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国内旅行
諸藩見聞録
第8回【薩摩藩(鹿児島藩)】後編 薩摩の象徴は噴煙が上がる桜島
錦江湾と桜島。海の青さが強い太陽光を受けて美しい。
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  霧島の春。躑躅など色とりどりの花が咲く。
   
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  屋久島。杉の古木が多く、自然が息づいている。
   
 薩摩でもっとも知られている観光地のひとつは、煙を吐き続けている桜島であろう。桜島は鹿児島県の錦江湾にあり、御岳というAクラスの活火山によって形成される。文明、安永など過去に何度も噴火している。最近では昭和30年(1955年)にも大噴火があり、現在でも噴煙が上がっている。桜島の山腹には各年代の溶岩流があり、その噴火の歴史を探ることができる。
 桜島は全島が火山噴火によるもので形成されているため、生育する農産物には限界がある。それでも「桜島大根」や「桜島小みかん」などの特産品がある。
 薩摩は霧島屋久国立公園を持っている。公園にはこの桜島を含む錦江湾地域をはじめ、韓国岳、高千穂峰などの霧島地域、そして屋久島地域に分かれて、雄大な観光地となっている。屋久島には九州では最高峰の宮之浦岳などがあり、縄文杉などヤクスギの巨木群をはじめとする特殊な植物群が見られる。特異な自然環境をもち、世界遺産にも登録されている。
 
 薩摩には武士の厳しいしつけとともに産業育成による文化の花も咲いた。きらびやかな薩摩焼、海外からの影響を受けた薩摩切子、薩摩琵琶などがある。
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  薩摩焼。白薩摩と黒薩摩があり、素朴な中にも強さがある。
   
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  薩摩切子。長崎などから伝わった技術を元に、薩摩独特の技法を編み出した。
   
 朝鮮の役に参加した島津義弘が朝鮮から連れ帰った李王朝の陶工たちによって始まったのが薩摩焼である。鹿児島の豊かな風土に育まれて薩摩焼は育った。黒薩摩と白薩摩に大別される。黒薩摩は素朴で剛健な焼き物として庶民の生活に使われ、漆黒の光沢をもっている。白薩摩は藩主の御用釜に由来しており、表面に貫入といわれる細かいひびが入っている。慶応三年(1867年)のパリ万博に島津藩単独で出品されて好評だった。世界に「薩摩」の名が広まった。
 ヨーロッパの影響を受けたのは薩摩切子である。長崎などから伝わってきたガラス製造の技術を元にガラス職人が薩摩独特の技法を編み出したのが薩摩切子だ。斉興によって始められ、斉淋が集成館事業の一環として完成させた。江戸から職人を招いて江戸切子の技法も学んだ。
 江戸切子が透明なガラスに切子を施したものに対して薩摩は色被せと呼ばれる表面に着色ガラスを用いた技法による。特に、その色の層が厚く、これに切子を施すことで、色のグラデーションが生まれるといわれる。
 
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  薩摩藩の居城鶴丸城の本丸跡に造られた鹿児島県歴史資料センター「黎明館」。
   
 教育面では安永二年(1773年)に江戸幕府の政道にならって、場内二の丸に宣成殿を軸とした講堂、学寮、文庫から成る学校を設けた。藩主は重豪の時代である。
 さらにこれに併設して弓馬剣槍などの稽古場である演武館をつくり、文武両道を奨励した。また、薬園や医学院も設置した。その狙いは現実に対応できる人材の育成だった。この伝統は現在にも息づいている。