【知の庭】 おらが藩
2007.05.14
Vol.13(鹿児島藩) 霧島が日本最初の新婚旅行の地 坂本龍馬とお龍の二人 西郷隆盛のあしらいで
 日本で一番初めに新婚旅行に選ばれたところは、鹿児島県の北部、霧島の温泉郷といわれている。その旅をした人はあの幕末の志士、坂本龍馬とその妻、お龍である。
 
 幕末の混乱した時代に、京の都から九州の鹿児島までの新婚旅行を実行したである。薩摩藩の用意した船に中岡慎太郎らとともに乗り込み、長崎の竜馬がつくった日本発の株式会社、亀山社中に寄った後、錦江湾に龍馬らは入る。
  慶應二年(1866年)1月に長州藩と薩摩藩との間の政治、軍事同盟を坂本龍馬は中岡慎太郎らと、斡旋して成功している。その直後、龍馬は京都郊外の伏見の寺田屋に泊まっている時に、襲われる。機転を利かせて、その寺田や襲撃事件で龍馬を救ったのがお龍だ。しかし、龍馬はその時、傷を負った。
  薩摩藩の西郷隆盛は、傷ついた龍馬の療養もかねて、お龍とともに霧島に誘う。二人は結婚し、船に乗って旅立つことになる。
  錦江湾にある浜之市港で下船して、霧島に向かう。結婚相手のお龍は、安政の大獄で連座した楢崎将作の娘で、母親らを養うために、働いていた。龍馬はそんなお龍を、寺田屋での、出来事の前から知っていたようだ。
 
写真
霧島のふもとに広がる町。走る電車の姿もどこかのどかだ。
 
西郷隆盛はのちの回想の中で、龍馬のことを、志士の中でも傑出していてその度量は計り知れないほどだった、と評していたといわれる。そんな龍馬が薩長同盟成立直後に負傷したため、ねぎらいたかったのだろう。この二ヶ月にわたる霧島での新婚旅行は龍馬にとっても、最高に骨休めになったことだろう。西郷隆盛は龍馬が亡くなった後も、お龍の面倒を見ている。
 
写真
霧島の登山風景。山並みが続く。
 
龍馬は浜之市港についた後、お龍と一緒に日当温泉、塩浸温泉などに宿泊、高千穂の嶺にも登っている。高千穂では逆鉾を抜いたり刺したりして、遊んだという話も残っている。自然の中で、羽目を外して楽しんだのだろう。
それから間もなく龍馬は、京都の近江屋で中岡慎太郎とともに、刺客に暗殺される。二人の新婚生活はあっという間に終わった。
【写真協力: (社)鹿児島県観光連盟 】
 
鹿児島ひとくちメモ
◆ 田中一村
 奄美大島にひかれて、画家である田中一村は五十歳で移住して、なくなるまで奄美の魚や鳥、植物などの自然を描き続けた。奄美大島には田中一村記念美術館が建てられて、一村の作品を公開している。絵を描いて亡くなるまで暮らした家も奄美市名瀬に保存されている。

◆ 焼酎王国
 鹿児島の名産はなんといっても、サツマイモで作る焼酎だ。黒糖もあるが生産量はイモの方が圧倒的に多い。九州では焼酎の生産が盛んだが、大分は麦で、米を用いるのは熊本。もともと鹿児島は火山地帯で、米が育ちにくかったため、沖縄から入ってきたイモを使って焼酎の生産に努力した。水分が多く、保存がしにくいイモは酒造りにはあまり向かない原料だが、味でも米に劣らないよいものが、できるようになった。

◆ 悲しい土地
 鹿児島は本土の最南端にあることから、太平洋戦争のころも戦略上の防衛最前線にされてきた。だから、特攻隊の基地が鹿児島には多くあった。知覧、鹿屋、国分、出水などである。
  中でもよく知られているのが知覧。そこには知覧特攻平和会館が建てられていて、当時をしのぶことができる。知覧から出撃した特隊員の遺書や遺品が展示してある。
 
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イラスト 長宗我部 友親  (ちょうそがべ・ともちか)
親房系長宗我部家の十七代。通信社の記者を経て、現在株式会社企画の庭の代表取締役。著書に『なごやの忘れもん』、『街かど経済入門』などがある。
 


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