【詩の庭】 遠くなった言葉と風景
2007.03.12
Vol.2 柴刈り縄ない
 裏山には杉が植わっていた。杉は下枝を切り取ってやらないと真っ直ぐ伸びない。だから定期的に枝を木のかなり上の方まで切り取ってやる。
  そうすると、杉の木は天に向かって真っ直ぐ伸びる。手入れをしていない杉山はすぐ分る。その枝打ちされて下に落ちている枝切れを、しばらくたって程よく枯れたころ、拾ってくるのが子供の役目だった。その枝切れは風呂やかまどの燃料になった。
縄を作ったり、わらじを作ったりするのは、お婆さんやお爺さんの主として役目で、だいたい夕食が終わった後も少ない明かりで黙々とやっていた。それを子供も手伝った。

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 「 柴刈り縄ない わらじをつくり 」、というのは二宮尊徳のことを歌った小学唱歌。子供のころ聞くともなく聞いて覚えていた。「 わらじを編んで、お金を稼いで、親孝行をした。しかもその間読書をして勉強していた 」。偉い人物だと聞かされていた。
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  金次郎ともいって、校庭の一角にその像があったのを覚えている。でも、いたるところにあった尊徳像はいつのまにか全く見かけなくなった。軍国主義の時代にもてはやされた人ゆえに、誰も語らなくなったのだろうか。二宮尊徳本人は像ができたときにはもうとっくに亡くなっていたし、時代の変化とは何も関係ないことだと思うのだが。
 
【 遠くなった言葉と風景 掲載記事一覧 】
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Vol.6 いたずらの輝き本文を読む
Vol.5 連絡船本文を読む
Vol.4 親に叱られて、家出して、そして泣きました本文を読む
Vol.3 ハナ垂れ小僧と紙芝居本文を読む
Vol.2 柴刈り縄ない本文を読む
Vol.1 うさぎ追いし本文を読む
 


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