そら飛ぶ庭
   

介護日記
 
2010.9.6 

Diary of Country Life
Nursing of My Parents

猛暑続きにぐったり

父、夜更かしになる

放火殺人事件

大島  一洋 

■父の本棚

父の書斎兼応接室

 父の書斎は、現在、応接間と兼用になっている。1・5間幅2面と半間幅が1面である。改築したせいで奇妙な形だが広さは6畳くらいか。
 棚の本は9割が短歌関係で、あと1割は辞書と文学、美術関係である。主なものを挙げると以下になる。
 斎藤茂吉全集  全56巻(岩波書店・昭和27年〜32年)
 子規全集 全22巻別巻3(講談社。・昭和50年〜昭和53年)
 左千夫全集 全9巻(岩波書店・昭和52年1月〜9月)
 土屋文明全歌集 1巻(平成5年・石川書房)
 萬葉私注 土屋文明 全10巻(筑摩書房・昭和44年6月〜45年4月)
 本居宣長全集 全20巻(筑摩書房・昭和43年〜?棚の奥なので出して調べられない)
 中村憲吉全集 全4巻(本棚の奥で取り出せない)
 他に、小暮政次、柴生田稔、落合京太郎、樋口賢治、吉田正俊などの全歌集1巻本が見える。歌集以外では、谷崎潤一郎訳『源氏物語』、原色日本の美術全20巻(小学館)など。
 全集以外は、全集が出る前の個人歌集が並んでいる。例えば、斎藤茂吉は『白桃』『寒雲』など十数冊。土屋文明は『白流泉』『南島』など十数冊といった具合。雑誌の『アララギ』はどこかにあるはずだが探せない。寄贈された歌集などが積み上げてあるのでその向こうが見えない。蔵書数は全部で千冊くらいか。昔は文庫本もたくさんあった記憶があるが処分したのだろう。短歌好きの人には垂涎の本棚だが、他の人にとってはつまらないと思う。

父の書棚

■彼女について

8月1日(日)晴 猛暑
 朝食後、洗濯。1時間仮眠。
 午後、図書館で小説の下書き。喫茶店「縹(はなだ)」「アピタ」と回って2時帰宅。父が出かけたらしく玄関に鍵がかかっていた。この猛暑のなか大丈夫か。
「田舎日記」48回目を送信する。父は4時過ぎに帰ってきた。
 夜、「彼女について」を書き始める。官能小説だが、表現をできるだけ抑える。4枚書いたところで先が見えてきたので中止。
 10時、シャワー。缶ビール、焼酎水割り。
『戦後短篇小説選T』(岩波書店)を読む。午前零時半、熱36度7分。室内温度29度。

ふよう
これ、かぼちゃ。飾りで食べられない

8月2日(月)晴 猛暑
 午前中、1時間仮眠。
 午後、十六銀行から7月のシルバー料金1万3000円を振り込む。吉田米店に米5キロ配達依頼。洗濯屋「はりぶん」にシャツ2枚出して2枚受け取る。「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。夕方まで『彷書月刊』8月号を読む。川崎長太郎特集。この特集はいい。
 夜、「彼女について」4枚書く。昨日分と合わせて8枚。規定枚数は20枚なので約半分まできた。
 熱帯夜。室内温度30度。11時、シャワー、缶ビール、焼酎水割り。
 午前零時、熱36度7分。

8月3日(火)曇
 午前中、1時間仮眠。
 午後、図書館へ。松本清張『黒い画集V』を借りる。「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。
 夜、『黒い画集V』を読み始める。9時過ぎ、父がやっと寝たので「にしの」「じゅうべえ」とはしご。熱帯夜のせいで父が夜更かしになっている。
11時帰宅。酒を飲みに出るのは火曜日と金曜日の二日だけに決めた。
「ラジオ深夜便」。ノンフィクション作家の吉永みち子が出ていた。会ったことはないが、デビュー作『気がつけば騎手の女房』は面白かった。三人の子供を残して妻が死んでしまった吉永正人騎手(ミスターシービーで三冠制覇)と結婚する話。が、その後、吉永騎手と別れてしまったようだ。
 午前零時、熱36度8分。室内温度28度。

けいとう
さるすべり

■墓に新しい灯篭

8月4日(水)晴 猛暑
 午前中、1時間仮眠も暑くて眠れず。
 午後、「アピタ」で買い物したあと、1時過ぎ帰宅。服部石材店から電話があり、お墓の灯籠を注文通りの小さいのに換えたという。この暑いなか父を連れていくわけにいかないので、自分がタクシーで墓まで行き、タクシーを待たせておき、デジカメで写真を撮って帰ってきた。パソコンに取り込んでプリントアウトし、父に見せた。灯籠は高さが低く尖った部分はない。墓誌も手前に引き寄せてあった。全体としてバランスの取れた墓になったと思う。7万円。最初の灯籠分12万は捨てたようなもの。一年もたつので、動かすと壊れてしまい、他への利用がきかないらしい。写真を見て父も満足したよう。18日に弟が帰省するので、そのときに三人で行くことにする。
 父の寝室、茶の間、和室、廊下に掃除機をかける。
 夜、「彼女について」を書き継ぐが、うまくいかず中止。『黒い画集V』を読み継ぐ。
 10時半入浴。缶ビール、焼酎水割り。午前零時半、熱36度7分。

墓の灯籠

8月5日(木)晴 猛暑
 朝食後、洗濯。1時間仮眠。
 午後、「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。
 夜、「彼女について」を書き継ぎ15枚。あと5枚だ。
「ラジオ深夜便」。映画監督の大林宣彦が出ていた。72歳だそうだ。昔「平凡パンチ」で2時間インタビューしたことがある。大変親切な人だった。出身地である広島県尾道へ誘われたが実現しなかった。
 午前零時、熱36度8分。

8月7日(土)晴
 午前中1時間仮眠。
 午後、「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。
 夕方7時、浴衣を着て、熊崎夫妻と落合の「おがらんさん祭」へ行く。小さい境内でよさこい踊りや盆踊りがあり、いい雰囲気の祭だ。
 10時半帰宅。入浴。焼酎水割り。

おいでんさい祭り

8月8日(日)曇時々晴
 朝食後、洗濯。1時間仮眠。
 午後2時半。中央公民館ホールで、同級生の磯貝啓子が出る朗読劇「ウスリーの赤き流れに」「彼等がいったい何をやったか」を見る。
 夜、『文藝春秋』9月号が届いたので、芥川受賞作「乙女の密告」赤染晶子を読む。緻密に作られた構成巧みな小説だが、面白いという感想はない。
 10時シャワー、缶ビール、焼酎水割り。午前零時、熱36度5分。


朝顔
千日坊主

■夏祭り

8月11日(水)曇時々雨
 午前10時半から庭師の馬島さんが庭に入っている。雑草取りと剪定。
 午後、「梅の木」「アピタ」と回って1時半帰宅。馬島さんは午後から助っ人を連れてきた。今日中に終わらせるつもりなのだろう。3時にお茶を出す。縁側に二人座ってもらい、饅頭、菓子などとペットボトルのお茶。
 馬島さん、夕方5時半に終了。
 夜、「彼女について」を書き終える。しばらく寝かす。
『黒い画集V』を読み継ぐ。11時シャワー。缶ビール、焼酎水割り。
 午前零時、熱36度7分。

8月12日(木)雨のち曇のち小雨
 朝食後、洗濯。雨が激しいので廊下に干す。1時間仮眠。
 午後、図書館へ『黒い画集V』を返却し、清張シリーズ『黒の様式T』を借りる。「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。夕方まで『週刊文春』
 夜、中津川の花火大会。残念ながら小雨が降っている。熊崎夫妻と「KISAKU」というイタ飯屋。予約がしてあった。花火は窓から見える。久し振りにちゃんとしたイタリア料理を食べた感じ。
 花火が終わって「いちりき」でカラオケ。11時解散。

花火大会は雨

8月13日(金)曇時々雨
 朝、喉が変。タバコの喫い過ぎか、カラオケの歌い過ぎか。
 午前中、1時間仮眠。
 午後、「彼女について」を同人誌に発送。「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。陽はさしていないのに蒸し暑い。坂道の落葉を掃いていたら、汗だらだら、頭くらくらで熱中症になりそうになった。
 夕方から中津川の夏祭り「おいでんさい祭り」。風流踊りは雨のため早めに終わる。雨が太鼓の皮をダメにするそうだ。そのあと市内の企業が作った神輿の練り歩き。昨年事故があって救急車がきたせいか、今年はおとなしい。
 写真を撮ったあと「にしの」。満員。11時帰宅。


おいでんさい祭りの神輿

8月16日(月)晴 猛暑
 パソコンの具合がおかしい。ひどいパワーダウンだ。午前10時、プロバイダー「タケネット」の深谷さんが来て、パソコンを持っていった。
 内容のバックアップに時間がかかり、直るのは明夕とのこと。

■5年分の雑誌

8月17日(火)晴 猛暑
 午後、図書館。クソ暑いのでクールネックに帽子、短パンで出かける。清張コレクション『黒の様式U』を借りる。「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。
 3時過ぎ、パソコン届く。が、設定に時間がかかり、終わったのは6時半。
 夜、「にしの」「すし天」とはしご。11時半帰宅。
 熱帯夜。室内温度30度。午前零時、熱36度8分。

8月18日(水)晴 猛暑
 昼過ぎ、弟・史洋来る。午後から墓掃除に行く予定だったが、猛暑のため明日の午前中にする。父と弟が短歌談義をしている間、自分は次の間に積んである雑誌の整理。22日(日)が廃品回収の日なので全部出すつもりで始める。約5年分なのでかなりの量。紐で縛っていく。
 夕食後も続ける。弟、父の順で入浴したので最後に自分が入る。9時から弟と自室で雑談。弟は焼酎、自分はビール。小説「彼女について」第一回分の内容を話すと、あまりにも低俗だとバカにされた。

墓で父と弟
トルコ桔梗

8月19日(木)晴 猛暑 夕方雨
 午前中、父、弟と三人で打越(うちこし)の墓へタクシーで行く。けっこう暑い。ごみを掃き、草を抜き、墓石を拭く。花を活けて、線香をあげる。古い卒塔婆を3本ほど新聞紙に包む。帰途、タクシーを止めて石屋に寄り、新しい灯篭代7万円払う。父と弟を高木酒店の前で降ろし、自分は東円寺まで古い卒塔婆を届ける。
 午後、「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。雑誌を縛り続ける。
 夕食は久し振りに回転寿司の「丸忠」へ三人で行く。6時過ぎ帰宅。父を弟にまかせ、自分は8時から還暦合唱団に参加。終わって「かかし」で少し飲み、11時帰宅。弟はもう寝ていた。夜2時頃激しく雨降り始める。

8月20日(金)晴 猛暑
 午前10時半、弟帰京。弟のふとんを干す。
 午後、三洋堂まで歩く。パソコンの修理が終わって片面1層のDVDなら見られることになった。三洋堂までの坂道はきつい。汗が吹き出る。「夢」「アピタ」と回って2時過ぎ帰宅。和室に掃除機をかける。弟のふとんを取り入れ、押入れに収納。
 夜、DVD「ワルキューレ」を見る。9時「にしの」。満員。
 ヘンリー塚本のDVDを見る。午前零時、熱36度2分。平熱。


ベコニア
ミニひまわり

■一家心中未遂

8月22日(日)晴 猛暑
 廃品回収の日。起床して古新聞、ダンボール、雑誌の束を門の所へ運ぶ。雑誌の束は30個になった。8時半ころ二中の学生が持っていってくれた。すっきりした。
 午後1時から夕方まで図書館の資料室。郷土本の棚を丹念に見るが、作品につながりそうなものは見つからない。
 夜、『北園克衛の詩』金沢一志を拾い読み。詩にはあまり興味がないので読み続けられない。10時、シャワー、缶ビール、焼酎水割り。午前零時、熱36度6分。

8月26日(木)晴 猛暑
 放火殺人容疑 父を逮捕
 中津川・民家全焼 小6次女死なす
 岐阜県中津川市駒場で二十六日未明に民家が全焼し、焼け跡から性別不明の遺体が見つかった火事で、中津川署は同日、殺人と放火の疑いでこの家に住む会社員石原茂容疑者(四八)を逮捕した。遺体は石原容疑者の次女で同市西小六年の佳澄さん(一一)と確認された。逮捕容疑は、同日午前一時半ごろ、自宅に灯油をまき、ライターで火を付け、木造二階建てを全焼させ佳澄さんを殺害したとされる。
 同署によると、二十五日夜から二十六日未明にかけて、石原容疑者は次男(一九)と一階居間で口論となり「一家心中してやる」などと叫びながら、一階土間に灯油をまいて火を付けた。次男は大相撲の序二段力士で「力士を辞めたい」と石原容疑者と話し合っているうちに口論となったという。(「中日新聞」8月27日より)
 次女は一度外に避難したが、猫をケージに入れたままなのに気づき、助けるために戻って亡くなったとか。

8月27日(金)晴 猛暑
 午前10時、ケアマネージャーの垣内さん来。月末の定期面談。父は元気なので10分で終了。
 午後、猛暑の中、三洋堂まで歩く。DVD5本借りる。「夢」「アピタ」と回って2時過ぎ帰宅。
 夜。DVD「必殺仕事人2009」を見る。東山紀之がいい。
 「にしの」「山海山」とはしごして11時帰宅。シャワー、焼酎水割り。

書斎で調べものをする父
サルビア

■つまらぬ日々

8月30日(月)晴 猛暑
 午前10時半、東京へ生活費を振り込む。
 午後、三洋堂まで歩く。暑い。「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。
 夜、DVD「必殺仕事人2009」を見たあと『黒の様式U』を読み継ぐ。松本清張は取材がきっちりしている。スタッフが10人くらいいる清張工房というようなものがあるような気がしてならない。
 三浦哲郎死去、79歳、心不全。

8月31日(火)晴 猛暑
 午前中、1時間仮眠。
 午後、「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。今月分の精算。総支出は11万4996円。1万5000円近くオーバーしたが、これは弟が帰省して墓へ行ったり外食したせいだ。
 夜、「田舎日記」49回目を書く。まったく同じことの繰り返し。「『夢』『アピタ』を回って2時帰宅」という表現ばかり続く。読んでいる人はつまらないだろう。いかにつまらない日々を送っていることか。
 夜、『黒の様式U』を読み継ぐ。9時になってやっと父が寝たので「にしの」へ。「すし天」に寄り、かなり酔って11時帰宅。シャワー。焼酎水割り。
 今月も無事に終わった。多少の工夫をしても、この日記は面白くならないので、来月からは、エッセイか小説にしてしまおうかと考えている。それが面白いかどうか、わからないけれど。

ダリア
パイナップルリリー


(次回へつづく)


大島 一洋  (おおしま・いちよう)
1943年岐阜県中津川市生まれ。早稲田大学第一文学部美術専修科卒。
大和書房を経て、平凡出版(現マガジンハウス)に中途入社。「週刊平凡」「平凡パンチ」「ダカーポ」「鳩よ!」などの雑誌および書籍編集にたずさわり、2005年定年退職。現在はフリー編集者&ライター。著書に『芸術とスキャンダルの間』(講談社現代新書)。
 
 
 
 


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