ものを廊下に入れる。「アピタ」買い物。
 夜、DVD「笑う警官」を見る。佐々木譲さんの原作で、北海道警察の裏金問題から想を得た作品。
 9時「にしの」。11時帰宅。

9月3日(土)曇時々雨 台風四国上陸
 朝食後、仮眠中に突風で家が揺れる。
 午後、買い物に出たが、風が強く、傘がおちょこになって壊れてしまった。
 帰宅して、家の周囲を点検。先月修理した雨樋の一部がはずれていた。
 夜、DVD「沈まぬ太陽」を見る。三浦友和の悪役がいい。ひょっとすると、北野武はこの映画を見て、「アウトレイジ」に三浦友和を起用したのではないか。

■父に女性客

9月5日(月)雨
 台風12号が瀬戸内海から岡山あたりをうろうろしていて日本海へ抜けない。
 被害が大きくなりそう。我が町は恵那山と笠置山に囲まれた盆地なので台風などの被害が少ない。

9月6日(火)晴 台風一過の晴天
 三重県、和歌山県の台風被害がひどい。熊野灘が土石流となっている。那智の滝も無残。
 廊下に吊るしてあった洗濯ものをやっと陽にあてる。
 夕方7時から「日時計」という店で同窓会幹事の山おろし(反省・慰労会)。7人集まる予定が都合の悪い人が出て5人になってしまった。久し振りにシャンパンを飲む。
9時半すぎ「にしの」」。11時半帰宅。

9月7日(水)晴
 午前7時半起床。寒い。室内温度18度。パジャマの上からセーターを着る。
 午後、買い物から帰宅すると応接間に女性の客。父と同じアララギの歌人で岐阜市から新しい歌集を持って挨拶に来たらしい。父が応接間に客を上げるのは珍しい。
 夕方まで『週刊朝日』9月16日号を読む。トップ記事の「福島第一原発完全ルポ」がすごい。10ページで原子炉建屋の中まで入って写真を撮っている。
 夜、DVD「キャタピラー」を見る。若松孝二監督の傑作。江戸川乱歩の「芋虫」からの発想と思われる。寺島しのぶの演技がすごい。賞をもらうはずだ。

しゅかいどう

9月8日(木)晴
 午後、父が床屋に出かけるはずなのに、自分が買い物から帰宅してもまだ茶の間にいる。着替えているが、お金をどこに置いたのかわからない、と言う。クローゼットの中のシャツを調べると6000円出てきた。それを持たせて追い出す。
 天気がいいので、自分のふとんを干す。
『群像』10月号の石田千「きなりの雲」(280枚)を読み始める。「いけだ書店」に『群像』が一冊だけあったのだ。
 父は4時頃帰宅した。
 夜、8時から還暦合唱団。終わって「かかし」で食事。11時半帰宅。

9月9日(金)曇
 午前8時半、朝食前に可知医院へ行き、血液検査の採血。最近酔いが早いので数値があがっているような気がしたからだ。結果は月曜日に出る。
 夕食後、茶の間で6時のニュースを見ていると、父が「お前、夕飯食ったか」と聞くので「食べたよ」と答えると「俺は食ったか」と言った。「食べたよ」と返事しながら、大丈夫かなと思う。30分前に食べたことを忘れている。
 夜、「いちりき」「にしの」とはしご。酔った。やはり肝臓がおかしい。

黄花コスモス
コニカル

■ガンマGTP477

9月11日(日)曇
 市内一斉清掃日の日。朝食の準備をして、8時に指定の坂道へ行く。向こうは知っているかもしれないが、自分はほとんど知らない人ばかり。父の代わりに参加したという顔見せで草取りをする。
 朝食後、洗濯。
 午後、買い物から帰宅して「きなりの雲」を読みつぎ、夕食をはさんで読了。石田千氏は無名時代から知っている作家だが、最近急に筆力が付いてきた。楽しみな作家の一人。読後の感想をメールする。
 夜、DVD「最後の忠臣蔵」を見る。池宮彰一郎原作。役所広司がいい。討ち入りが終わったあとの話。こういう作り方もあったのかと感心する。

9月12日(月)晴
 夕方、可知医院へ。血液検査の結果を聞く。やはり悪くなっていた。ガンマGTP477。中性脂肪850。最悪。ただちに一か月の禁酒を言い渡された。完全なアルコール性肝炎だから、酒を止める以外に治す方法はない。
 夜、DVD「桜田門外の変」を見る。原作・吉村昭。伊井直弼襲撃の主犯の水戸藩士・関鉄之助介を中心に描いている。原作がいいと、やはり映画もいい場合が多い。
 酒が飲みたくて、気が狂いそうになったので、缶ビール一本を舐めるように飲む。一滴も飲まないというのはストレスになる。

9月13日(火)晴
 午後、上金(うえがね)にできた「ナーシング・ピア」のデイサービス・センターへ父を連れて見学に行く。父はデイサービスが嫌いだと思うが、短歌を止めてしまった父は一日中新聞・雑誌を読むか、昼寝をしているだけ。これではまずい。誰かに会うようにしないといけない。なかば脅して着替えさせ、タクシーで行く。すぐ近くで、完成したばかりのきれいな施設。
ケアマネージャーの垣内さんが案内してくれた。その日は二人が来ていた。87歳の男性と80歳女性。紙細工をしたり、絵本を読んだりしていた。父は感想を言わなかったが、トイレ、風呂、厨房、和洋両方の休憩室などには満足した様子。
 夜、『文藝春秋』10月号を読む。缶ビール2本飲んだ。自宅で少し飲むのは大丈夫だろう。酒場に行くのがいけない。飲み過ぎるのだ。

百日草
千日坊主

■飲みながら治す

9月14日(水)晴
 午後、「三洋堂」まで歩き、DVD3本借りる。「梅の木」でアメリカン。ここで懐かしい人に会った。50年ぶりか。中学時代の陸上部の先輩。剣道も強かった。かなりしごかれたものだ。現在は中津高校の剣道部の指導をしているそうだ。酒が飲めないそうなので、酒場で会う約束はできなかった。
 買い物して帰宅し、父の寝室、茶の間、廊下に掃除機をかける。茶の間のくずかごの中に、自分の携帯電話の番号を書いた大きな紙片がもみくちゃに潰して捨ててあった。いざというときのために、テレビの上に置いてあったものだ。「お前の世話にはならん」という父の暗黙の意思表示か。
 夜、DVD「ヤマト」を見る。東日本大震災のあとのせいか、けっこうリアリティがある。木村拓也ががんばっている。
 7時過ぎ父に入浴をさせ、自分も入る。缶ビール一本。薄い焼酎少し。

9月15日(木)晴
 朝食後、洗濯。父を9時に起こす。寝坊し過ぎだ。これではデイサービスは無理。
 仮眠中、キリスト教の訪問勧誘に起こされる。「うちは仏教ですから」と断る。
 午後、「アピタ」でタイマーを買う。そばを茹でる時間や、浴槽に湯を張る時間をはかるためだ。
 夜、DVD「トイレの神様」を見る。やっと意味がわかった。植村葉菜は昨年の紅白に出たらしいが、覚えていない。

9月16日(金)晴
 午前中、馬島さんが草取りに入ってくれた。今日は午前中だけだという。
 午後、買い物から帰って、馬島さんの草取りの後片付け。溝に落ちた草を鍬でかき上げる。泥も溜まっている。この溝をさらっておかないと、雨が降ったとき、水が流れない。長靴とパンツだけで作業をしていたが、途中で倒れそうになった。熱中症を心配して中止。それでも隣の空き地の半分くらいまでさらった。風呂場でシャワーを浴びる。
 夜、DVD「必殺剣鳥刺し」を見る。主演の豊川悦司がいい。見せ場があった。
 缶ビール2本を舐めるように飲む。

9月17日(土)曇時々雨
 午後、買い物から帰って掃除。土曜日は掃除と入浴の日。
 夜、DVD「ゲゲの女房」を見る。水木しげる役が宮藤官九郎とは知らなかった。あんなに歯並びの悪いやつだっけ。
 父に入浴させ、自分も入る。缶ビール2本。酒を少しずつ飲みながら、アルコール性肝炎を治す手法。過去に何度も経験している。だが、缶ビール2本でおさまらず、禁断症状が出た。台所の隅々を探し、ワインが一本あるのを見つけた。これに手をつけてしまった。全部飲んだわけではないが、かなりひどい依存症であることを確認した。大丈夫かな。禁酒にならない。

トルコ桔梗
ビアンカ

■台風で中央線止まる

9月18日(日)晴
 母の月命日なので仏壇を開け、線香をあげる。
 午後、「アピタ」の花屋で菊を買い、仏壇に供える。
夕方、馬島さん来て、草取りを終える。
夜、DVD「武士の家計簿」を見る。仲間由紀恵がやや太っていい感じ。もし自分が現
役だったら、すぐヌード写真集の説得にいく。監督・森田芳光。城や自宅の経理という
面からの歴史が面白い。
夜、11時半ころ、父が突然現れ「あっこはどこや」と言う。「あっこ」というのは弟・
史洋の愛称である。24日に帰省することになっているのを楽しみにしていて、夢でも見たのだろう。自分の部屋で一緒に話でもしていると思ったようだ。これもボケか。

9月20日(火)雨 台風15号接近
 午後、Gパンにレインコートを着て「三洋堂」まで歩く。どしゃぶり。「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。父がベッドで寝ていたので起こす。昼寝しすぎると夜更かしになる。
 文藝春秋社のPR誌「本の話」廃刊の知らせ。経費節減か。
 雨水の流れを調べる。溝さらいをしておいたので、ちゃんと流れていた。
 台風15号の豪雨のため、中央線が運転中止。
 夜、DVD「アマルフィ」を見る。新保裕一原作。織田裕二、天海祐希主演。全編イタリアロケ。風景が美しい。金はかかっているが、動機がやや弱い。

9月21日(水)雨のち曇
 台風15号のせいで中央線はまだ開通していない。
 午後、図書館で永沢光雄の『AV女優』を借りる。15年前評判になった本で、AV女優42人にインタビューしている。その後、小説『声をなくして』を6年前に出して、永沢氏は咽頭ガンで亡くなった。
 夜、DVD、アメリカ映画「ナイトレイジ」を見る。奇妙な味の密室殺戮映画。意外な結末。

9月23日(金)秋分の日 晴
 父に銀行カードを出してくれるよう頼むが、いつもの引出から見つからない。どこに置いたのかも思い出せないらしい。生活費を少し出しておこうと思ったが、三連休中なのでカードがなければ引き出せない。諦める。そのうちどこかから出てくるだろう。
 夕方7時、「かかし」に3年3組集まる。名古屋から纐纈が来たので歓迎会。柘植、高木、熊崎、丸山、牛丸、水上。これだけ揃うのは久し振り。禁酒中の自分は抑えて飲む。11時解散。

彼岸花とダリア
庭のホトトギス

■炬燵の準備

9月24日(土)晴
 午前中、自分の冬用のふとんを干す。
 墓掃除の準備。除草剤、水、軍手、雑巾、線香。「アピタ」で仏花を買ってくる。
 午後1時、弟・史洋到着。二人で、まず打越(うちこし)の墓へ行く。久し振りだがそれほど汚れてなかった。
 帰宅し、茶の間の茣蓙を巻く。絨毯を出して敷く。これは二人でないとできない。炬燵を設置し、寒くなったらふとんを掛けられるようにしておく。散乱していた父の雑誌などを確認しつつゴミと必要なものに分けていく。十六銀行の封筒が出てきた。中に5万円とカードが入っていた。見つかった。父に頼まれて銀行から5万出して渡した際、父はカードをその袋に入れてしまったのだ。よかった。カードは自分が預かることにする。
 夕食は「アピタ」の寿司御殿という店で寿司盛り、太巻き、稲荷寿司などを買ってきて、台所で食べる。
 明日は父の98歳の誕生日で、歌会仲間が午前10時に迎えにくる。「星ケ見荘」という店で昼食会がある。10時に間に合うよう、明日着ていくズボン、シャツ、ジャケット、を決め、眼鏡、財布、筆記用具なども揃えておく。
 父、弟、自分の順に入浴。自室で弟と雑談。

墓掃除の弟

9月25日(日)晴のち曇
 7時半に父を起こし、弟と三人で朝食。食後、父は昨日用意した服に着替え、小物もポケットにおさめた。昨夜準備したおかげで10時には高木酒店の前に出た。迎えのバスが来て、父と弟を乗せる。これでOK。ほっとした。自分は1時間仮眠。
 父と弟は午後2時半に帰ってきた。土産はカランコエの大きな花鉢と五平餅。弟に食事の残りは持ち帰るな、と言ってあった。
 赤飯が出なかったというので、「あぴた」で父の分だけ買い、あとは刺身と野菜サラダで夕食。疲れたのか、父は7時に寝てしまった。
 自室で、弟から誕生会の報告を聞く。父は耳が遠いのでみんなの会話に参加することはできなかったが、最後にはきちんと挨拶したとか。20人近く集まったらしい。中津川の歌人としての父の役目は、本日をもって終了した。

父、98歳の誕生日。
弟と歌会へ出かける
父、98歳の誕生日に贈られた
カランコエの花

■ケアマネ交代

9月26日(月)曇時々雨
 午前10時に弟は帰京した。
 午後、「三洋堂」まで歩き、DVD3本借りる。
 帰宅して和室に掃除機をかける。弟は来月また来るので、ふとんは重ねておく。
 父が茶の間で古新聞を紐で束ねていた。驚いた。まだこんな力があったのか。
 夜、DVD「花のあと」を見る。原作・藤沢周平。主演・北川景子。初めて見る女優。目がきつく、たらこ唇だが感じはいい。
「ラジオ深夜便」。石田千氏が出ていた。缶ビールと薄い焼酎水割り。

父とケアマネの面談

9月27日(火)晴
 弟のふとんを干す。
 和室のカーテンの紐がゆるんで垂れてしまっている。父か弟が触ったせいだろう。脚立を持ってきて、釘を一本、内側に打ってひっかけたら直った。
 夜、DVD「雷桜」を見る。原作・宇江佐真理。主演の岡田将生は初めて見る役者。蒼井優は知っている。監督・廣木隆一。まずまずの出来。

9月28日(水)晴
 午後、「三洋堂」でDVD4本借りる。「梅の木」「アピタ」と回って1時半帰宅。掃除の日なので掃除機をかける。
 3時、ケアマネージャー垣内さん来。月末の定期面談。来月から担当が代わるそうで新人を連れてきた。
 夜、DVD「赤い指」を見る。原作・東野圭吾。阿部寛主演。暗い映画。

9月30日(金)曇時々雨
 9時27分、淀川発のバスで市民病院。眼科の担当医が男性に代わっていた。アレルギー性結膜炎は死ぬまで治らないということと、白内障が進行しているという診断は前の医者と同じ。ただ、次の予約日が12月16日となり、3か月もある。緊急性がないという意味では安心。バスで11時過ぎ帰宅。
 午後、東京へ生活費を振り込む。
買い物から帰り、9月分の生活費を精算。総出費11万7440円。特別出費として馬島さんの草刈り代や、弟が来たときの墓掃除関係があるので、純粋生活費は10万でおさまっている。
 台所の壁のタイルが4枚剥がれたので、馬島さんに来てもらい、接着剤で貼りつけてもらう。馬島さんはなんでも出来て便利な人だ。
 夜、DVD「グリーン・ゾーン」を見る。主演・マッド・デイモン。アメリカのイラク攻撃の欺瞞を暴いた告発映画。実際はどうだったか分からないが、ありうる話だ。
 久し振りに「にしの」。ビール一本を1時間かけて飲み、10時帰宅。
 今月は自分の禁酒生活が大きな出来事。あと10日してから再血液検査。どこまで数値を下げられるか、自分の意思力が試される。

(次回へつづく)


大島 一洋  (おおしま・いちよう)
1943年岐阜県中津川市生まれ。早稲田大学第一文学部美術専修科卒。
大和書房を経て、平凡出版(現マガジンハウス)に中途入社。「週刊平凡」「平凡パンチ」「ダカーポ」「鳩よ!」などの雑誌および書籍編集にたずさわり、2005年定年退職。現在はフリー編集者&ライター。著書に『芸術とスキャンダルの間』(講談社現代新書)。
 
 
 
 


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