そら飛ぶ庭
   

介護日記
 
2010.3.8  

Diary of Country Life
Nursing of My Parents

退屈な日常

自分、両手にしびれ

父、元気に散歩

大島  一洋 

おいしいご飯

2月1日(月)曇のち雨、夕方雪
 新潟の知人が「魚沼産こしひかり」を送ってくれた。初めて食べる。噂には聞いていたが、こんなにおいしいとは知らなかった。粒が大きめで立っている。おかずは何もいらない。ごはんだけで十分。冷たい米とぎが楽しくなった。父に教えてやると「歳くったら何食っても同じや」と言ってふりかけを掛けた。
 午後、喫茶店「夢」へ。店に置いてある血圧計で測る。139−71。脈拍95。順調。
 夕食後、9時まで読書して「にしの」「じゅうべえ」とはしご。「じゅうべえ
」ではサーロインステーキを食す。たまには肉を食べないと体が持たない気がする。11時帰宅。
 午前零時、熱35度7分。下がり過ぎ。

茶の間で雑誌を読む父
モチノキの実

2月2日(火)曇
 朝食後、1時間仮眠。熱36度4分。
 午後、「夢」へ。血圧126−70。脈拍80。順調。熱は高いことがわかっているので測らない。「アピタ」で買い物をして2時帰宅。夕食まで読書。炬燵から手を出せないほど寒い。
 夜、9時まで読書したあと「いちりき」。客は誰も来ず、自分が行かなければお茶ひくところだったかも。10時半帰宅。読書の続き。午前零時、熱36度2分。平熱。

喫茶室「夢」
「夢」で血圧を測る

2月3日(水)晴のち曇 節分
 午前中、1時間半仮眠。自律神経失調症の薬グランダキシンが効いているせいか、たっぷり眠ってしまった。熱36度5分。起きてすぐ昼食の準備。
 午後、三洋堂でDVD8本借りる。半額デーなので8本借りても715円。水曜日は「夢」が定休日。「梅の木」でアメリカンコーヒーとスポーツ新聞。「アピタ」で買い物。2時帰宅。節分なので、父に「福豆」を10個食べさせる。「一粒10年やから10個で100歳や」と言うと嬉しそうに笑った。表と裏庭、台所、玄関などに豆をまく。あとの掃除がめんどうなので「鬼は外」だけにする。
 夜、DVD「失われた肌」を見たあと読書。午前零時、熱35度9分。下がり過ぎ。

喫茶店「梅の木」
スイトピー

時間が足りない

2月4日(木)曇のち晴
 午前中、1時間半仮眠。寝過ぎだ。熱36度5分。
 午後、回覧板を回し、新町の東美濃農協組合へ行き、1月分のシルバー料金1万272円支払う。「夢」でアメリカンコーヒーとスポーツ新聞。血圧122−79。脈拍104。
「アピタ」で買い物したあと玄関に荷物を置いて、父に頼まれた宅急便を「高木酒店」から出し、吉田商店で灯油2缶注文。
 2時半頃帰宅したら天気がよくなってきたのでふとん、毛布、シーツを庭に干す。夕食まで読書。
 夜、8時、還暦合唱団に参加。終わって同級生5人と「かかし」で軽飲み。11時半帰宅。熱36度4分。
 小沢一郎不起訴。朝青龍引退。

2月5日(金)曇時々雪のち晴
 毎日、同じことの繰り返しで、日記を書くことすら飽きてきた。父の体調は良く、自分は炊事、洗濯、掃除をこなしているだけ。午後は、喫茶店でアメリカンコーヒーとスポーツ新聞。「アピタ」で買い物。夜はDVDを見て、週に二日ほど酒場へ行く。あとは読書だが、雑誌を読むだけでも精いっぱいで、単行本は月に2冊くらいしか読めない。会社勤めのない日常というものは、こんなものなのだろうか。何かしなくてはという焦りはあるが、何に手をつけていいのかもわからない。基本的に時間が足りないのだ。昼間は朝食、昼食、買い物、夕食と時間が決まっているので、自由になる時間が少ない。夜はその気になれば5時間くらい自由になるが、朝が早いので夜更かしはできない。気晴らしにDVDを見るか酒を飲むしかない、というのが現実だ。なんだかつまらない。

2月8日(月)曇
 午前7時半起床。寒い。室内温度3度。父が起きてこないので寝室へ声をかけると「えろう寒いし、今日は朝刊のない日やし、もうちょっと寝るわ」と言うので自分だけ先に朝食。父は9時頃起きたよう。
 昼食後、「夢」へ。あまりに寒いので、毛糸の帽子をかぶり、耳当てをし、特大マフラーを巻き、ダウンコートの完全防寒装備で出かける。熱37度1分。血圧140−79。脈拍89。まあ順調。「アピタ」で買い物。2時帰宅。1時間半読書。
 ヘルパーさんが来る4時前に台所へ行き、ストーブをつけ、夕食用の材料を並べる。ヘルパーさんが料理している間に、小型掃除機で台所、トイレ、玄関を掃除する。4時45分にヘルパーさんが帰ったあと、翌日用の米をとぎ、料理を温め直して5時に父を呼ぶ。
 父の耳が遠いせいもあって、食事中の会話はほとんどなし。食器を洗い、夕刊を読み、6時のニュースを見て自室に。明日の食事メニューを作り、買い物をメモする。
 DVD「ウオッチャー」を見る。8時過ぎた頃に父が「お休み」と自分の部屋に声をかけて寝室へ消える。8時半に着替えて「にしの」へ。自分が調べた限りでは「にしの」はこの町で一番安い店。ボトルがあればチャージ1500円でカラオケは無料。客はみんな馴染み客。4曲ほど歌って11時帰宅。雑誌を読み、「ラジオ深夜便」の最初の部分だけ聞いて、セルシン、デバスを服んで12時半就寝。熱35度6分。下がり過ぎ。

はぼたん
かすみ草

■脳梗塞の前兆か

2月10日(水)雨
 朝食後、冷蔵庫脇の籠の中を整理する。インスタント食品で賞味期限切れのものを全部捨てる。明日はごみ出しの日だ。
 父が歌会に出かける日なので30分早めて11時半昼食。トースト、ヨーグルト(キウイ&キンカン入り)、トマト&ポテトサラダ、バナナ。
 雨の中、三洋堂まで歩き、DVDを返却し6本借りる。雨のせいか温かい。
「梅の木」でアメリカンコーヒーとスポーツ新聞。
 郵便局へ行き、年賀状の当選切手(父1枚、自分4枚)をもらう。「アピタ」で買い物。2時過ぎ帰宅。父の留守中に寝室、茶の間、廊下に掃除機をかける。父は4時過ぎに帰ってきた。
 両手の指先がぴりぴりしていることに気づく。なんだろう、脳梗塞の前兆だろうか。心配になって同級生の薬剤師・丸山明美に電話すると「それは多分ストレスのせいだと思う」と言われた。
 夜、DVD「ウーマン・オン・トップ」「殴者」を見たあと入浴。ビールを飲みながら読書。熱36度3分。平熱。

2月11日(木)雨 建国記念日
 朝食後、洗濯。雨なので廊下に干す。1時間仮眠。熱36度6分。
 午後、「夢」へ。血圧127−74。脈拍100。「アピタ」買い物。2時帰宅。
 夕食まで読書。
 夜、DVD「カンパニー・マン」を見たあと、父が寝たのを確認して「にしの」「すし天」「いちりき」とはしご。12時帰宅。飲み過ぎた。熱36度2分。平熱。

エニシダ
紫の百合

2月13日(土)晴
 朝食後、後藤理髪店。
 父が歌会に出かける日なので11時半に昼食。きつね・月見そば。トマト。キンカン。バナナ。
 散髪したので後頭部が寒い。毛糸の帽子をかぶって「夢」へ。熱37度2分。血圧137−69。脈拍99。「アピタ」で買い物して2時帰宅。夕食まで読書。
 夕食後、門灯をつけにいくと、玄関に赤い小さな袋が置いてあり、中に父宛のメモとチョコレートが入っていた。短歌の弟子からのよう。父に渡すと「これは、例のバレンなんとかいうやつか」と聞くので「そうや」と答える。自分が知るかぎり、父がバレンタインデーにチョコレートをもらうのは初めてだ。
 夜、DVD「大王世宗」の最終話を見る。面倒なので途中の回をすっとばした。朝鮮文字がいかにして出来たかがよくわかる。10時半入浴。ずっと読書。午前零時、熱35度8分。下がり過ぎ。両手指先のしびれが消えない。首が重いので頚椎の骨がずれているかもしれない。
 玉置宏死去、76歳。

蕎麦を食べる父
父が煮たキンカン

■肋間神経痛

2月14日(日)晴
 日曜日の夕食は、ヘルパーさんが来ない日なので、毎週同じ牡蠣味噌鍋と冷凍かぼちゃ煮チン。自分としては、ぽん酢で食べたいのだが、父が「味噌がええ」と言うのだから仕方ない。
 夜、ずっと読書。
 冬季五輪、上村愛子4位。

2月15日(月)雨
 両手の指先のしびれが消えないので、午後2時半に「熊谷治療院」へ。首の頚椎の骨がずれているのが原因とか。2〜3日すれば治るらしい。右胸の上部が痛いので「風邪ですか」と聞くと「肋間神経痛」だと言われた。治す方法はないとか。
 夜、原稿書き。午前零時、熱36度2分。平熱。
 ディック・フランシス死去。84歳。

熊谷治療院
庭のわびすけ

2月16日(火)曇
 朝食の準備中に可知医院へ父の定期健診の順番取り。11番だった。
 父は10時半に可知医院へ出かけた。パソコンで「肋間神経津」を調べたがよくわからない。
 父が昼過ぎても帰ってこないので自分だけ先に昼食。父の分には卓上傘をかぶせておく。12時15分頃父帰宅。自分は「夢」へ。熱37度1分。血圧144−81。脈拍99。
「アピタ」で買い物したあと、玄関に荷物を置いて可知医院へ自分の夕方診察順番取り。
 夕食後5時半に可知医院。両手の指先のしびれは脳梗塞の前兆ではないらしい。もし脳梗塞なら左右どちらかがしびれるはずとのこと。肋間神経痛も首の骨のずれからきているかもしれない、しばらく様子を見ましょう、という診察結果。ひとまず安心。
 夜、ずっと読書。午前零時、熱36度3分。平熱。
 冬季五輪。スピードスケート長島銀、加藤銅メダル。

2月17日(水)曇
 両手の指先のしびれが弱くなってきた。肋間神経痛が痛いので痛み止めの薬ロキソニンを服む。熱36度7分。
 午後、図書館で2冊借りて「梅の木」でアメリカンコーヒーとスポーツ新聞。「アピタ」が休みなので、四つ目川沿いの「スマイル」で買い物。品数は少ないが「アピタ」より安い。午後2時帰宅。父の寝室、茶の間、廊下に掃除機をかける。父は近所へ散歩に出た。
 夜、ずっと読書。10時半に入浴すると、指先のしびれも肋間神経痛もほとんど消えていた。午前零時、熱36度2分。平熱。

プルモナリア
福寿草

2月18日(木)晴
 昨夜、雪が降ったらしい。風景がうっすらと白い。朝食後、洗濯。
 午後、「夢」。血圧142−77。脈拍101。高い。
 夜、パソコンで昨年の確定申告書を作る。昨年は69万円しか稼げなかった。還付金8万円。だんだん仕事が減っていく。今年は全く予定なし。年金だけでは生活できない。貯金がどんどん減る。怖いくらいだ。三日間酒場へ行ってない。
 午前零時、熱36度3分。平熱。
 藤田まこと死去。76歳。

■パソコンをチェック

2月19日(金)晴のち曇、時々雪。
 奇妙な天気。晴れているのに粉雪が舞っていたりする。
 午後、郵便局から確定申告書を東京の杉並区役所へ発送。
「夢」へ。血圧141−77。脈拍99。「アピタ」買い物。2時帰宅。夕方まで読書。
 夜、9時まで読書を続けたが我慢できず「いちりき」へ。客誰もいずお茶ひくところだったらしい。11時帰宅。熱36度2分。平熱。
 冬季五輪。男子フィギュア高橋銅メダル。

2月21日(日)晴
 午前中、1時間仮眠。熱36度6分。
 午後「夢」へ。熱37度5分。血圧140−74。脈拍98。「アピタ」買い物。2時帰宅。父の寝室、茶の間、廊下に掃除機をかける。父は散歩に出かけた。坂道の落葉を掃く。
 夕食は牡蠣味噌鍋、かぼちゃ煮チン。よく飽きないものだ。
 夜、DVD「アナザー・エフェクト」「スリーピング・ディクショナリー」を見たあと入浴。読書。午前零時、熱36度4分。

2月22日(月)曇
 朝食後、洗濯。
 午後「夢」へ。血圧124−68。脈拍106。「アピタ」で買い物して2時帰宅。
 3時にパソコンのプロバイダー「タケネット」深谷さん来。パソコンをチェックしてもらう。DVDの片面2層が映るようには出来なかった。DVDレンズクリーナーを買って試してみたらどうかとのアドバイス。最もいけないのはタバコだそうだ。タバコを喫いながらパソコンに向かっているのだからダメなのだ。サラリーマン時代、パソコン室は禁煙だったのを思い出した。
 夜、9時まで読書して「にしの」へ。馴染み客たちとカラオケ合戦になってしまった。深夜12時帰宅。熱36度2分。平熱。

うたた寝する父
デンドロビューム

■体がなまる

2月23日(火)晴
 午前中1時間半仮眠。熱36度7分。
 午後、回覧板を回し、電気店「デオデオ」でDVDレンズクリーナーを買い、三洋堂まで歩く。DVD10本借りる。半額デーなので10本で845円。「夢」へ。熱37度5分。血圧112−67。脈拍105。この時間は熱が最も高くなる。
 2時に「熊谷治療院」。両手の指先のしびれが戻ってきてしまったので治療。首の頚骨のずれは慢性的なもので、時々通って治してもらうしかないのだが、一回3200円だから毎週は経済的に無理だ。
「アピタ」買い物。3時帰宅。父は散歩に出ていた。一日中炬燵に入ったままだから「体がなまる」と言って散歩する。96歳とは思えない。
 夜、DVD「夏の香り」@Aを見る。韓国の恋愛ドラマ。午前零時、熱36度1分。平熱。

2月24日(水)晴
 午前中1時間仮眠。熱36度4分。
 午後、買い物から帰ったあと、ふとん、毛布、シーツを干す。温かい。室内温度16度。
 夜、DVD「夏の香り」BCDEFを飛ばし見。予想していた通りの展開。
 午前零時、熱36度3分。平熱。

これ造花
調べものをする父

2月25日(木)晴
 午前中、1時間仮眠。熱36度5分。
 午後、三洋堂へ。DVDを返却し、6本借りる。「夢」へ。熱37度5分。血圧123−69。脈拍99。銀行から東京へ生活費を振り込む。「アピタ」買い物。2時帰宅。父は床屋へ出かけていた。
 DVDレンズクリーナーを試すが、やはり片面2層は映らない。
 夜、DVD「夏の香り」Gと最終話Hを早送りで見たあと、還暦合唱団に参加。20人も集まっていた。終わって「かかし」で同級生4人と軽飲み。11時帰宅。熱36度2分。平熱。

ろう梅
玄関に活けた、ろう梅とわびすけ

2月27日(土)晴のち曇
 午前中、1時間仮眠。熱36度5分。
 午後、「夢」へ。暑いくらいの陽気。コートもセーターもいらない。どうなっているんだろう。このまま春になってしまうとは思えないが。血圧137−67。脈拍103。
「アピタ」買い物。2時帰宅。父の寝室、茶の間、廊下に掃除機をかける。坂道の落葉を掃く。夕方まで原稿書き。室内温度19度。
 夜、DVD「コレクター」のリメイク版を見る。10時入浴。手のしびれ消えない。一度市民病院で診てもらう必要があるかもしれない。午前零時、熱36度4分。

クリスマスローズ
えびね

2月28日(日)雨のち晴
 朝食後、洗濯。1時間仮眠。熱36度8分。
 午後、三洋堂へDVD返却。しばらく借りないことにする。読まねばならない雑誌と本が溜まっている。「夢」が臨時休業なので「アピタ」で買い物して1時半帰宅。2月分の生活費を精算。総支出8万6042円。今月は28日間しかないので10万を超えなかった。特別出費を引くと、一日平均2100円。まずまず。父に見せると「ご苦労やった」と言った。
 以前から気になっていた台所の電気の傘をはずして、マジックリンで洗う。きれいになった。夕食のとき、父に「明るくなったやろ」と言うと「電球換えたのか」と答えるので「違う、傘洗ったんや」と説明する。意外に気が付かないものだ。自己満足だけ。
 夜、原稿書き。
 チリ大地震で日本に津波。冬季五輪スピードスケート女子団体追い抜き銀メダル。
 今月も平穏に過ぎたが、自分の両手指先のしびれだけが心配。自立神経失調症の微熱と同じストレスが原因ならいいけれど。              
             

(次回へつづく)


大島 一洋  (おおしま・いちよう)
1943年岐阜県中津川市生まれ。早稲田大学第一文学部美術専修科卒。
大和書房を経て、平凡出版(現マガジンハウス)に中途入社。「週刊平凡」「平凡パンチ」「ダカーポ」「鳩よ!」などの雑誌および書籍編集にたずさわり、2005年定年退職。現在はフリー編集者&ライター。著書に『芸術とスキャンダルの間』(講談社現代新書)。
 
 
 
 


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