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不思議な民主党の代表選挙(首相選び)である。大震災に原発事故、世界連鎖株不安、円高という難問に、どのように立ち向かうのかどの候補からも聞かれない。いつもの5人組が有楽町の中華料理店の2階に集まって、民主党の代表選挙や「政権交代」は何だったのかなどを語った。
震災対策、円高、ドル安、覚悟を語ろう
― 民主党代表選挙の立候補者が出そろったね。
A 東日本大震災や円高など経済が抱えているテーマは予想以上のスケールだ。代表選挙の顔ぶれから誰が選ばれようと、国難を乗り切ることは不可能ではないか。すぐに行き詰まってしまうよ。
B 政治空白をつくらないためとはいえ、8月27日告示、29日投票と開票というのはいくら何でも短い。日本の首相を選ぶ代表選挙なのに、これでは激務をこなせる力量のある人物かどうかを見極めるストレステストにもならない。ワシントン・ポストではないが、国民を馬鹿にするなといいたくなるね。
米、中国では長丁場の「ストレステスト」
A 中国では来年の党大会で、国家主席就任が確実視される習近平副主席が、米副大統領と会談するなど、試運転をはじめた。米の大統領選挙も来年秋だが、いまから候補者選びが本格化している。これから1年以上の長丁場であらゆる角度から「ストレステスト」が行われるが、トップはそれくらい大事な職責なのだという認識が欲しいよ。
E 菅さんにはアイデアがあっても実行する力はなかった。その最大の原因はいたずらに党を分裂させたからだ。新代表は党再生に向けて、結束してパワーを出す挙党態勢が作れるかどうか、その一点に尽きるね。
A 少子高齢化社会に入り社会保障や、雇用問題も不安がある。自民党の一党支配を終わらせ税金の無駄遣いや天下りの撲滅など、政治が官僚をコントロールして、日本のシステムを再起動させて欲しいということだ。
党内抗争にエネルギー使い果たす
― 足腰を固めなければいけないのに、党内抗争ばかりしていたね。
D 国家公務員制度改革、一般会計と特別会計の一本化、天下り廃止など、マニフェストで約束したことを1つでも実現しようとすれば、霞が関ばかりではなく、自民党や財界も巻き込んで猛烈な反対運動が起きる。党のエネルギーを結束して当たらなければいけないのに内向きの権力闘争ばかりして、10分の1もパワーが出せなかった。
E 辞めていく人を悪くいうのは武士道精神に反するかもしれないが、「改革の小泉」に比べて度胸も胆力もなかったね。
橋本自民政権も増税でつまずいた
― 菅政権を弱体化するために財務省が消費税増税をいわせたのかな。
C 増税でいえばこういう話がある。橋本龍太郎政権(1998年7月)の参院選は、「自民勝利間違いなし」とメディアも報じていたのだが、投票日1週間前に橋本は、増税を示唆したのだ。ところがものすごい反発があってあわてて言い直したが後の祭りで、選挙結果は改選議席61に対して44しかとれず大敗だった。それが退陣に直結したのだが、橋本は後になって「(財務省に)やられたな」といっていた。
C 菅さんの場合もそっくりだ。しかし、その後がいけなかった。突然の10%アップでつまずいたので、支持率を上げようと小泉手法を真似て、小沢一郎元代表を悪者に仕立てたが、こんどは党内が分裂して政権権基盤を弱まってしまった。
D そして弱まった求心力をカバーしようと、さらに官僚頼りになりめろめろになった。財務省は増税という手を使えば、自民党政権でも民主党政権でも倒せるのだな。財政赤字は自分たちにつくった責任があるのではないか。
A 菅さんは日ごろから先人の失敗譚ぐらい研究しておけばよかった。かつては安岡正篤とか四元義隆とか政治家に「帝王学」を教える人物がいたのだがね。
「政権交代」の原点を放棄した
C 半世紀ぶりに実現した「政権交代」の大事な原点を放棄したこの辺りから、ポストにしがみついているだけ、というところが誰の目にも分かってしまった。お天道様はちゃんとみてござるというわけだな。
― 自民党や霞が関の反発やいやがらせも手が込んでいたね。
D 自民党の中堅議員が、民主党議員の政治献金問題やスキャンダルはほとんど、官僚からのリークだといっていたよ。
B 官邸サイドの話だが、菅さんは自民党から「子供手当の乗数効果はいくらか」と質問されて立ち往生したことがあったが、財務相時代、乗数効果の意味がよく分かっていなかったので、官僚が自民党にたれ込んで質問させるという手の込んだ嫌がらせをしている。
E 党が結束さえしていれば、びくつくことはないしいくらでも反撃できたのにね。
外交機密、事業仕分けなどは前進
― 政権交代で評価すべきことはないのかな。
B 外務省密約、農家の戸別補償、子供手当などはそれなりに評価していいと思う。
C 密約は自民党政権だったら政府はいまだに知らぬ存ぜぬを繰り返していただろう。戸別補償も農協や特殊法人などの中間搾取をやめて、直接、税金を農家に手渡そうという手法だ。日本航空の問題がきっかけになったオープンスカイも一歩前進だ。東京電力もそうだが、独占はいかん。競争によってチェック機能が働くようにする必要がある。
D 各省庁にある記者クラブは、世界で日本だけらしい。閉鎖性、独占性がいわれていたが、外務省、金融庁、総務省で一部だがオープン化がされた。
事業仕分けは税への関心高める
B 事業仕分けも挙げていい。「廃止」などの8割以上が復活してしまったが、市民が予算編成や税金の使い方に関心を持つ大きなきっかけにもなった。これも評価してよい。
B 省庁への接触も民主党の幹事長を通さなければならなくなったから、陳情のスタイルも変わってきた。霞が関も自民党議員に直接会いにくいので、不満を漏らしていた。
E 1700人以上もいる各種審議会などで、出ずっぱりの御用学者や官庁OBなどが少しずつ交代しているのも前進かな。おかしなことはすぐにインターネットで出回ったりするし、少しはチェック機能が利いてきた感じだ。
政治家の構想力、勇気、責任感
―まだ民主党政権が続くわけだが、「政治主導」はどうだったのか。
B 最初が肝心なのだが、政権が変わったのだから霞が関の事務次官には辞表を書いてもらう。例えば、この内閣は天下り法人は廃止する方針だから、これに反対ならばお引き取り願うという一札ぐらいは必要だろう。これくらいやらないと長年、自民党と一緒にやってきたのだから何事も進められないよ。政権が交代すれば、また同じことをするわけだ。
C 強いリーダーシップといわれるが、国家公務員制度改革とかムダの排除はだれが政権につこうと、日本の財政事情を考えると避けては通れない。政治学の入門書にもあるように、官僚の知恵を借りることは大事だが、政治家は日ごろから有権者に接して広い視野があるのだから、方向性を出すとか、物事をまとめるとか、構想力、胆力、勇気、責任感を磨いていることだね。
E 更迭したはずの経産省の3幹部に退職金の前倒しとして1000万円超上積みした。こういうことをやっていては、日本中の綱紀が緩んでしまう。それに財政赤字がたまる一方だ。次期政権は見直すべきだよ。
D メディアも小沢陣営や反小沢陣営の分析などはめっぽう詳しく報じるが、日本の方向付けについてもっと議論を発掘して欲しいね。
A 何事も最初が肝心だ。「『亡国とは亡にいたってしかる後に亡を知る』ことだ」と中国の古典にあったが、後になって気がつくのでは手遅れになる。いま世界は歴史の大きな分岐点に立っていると思う。政治家の面々には、しっかり反省をした上で頑張って欲しいと願うのみだ。
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