そら飛ぶ庭
   

介護日記
 
2010.6.7 

Diary of Country Life
Nursing of My Parents

父の強い自信揺らぐ

同級生急死

自分の肋骨骨折治る

大島  一洋 

うの花

性欲について


 両親の介護のために田舎に帰って3年半。東京へはほとんど帰っていない。そこで自分の周囲の人間たちは、はっきりとは口にしないが、疑っていることがある。それは性欲の処理はどうしているのか、ということ。つまり田舎に「女」ができたのかどうかである。
 来月、自分は67歳になる。この歳になれば性欲も衰え、勃起もないだろうと若い人たちは思うかもしれない。だが、自分でも驚いているのだが、性欲は充分あるし、朝立ちもある。(同世代の男性はわかっていると思う。)ということは女が欲しいはずではないか、ということだ。この田舎町に風俗店はない。ラブホテルも郊外に二軒しかないらしい。
 タクシーの運転手に聞くと不倫は多いと言う。無尽という宴会で意気投合し、タクシーでラブホテルへ行き、帰りもタクシーを呼ぶ。まったく平気な連中がいるらしい。この町の不倫事情を一番知っているのはタクシーの運転手である。一緒に車に乗っているだけで疑われる小さな町である。結論から言うと、「女」はできていない。その気になればできないことはないと思うが、金がかかる。これは東京でも同じだ。仕事がなくなった年金暮らしには無理である。つまり、適当に自分で処理するしかないのである。そういうこと。

かいどう
5月桜

96歳の行動力


5月1日(土)晴
 午前中、1時間半も仮眠。とにかく眠い。
 午後、十六銀行から4月分のシルバー料金1万2000円振り込む。
「夢」でコーヒーを飲んでいるとき、東京の友人から電話。100歳になる実母を介護しているが、食道癌で入院したとか。100歳で食道癌とは驚きだ。点滴生活だが頭はしっかりしていて元気らしい。
 夜、読書。『小説新潮』5月号を読む。佐々木譲の新連載「警官の条件」が面白くなりそう。志水辰夫の「観音街道」は細かい風景描写が読ませる。
「ラジオ深夜便」を聞く。真野響子が出ていたが、すごいお喋りなのでイメージが変わってしまった。
 午前零時半、熱36度2分。平熱。

5月2日(日)晴
 午前中、1時間仮眠。
 午後、出かける。今日は「中山道まつり」で新町、本町に出店が並び、ウオーカーも多くてごったがえしている。今朝の新聞のチラシに、西太田町の「白木屋」が隠し部屋を公開するとあったので見にいく。大正時代に建てられた古い家で、奥座敷に梯子がある。上ると6畳ほどの部屋があった。つまり屋根裏部屋なのだが、梯子をはずしてしまうと部屋の存在がわからない。昔、博打に使われた部屋とか。
 人混みを縫って帰宅すると、父も出かけていたので、寝室、茶の間、廊下、応接室に掃除機をかける。ついでに坂道の落葉を掃く。頭がぼーっとしている。熱を測ると37度4分。午後2時前後が一番高くなる。ストレス熱なので高くても悪寒はない。
 3時半に父帰宅。「白木屋」の隠し部屋を見てきたと言う。96歳とは思えぬ行動力。
 夕食は、湯豆腐とかつおの刺身。
「今日は歩き疲れたから一杯飲むか」と父は「七笑」をお猪口に2杯も飲んだ。
 夜、45回目の「田舎日記」の原稿と写真を「企画の庭」に送信する。写真は8回に分けて送る。デジカメで撮った写真は重いので一度に2枚しか送れない。
『小説新潮』5月号の宇江佐真理、今野敏の短編と、畠中恵の連載「しゃばけ」などを読む。
 入浴。肋骨が怖いので浴槽には浸からず。
 午前零時、熱36度2分。平熱。

隠し部屋のある「白木屋」
茶の間で新聞を読む父

■ムカデ対策

5月3日(月)憲法記念日 晴
 朝食後、洗濯。
 仮眠しようと思ったら枕に穴があいていて、中から籾殻がこぼれている。慌てて穴を縫ったが、枕カバーまで縫い込んでしまった。
 午後、枕を直し屋「柾」へ持っていく。洗濯屋「はりぶん」に冬シャツ2枚出す。
 夜、『小説新潮』5月号の団鬼六、柴門ふみなどを読んだあと「にしの」へ。常連客と世間話をしたあと「旅の終わり」を歌って11時半帰宅。
「ラジオ深夜便」。阿木耀子が喋っていた。昔の嫌な思い出。
 午前零時半、熱36度3分。平熱。

つつじ
庭のこでまり

5月4日(火)晴 暑い
 午前中、1時間仮眠。
 午後、あまり暑いのでシャツに釣り用ベストという夏姿で出かける。
 図書館の棚をなんの目的もなく眺めていたら、山田詠美の「ぼくは勉強ができない」が目にとまった。とっくに読んでいなければならない本なのに、読み逃していたので借りる。
「夢」でアメリカンコーヒーとスポーツ新聞。「アピタ」買い物して2時過ぎ帰宅。
 夕食をはさんで「ぼくは勉強ができない」をずっと読む。
 夜8時頃、父が「寝室にムカデが出た」と走ってきたのでキンチョールを渡す。寝室のキンチョールは切れていたようだ。
 読書を続けるも11時頃には目が疲れた。モーツアルトのCDに替える。
 午前零時半、熱36度3分。平熱。

5月5日(水)こどもの日 晴
 午前中、1時間仮眠。
 午後、「梅の木」でアメリカンコーヒーとスポーツ新聞。「アピタ」で買い物をして一度家へ帰り、「土佐屋」へムカデ除けを買いに行く。途中で庭師の馬島さんに会ったので、都合のいい時に庭の草取りに入ってくれるよう頼む。
 帰宅すると、父が散歩に出るところだった。寝室、茶の間、廊下に掃除機をかけ、坂道の落葉を掃く。そのあと、帽子にマスクをして家の周囲にムカデ除けの粉を撒く。来月になったらこれをもう一回やらないといけない。
 夜、「ぼくは勉強ができない」を読み継ぐ。だんだん理屈っぽくなってきた。
 9時頃「にしの」へ。常連客と雑談したあと、「他人船」「北国の春」を歌って11時帰宅。シャワーを浴びる。モーツアルトのCD。午前零時、熱36度3分。平熱。

紫陽花
あやめ

本は図書館

5月6日(木)晴 暑い
 午前中、後藤理髪店。1時間仮眠。
 午後、真夏のように暑い。シャツに白い釣り用ベストを着て出かける。「夢」へ。熱36度6分、血圧142−72。脈拍94。順調。「アピタ」で買い物して2時頃帰宅。玄関から自室への通路の壁にムカデ発見。キンチョールを吹き付けて、弱ったところをティッシュで摘まんでくるみ、それをハサミで細かく切ってゴミ箱に捨てる。ハサミで切らないとすぐ生き返る。昨日、ムカデ除けを撒いたので逃げ込んできたのだろう。
 夜、「ぼくは勉強ができない」を読み継ぎ読了。なんだかくどいなあという感想。
 10時入浴。全身を洗ったが、浴槽には浸からない。
 缶ビールを飲みながら志ん生の「佃祭」「幾代餅」を聞く。
 午前零時、熱36度3分。平熱。
 佐藤慶死去。肺炎、81歳。

5月7日(金)雨
 朝食後、洗濯。1時間仮眠。
 午後、図書館で佐々木譲『廃墟に乞う』を借りる。表題作は『オール読物』3月号の直木賞発表で読んでいたが、他の作品も読んでみたかった。「夢」へ。熱37度5分。高い。血圧146−77。脈拍97。「アピタ」で買い物して2時頃帰宅。夕食を挟んで『廃墟に乞う』を読む。
 夜8時半「にしの」「じゅうべえ」とはしご。「じゅうべえ」ではステーキを食べた。父との食事に肉はほとんど使わない。たまには肉を食べないと体が持たない気がする。11時半帰宅。午前零時、熱36度4分。

■草刈りを依頼


5月8日(土)晴
 午前8時から馬島さんが庭に入っている。雑草だらけで「ひどいですね」と馬島さん驚く。自分が肋骨を折っているので草取りができないのだ。
「柾」へ枕の直しを受け取りに行く。
 午前10時半、馬島さんにお茶を出す。縁側に座布団を置き、ペットボトルのお茶とカステラと雑菓子。30分ほど話す。今日中には全部終わらないようだ。畑のほうの草は明日午前中になる。
 午後「夢」へ。熱36度7分。血圧138−78。脈拍101。「アピタ」で買い物して2時帰宅。馬島さんの仕事はかなりはかどっていた。3時10分にお茶を出す。カステラの代わりに饅頭。仕事をする人には「甘いものを出さんといかん」と父に言われているので「アピタ」で饅頭を買った。陽が長くなってきたので家の周囲の部分は今日中に終わるとか。30分ほど雑談。
 4時にはヘルパーさんが来るので、台所で夕食の準備。
 馬島さんは6時半頃帰ったよう。
 夜、『廃墟に乞う』を読み継ぎ読了。『警官の血』のほうがはるかにいい。
 午前零時半に就寝も眠れず、起きてセルシン2錠追加。熱36度2分。平熱。

ぎぼうし
薔薇

5月9日(日)晴
 午前8時には馬島さんが来て、下の畑の草を刈り始めた。
 10時10分にお茶を出す。カステラと雑菓子。もうほとんど終わって、あとは刈った草を集めるだけのよう。畑と隣の空き地との境界が微妙なので、馬島さんと一緒に行ってここまでと指示する。11時20分、馬島さんの仕事終了。きれいになったが、またすぐ伸びてくるだろう。
 午後、図書館。新刊棚に手嶋龍一『スギハラ・ダラー』があったので借りる。この図書館に、彼の本はこれ一冊しかない。「夢」へ。熱37度1分。血圧123−72。脈拍91。
「アピタ」で買い物して2時帰宅。父の寝室、茶の間、和室、廊下に掃除機をかける。父は応接間に避難。
『文藝春秋』6月号が届いたので夕方まで読む。
 夕食は湯豆腐とあさりの鍋。まぐろ刺身。かぼちゃ煮をチン。800円したまぐろの刺身はうまかった。
 夜、東京の友人から電話。100歳の母が亡くなったとの知らせ。やっぱり。
『スギハラ・ダラー』を読み始める。午前零時半、熱36度5分。高い。室内温度が23度もあるせいか。

■「ラジオ深夜便」に坂崎さん

5月10日(月)曇
 午前中、1時間仮眠。
 午後、洗濯屋「はりぶん」に冬のジャケット4着出す。1960円。安い。
「アピタ」で同級生の丸山明美に会う。自分がメモを見ながら買い物しているので笑われる。メモしなければ必ず何か買い忘れる。2時帰宅。夕方まで『文藝春秋』を読む。
 4時15分になってもシルバーさんが来ないので電話すると「あっ、忘れてた」と言って飛んできた。65歳のおばさんだから仕方ない。自分だって物忘れがひどい。
 夜、『スギハラ・ダラー』を読み継ぐ。元NHKのワシントン特派員だった人だから取材はきちんとしている。ただ、自分は金融関係にうといので仕掛けがわかりにくい。
「ラジオ深夜便」に朋友・坂崎重盛さんが出ていた。懐かしい。午前零時、熱36度2分。平熱。

5月11日(火)曇
 午前8時、父が可知医院の順番取りに行った。自分の肋骨骨折を気にしてのことだ。
 自分だけ先に朝食し、父の分に食卓傘をかぶせておく。1時間仮眠。
 午後、「夢」へ。熱37度1分。血圧140−77。脈拍103。「アピタ」で買い物して、花屋で菊と白いカーネーションを買う。日曜日が母の日だったのを忘れていた。帰宅して仏壇を開け、花を活け、線香をあげる。
 夕方まで『週刊朝日』を読む。まず嵐山光三郎「コンセント抜いたか」に目を通し、次にフェルディナント・ヤマグチ「最後の審判」、中森明夫「アタシジャーナル」、池田清彦「机上放論」、「おふみ先生の朗朗介護」「週刊図書館」の順に読んでいく。
 夜、『スギハラ・ダラー』を読み継ぐ。なんだか世界の観光ガイド本みたいになってきた。目が疲れてきたので11時に読書を止め、入浴。全身を洗い、浴槽には腰まで浸かる。まだ肋骨が痛いので肩まで浸かるのが怖い。
 ビールを飲みながら志ん生の「金明竹」「佃祭」を聞く。いい気分。午前零時半、熱36度2分。平熱。

二人静
カルミア

■『1Q84』は退屈

5月12日(水)晴
 朝食後、洗濯。1時間仮眠。
 父が歌会に出かける日なので11時半に昼食。
 午後、「梅の木」でアメリカンコーヒーとスポーツ新聞。
「アピタ」買い物。「いけだ書店」で『週刊文春』を買う。週刊誌は「朝日」と「文春」の2誌だけ買っている。本はあまり買わない。最近買ったのは村上春樹『1Q84』@ABと桐野夏生『ナニカアル』くらいか。ついでに感想を記しておくと『1Q84』は退屈。パラレル・ワ−ルドどころか、もう一つの異界がありそうな謎で終わっている。村上春樹は謎で読者を引っ張っていくが、今回は謎のかけ過ぎで村上春樹の悪い面が出たような気がする。『1Q84』は書評のほうが面白い。勘違いしているのがいくつかあった。感心したのは、斉藤美奈子の「@とAで広げた風呂敷をBで畳んだ感じ」というもの。納得。
『ナニカアル』は林芙美子を知るための貴重な小説。実際にはないはずの日記を作ってしまったところがミソ。結末もいい。
 夜、『スギハラ・ダラー』を読了。まあ最後まで読めたけれど、知識をひけらかし過ぎという感じが強い。
「にしの」「いちりき」とはしご。11時帰宅。午前零時、熱36度1分。

5月13日(木)晴
 午前中、1時間仮眠。熱36度4分。
 午後、「すや」から母を亡くした東京の知人へ供物として「栗きんつば」を送る。「夢」へ。熱37度1分。血圧141−77。脈拍100。「アピタ」で買い物して2時帰宅。
 調理用の鍋の取っ手がぐらぐらするのでネジを締め替える。取っ手の木が硬くなかなかネジが入らない。1時間もかかってしまった。
 夜8時、還暦合唱団。終わって「かかし」。やきそば、やきうどんを食べ、11時解散。
 午前零時半、熱36度3分。平熱。

5月14日(金)晴
 午前中、1時間仮眠。
 午後、「夢」「アピタ」と回って帰宅し、坂道の落葉を掃いていると父が出てきた。倉庫から肥料を取り出し、庭の隅に植えてあるアカンサスの根元に入れた。我が家にはアカンサスの苗が二本あるが、表庭のは大きく成長しているが、もう一本は日当たりが悪いせいか成長が遅い。父は「ここの土が悪いせいや」と言う。
 夜、「田舎日記」の5月分をずっと書き続ける。午前零時半、熱36度1分。


アカンサスに肥料をやる父
成長したアカンサス

■一日一つの「お祭」

5月15日(土)晴
 午前中、1時間仮眠。熱36度3分。平熱。
 午後、「夢」へ。熱36度7分。血圧128−68。脈拍93。この数字を見るかぎり自律神経失調症は治りつつあるような気がするが、どうか。「アピタ」で買い物して2時帰宅。明日、廃品回収の日なので、ダンボールを縛り、古新聞の束を玄関に出す。
 夜、『文藝春秋』を読む。特集「足るを知るひと」が面白い。
 11時入浴。思い切って浴槽に浸かる。肋骨骨折はかなりよくなっているが、まだ完治ではない。午前零時半、熱36度5分。高い。入浴して肋骨が熱を持ったか。

5月16日(日)晴
 午前8時頃、門の所に出しておいたダンボールと古新聞を持って行ってくれた。
 洗濯したあと、1時間仮眠。熱37度1分。高い。
 午後、図書館。資料室で同人誌に発表する小説のあらすじを書く。3時帰宅。父の寝室、茶の間、廊下に掃除機をかける。洗濯物を取り入れる。
 夕食は先週の日曜日と同じ。湯豆腐とあさりの鍋、まぐろ刺身、かぼちゃ煮チン、漬物、オレンジ。
 夜、図書館で書いた小説のあらすじを検討。わずか20枚の短編だが、エピソードが四つは欲しい。苦吟。
『文藝春秋』の「『生きる力』藤沢周平この三冊」「追悼 こまつ座が見た井上ひさし」を読む。「ラジオ深夜便」。筑摩書房顧問の松田哲夫さんが出ていた。

5月18日(火)晴
 母の月命日なので仏壇を開け、線香をあげる。
 午前中、1時間仮眠。
 午後、図書館で柘植光彦『村上春樹の秘密』を借りる。柘植さんとは昔一緒に仕事をしたことがある。
 夜、『村上春樹の秘密』を一気読み。分かりやすい。
『週刊朝日』の「おふみさんの朗朗介護」を読むと、落合恵子の介護体験を紹介し、介護を続ける秘訣は、一日に一つだけ「お祭」を持つこととあった。「お祭」とは「楽しみ」と解釈したが、この日記には書けない「お祭」が多い。
 午前零時半、熱36度5分。

桜草の群生
カミソリの花

■15センチのムカデ

5月19日(水)雨
 午前中、1時間仮眠。
 午後、駅近くの中電ギャラリーへ「中津商業第34回卒業生 山紫会『心の居場所』展」を見に行く。写真、絵画、陶芸、彫刻、手芸、拓本などが展示されていた。還暦合唱団の仲間が出品しているので覗いた。これが自分の「今日のお祭」
 夜、以前に買ってあった松本清張『隠花の飾り』を読む。
 8時頃か、突然天井から何かが落ち、こたつ板の間へ逃げたのでごきぶりかと思ってキンチョールを吹き付けると、なんとムカデだった。それも15センチもある大きいやつ。キンチョールで弱らせ、ティッシュでくるんで踏み潰し、ハサミで5ミリずつくらいに細かく切る。こんなに大きなムカデを見るのは子供のとき以来だ。
 10時入浴。全身を洗ったがまだ浴槽に浸かる勇気がない。肋骨の違和感が消えない。
『隠花の飾り』を読み継いで読了。午前零時半、熱36度5分。

「心の居場所」展
しゃくなげ

5月20日(木)晴 暑い
 朝食後、洗濯。1時間仮眠も暑くて眠れず。
 午後、図書館で松本清張の短編集『殺意』を借りる。「夢」へ。熱36度8分。血圧130−77。脈拍95。「アピタ」買い物。「いけだ書店」で『週刊文春』を買い、2時過ぎ帰宅。坂道の落葉を掃き、もう一度ムカデ除けを自分の部屋の周りに撒く。白い小さな蛇を発見。縁の下へ逃げた。蛇は家の守り神だから触ってはいけない。
 夕方まで『週刊文春』を読む。お気に入りの連載は林真理子、小林信彦、椎名誠、宮藤官九郎、池田暁子、坪内祐三、シネラマ・チャートなど。
 夜、松本清張『殺意』を読み始める。これが自分の「今日のお祭」。
 午前零時、熱36度7分。高い。
 荒川修作氏死去。73歳。

5月21日(金)晴 暑い
 朝食の大根おろしは「俺がやる」と言って父が擂った。自分の肋骨骨折を心配しているのと、何でも一人で出来るという意志の現われ。
 午前中、1時間仮眠。熱36度8分。
 午後、暑いのでシャツにベストの夏姿で「夢」へ。熱37度0分。血圧133−73。脈拍98。2時過ぎ帰宅。夕方まで『週刊文春』を読む。
 夜、『殺意』を読み継ぐ。11時まで読んだらさすが目が疲れた。
 午前零時半、熱36度4分。

けしの花
セツコク

■腰痛再発

5月22日(土)晴 暑い
 午前中、1時間仮眠。熱36度4分。天気がいいので毛布と敷布を干す。
 父が歌会に出かける日なので11時半に昼食。
 午後、図書館で沖方丁『天地明察』を借りる。「夢」「アピタ」と回って1時半頃帰宅すると、父がまだいる。「どうしたの?」と聞くと「玄関の鍵がないのや」と言う。自分が先に出かけたので、父は玄関の鍵をかけて出る。その鍵がないという。いつも入れておく引き出しを調べたり、他の引き出しも探っている。「俺は大事なものはきちんとしとる。どこかへ忘れるなんてことはあり得ない」と言う。すごい自信だ。それで自分はぴんと来た。クローゼットの中にあるコートのポケットだ。前回はコートを着て出かけたから、そこに入っているはずだ。クローゼットを開け、コートのポケットを探すと鍵が出てきた。父は唖然としている。「もう歌会は止めや」と怒って服を脱ぎ、下着だけになって「俺は寝る」と寝室へ入ってしまった。96歳でも物忘れはないという自信が崩れてショックのようだ。
 茶の間、和室、廊下に掃除機をかけ、坂道の落葉を掃く。毛布と敷布を取り入れ、敷布は夏物に換える。
 夕食時、父が「腹の具合が悪いから少し減らしてくれ」と言うので、自分が父のごはんを三分の一削って食べる。鍵の物忘れのショックがまだ残っているようだ。
 夜、『天地明察』を読み始めたところへ、東京の自宅から電話。大学の同級生・島谷晃が亡くなったというメールが届いているという。びっくり。詳細がわからないので、すぐ島谷の自宅へ電話する。かみさんが出て、21日金曜日に脳溢血で倒れたとか。朝は元気だったが、かみさんが外出から帰ると倒れており、救急車で病院へ運んだがダメだったそうだ。東京の友人たちに電話する。自分は葬儀に出席できないので弔電を打つ。
 読書に集中できず「にしの」「いちりき」とはしご。午前零時帰宅。入浴せず即就寝。

ケアマネ垣内さんの定期面談

5月25日(火)晴 夜、雨
 午前10時、ケアマネージャーの垣内さん来。月末の定期面談。特に変化はないので30分で終わる。小1時間仮眠。
 午後、「夢」「アピタ」と回って1時半帰宅。あまり眠いのでふとんに潜るが眠れず。
 坂道の落葉を掃く。
 夕食後、突然の腰痛。肋骨にずっとバンドをしたままだったのがいけないのか。裸になって腰にバンテリンを塗り、バンドを腰まで下げて締める。
「田舎日記」46回を書き継いだあと『天地明察』を読む。外は暴風のような豪雨。

なでしこ
ラベンダー

■衣替え

5月26日(水)曇
 午前中、1時間仮眠。
 父は11時に歯医者の予約があり、11時前に出かけた。差し歯が欠けているので作り直すとか。11半過ぎに父帰宅。昼食中に父曰く「この歳で歯を治しても出来上がるまで生きとるかどうかや」かなり自嘲気味な発言。
 午後、「梅の木」「アピタ」と回り1時半帰宅。
夕方まで『小説新潮』6月号の「女による女のためのR−18文学賞」2作を読む。驚きなし。
夜、「田舎日記」を書き継いだあと『天地明察』を読み継ぐ。11時に読み疲れたので入浴。少しだけ浴槽に浸かる。肋骨はかなり良くなったが、まだ違和感が消えない。
午前零時半、熱36度4分。

5月27日(木)曇のち晴
 朝食後、洗濯。1時間半仮眠。たっぷり眠った感じ。熱36度8分。
 午後、東京へ来月分の生活費を振り込む。「夢」「アピタ」と回って2時帰宅。父の寝室、茶の間、和室、廊下に掃除機をかける。父は庭へ出た。坂道の落葉を掃く。
 夕方まで『週刊朝日』を読む。
 夜、『天地明察』を読み継ぎ、8時、還暦合唱団。23人集まる。終わって「かかし」で3年3組同窓会幹事会。7月の同窓会出席の返事は今のところ9人が出席。まだ半数以上返事がない。11時半帰宅。
 午前零時半、熱36度3分。平熱。

もっこう薔薇
てっせん

5月28日(金)晴
 午前中、1時間半仮眠。熱36度6分。
 午後、「夢」へ。熱36度7分。血圧134−70。脈拍98。「アピタ」で買い物し、2時過ぎ帰宅。クローゼットの整理。冬物を仕舞い、夏物を出す。
 夜、『天地明察』を読み継ぎ読了。「本屋大賞本」だから売れているようだが、囲碁と暦という地味なテーマの歴史小説。今年の「本屋大賞」は成功だと思う。
「にしの」「すし天」とはしごして11時半帰宅。

■今月も平穏

5月29日(土)晴
 午前中、1時間仮眠。熱37度1分。
 午後、回覧板を回し、図書館。『天地明察』を返却し、松本清張短編集『声』を借りる。
「夢」へ。熱36度3分。平熱。おかしい。血圧133−72。脈拍96。「アピタ」買い物。2時帰宅。夕方まで『週刊文春』を読む。
 夜、『小説新潮』6月号の佐々木譲「警官の条件」連載2回目を読む。どうやら『警官の血』の続編になるようだ。次に南綾子、窪美澄、大石圭の官能短編を読む。官能小説は難しいとつくづく知る。
 11時入浴。全身と頭を洗い、浴槽に肩まで浸かる。今夜から肋骨と腰のバンドをはずす。午前零時半、熱36度4分。

ブーゲン
都わすれ

5月30日(日)晴
 朝食後、洗濯をしたあと1時間仮眠。熱36度8分。
 午後、「梅の木」「アピタ」と回って1時半帰宅。  夕方まで『小説新潮』6月号の官能短編、蛭田亜紗子、乾ルカを読む。ウーム。
 夜、「田舎日記」5月分を書き継いだあと『声』を読み始める。  午前零時半、熱36度6分。高い。

5月31日(月)  
 午前中、1時間半も仮眠。熱36度6分。
 午後、父からカードを借り、十六銀行から50万円引き出し、自分の口座に入れる。今後4か月分の生活費である。「夢」へ。熱36度8分。血圧130−73。脈拍95。順調。「アピタ」買い物して2時帰宅。5月分の精算をする。総支出額10万9942円。父に見せると「これは二人分か」と聞くので「そう、二人分の全生活費」と答えると「ちゅうことは、月に10万から11万かかるということやな」と言った。わかっていることなのに毎月同じことを聞く。
 坂道の落葉を掃く。いくら掃いてもすぐ散ってくる。
 夜、『声』を読み継いだあと「にしの」。吉岡治が亡くなったことを思い出し「さざんかの宿」「大阪しぐれ」「天城越え」などを歌って11時帰宅。
 午前零時半、熱36度3分。平熱。
 今月も無事終わった。今月からこの日記の書き方を少し変えた。読んだ本や雑誌を明記し、寸評を加えることにした。でないと変化が付かない。
 明日6月1日は自分の誕生日。67歳になる。

薔薇
池のアヤメ

(次回へつづく)


大島 一洋  (おおしま・いちよう)
1943年岐阜県中津川市生まれ。早稲田大学第一文学部美術専修科卒。
大和書房を経て、平凡出版(現マガジンハウス)に中途入社。「週刊平凡」「平凡パンチ」「ダカーポ」「鳩よ!」などの雑誌および書籍編集にたずさわり、2005年定年退職。現在はフリー編集者&ライター。著書に『芸術とスキャンダルの間』(講談社現代新書)。
 
 
 
 


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