【趣の庭】軽井沢便り Vol.73
 趣の庭】千駄木だより  Vol.2
2016.8.29   

Sendagi Journal

千駄木発、四日市への挑戦

市を元気にするプロジェクトを提案



荒井 久  


 伊坂ダムのウォーキングコースがきっかけ


  このコラムが「千駄木便り」に変更になったこともあり、今回はやや硬い話をしたい。東京都文京区千駄木は僕の住まいでもあるのだが、ここに株式会社ソリッ ク、そして今度は文京区湯島で信州うどん「おざんざ」の店「湯島春近」を経営する株式会社春近も本社を置いている。今回はソリックの話。今、ソリックは四 日市に深く関わっている。

  なぜ「四日市をより元気にするプロジェクト」をご提案することに至ったのか。四日市市八郷連合自治会のコミュニティサイトを成功させた経験から、ごのプロジェクトが「四日市市民、企業、市を豊かにするための大きな力」になると確信したからだ。

  話は6年前の2010年に遡る。縁あってその2年ほど前に四日市市に移り住んだ株式会社ソリックのパートナーは、自宅から2kmほどの伊坂ダムに大いに魅 せられる。周囲3.6kmにサイクリングロードが完成していたが、里山の林に覆われた全コースはサイクリングよりも絶好のウオーキングコースにも見えた。

周囲3.6kmの井坂ダム

  車の走らない里山の林の中を1周する森林浴40分の散策。当時既に年間20万人近くが訪れていたことを知り、これを100万人規模にしたいと想いを馳せる。早速、このことを多くの人に呼びかけようとブログサイト「伊坂ダムの景観」を立ち上げたのだった。
http://otonasenka.blog7.fc2.com/


 ブログの美しさ、機能に感心

  そして多くの読者が「伊坂ダムの景観」に関心を寄せるようになる。八郷まちづくり委員会の副委員長を務めていた久保田領一郎さんもその1人。久保田さんは「まちづくり」の共通項を感じると共に、そもそもそのブログの美しさ、見やすさにも感心する。

里山の花も咲き乱れる

 久保田さんがこのブロガーに一度会ってみたいと思ったのは、もう一つの背景があった。10年も以前に八郷まちづくり委員会のホーム ページ(HP)が立ち上がり長らく続いていたのだが、結局は個人依存が強いシステムのため休止に追い込まれていたのだった。まちづくりの推進役として大変 に気掛かり。そこで久保田さんはその悩みをソリックにぶつけてきた。個人依存型でやってきたHPの構築、運用をソリック・パートナーにお願いしたかったと いう。


 「全員参加」が奇跡を生む

  しかしソリックは、せっかくだから全員参加型のHPにしようと提案をしたのだった。この時点では久保田さんは全員参加型の持つ意味を深く理解しないままに 事が進むことになる。ところが徐々に住民の方々が楽しく参加するようになり、HPへのアクセス回数が多くなるにつれて久保田さんもことの重要性に気づいて くる。

  ここで久保田さんにスイッチが入る。全員参加型のHP普及に熱が入ってきたのだった。一般に、全員参加型のHPを住民の方々に浸透させるのは容易なことで はない。技術的に難しい事ではないのだが、要は主旨を理解していただき、HPを楽しんでご利用いただく方々をどうやって増やしていくか。通常では長い時間 が掛かる。八郷地区の場合、久保田さんの熱意もあって住民の方々、 特にスポーツ団体の監督や選手や家族の方々には直ぐに受け入れられた。さらに年配者の方々が徐々にスマホを持ち、自ら投稿を楽しむ年輩者が増えてきた。

八郷ソフトボール専門部での活動


   年輩者のカラオケ会の素晴らしい写真がアップされた時、久保田さんもソリックも輝かしい成果を確信することになる。この時点では中小企業用のプラット フォームを使ってのやりくりだったが、もはや同志ともなった2人のボランティア活動。それが5年もの歳月を掛けて実を結んだのだった。実はコンセンサスを 共有するまでには長い時間が掛かるものの、いざ理解が進むと急速にことは運ぶ。これもその時に得た教訓だった。そういう意味では成功を実感できるまでに5 年掛かったとも言えるし、最後のわずか1年で出来たとも言える。

アジサイ広場での楽しい会合

  理屈では誰にでも理解していただける小さな自治会のHPの活性化。ところがいざ実行しようとすると様々な弊害が飛び出してくる。自ら行動しようとする方々 はほとんどいないからだ。八郷地区の場合、当初は八郷まちづくり委員会のHPとして作られたが、後に八郷地区20自治会の集合体である八郷連合自治会の HPとして、いわば格上げされて今日に至る。現在、1日当たりの平均アクセス数は2000回にも上る。とんでもなく地域活性化が進んだ。どうもがいても成 功しない他の地区の現実を見るにつけ、もはや「八郷の奇跡」と言っても過言ではない。

  しかし、サイトが活発に利用されるようになって初めて今度は、中小企業用プラットフォームでの不便さに気がつく。圧倒的なサーバーの容量不足に加えて使い勝手も改善しなくてはならなくなった。その改善版がソリックの手で2016年8月中旬に完成した。


 地方創生施策の一丁目一番地

   東京文京区に本社を置く株式会社ソリック代表取締役の僕、荒井久は10年前に「Web2.0の鼓動」(風雲社刊)を著しており、インターネットは1対Nの 時代からN対Nの時代になってきたと主張していた。それがようやく現実のものになってきたと実感している。今や八郷地区は安全に楽しく運営されており、 「Web3.0」の時代に突入したと言っても過言ではない。

   2015年秋、八郷地区でのソリックの活動に大きな興味を持ったのが四日市大学環境情報学部4年の中島克己君。それまでに知り合いだったという久保田さん からのご紹介だった。中島君はまだインターネットが普及していなかった小学生の頃からパソコンに親しみ始めたという。中学1年の時にはHTML(ウェブ ページを作るためのファイル形式の規格)を学んで個人のホームページ開設までやってのけた。中学3年になるとアフィリエイトの仕組みを知り、ネットで広告 収入を得ようと試みる。3種類の言語を使ってプログラミングを本格的に勉強したのは大学に入ってからだが、まさに「ネットの申し子」とも言える若者だ。そ の中島君は大手企業への就職を拒否して、2016年3月に大学を卒業するや、ソリックの四日市での活動に参加してくれている。

   自治会の活性化はネットから。ネットで仲良くなりリアル社会でも仲良くなる。2025年問題と言われる大量の後期高齢者の発生は、もはや多くを行政に頼れ ないことを想像させる。自治会で近所仲良く助け合って生きていかねばならない。そう主張する久保田さんは現在、20もの自治会の集合である八郷連合自治会 の副会長。八郷地区での成功をもとに四日市市内24ヵ所の連合自治会にも同様な自治会の活性化を熱く語り掛けている。ネットによる地域活性化は経済活動の 活性化そのもの。今、日本で叫ばれている地方創生施策の一丁目一番地なのですと。私たちソリックもまったく同感だ。


 生活で、経済で輝く四日市のために

   今、日本地図をネットというメガネで眺めると三重県四日市市の八郷地区がやけに輝いて見える。どこの地域でも経験のなかった活性化が進んでいるからだ。そ して次に輝きを放つのはソリックらが手掛ける四日市市の楠(くす)地区と神前(かんざき)地区だろう。こうして四日市の各地域が次々と輝きを放つ中、四日 市全体の輝きを新たに同時進行で創造したい。「四日市をより元気にするプロジェクト」というソリックの提案は、そこに主旨がある。地域経済の発展には最も 近道だとソリックは確信する。

   八 郷地区は5年を掛けて、全国に先駆けて奇跡を生んだ。三重県の、四日市市の誇りだと思う。八郷発四日市市へ、四日市市発全国へ。「四日市市民ポータルサイ ト」が実現すれば、市民の活性化、産業の活性化が力強く進む事は間違いない。地域が活性化すれば、例えば市内での求人活動でも極めて合理的に事が運ぶ。極 めて低料金で効率良く人材を募集できるからだ。

   今やネット検索、ネット利用のアクセス量は企業にとっても、行政にとっても総合力の強さを物語る。2年後、3年後、ネットのメガネで日本地図を眺めた時、まるでビジネスで輝く東京のように、住民パワー、経済活動が輝く四日市市。私たちソリックはそれを夢見ている。


荒井 久
1945年、長野県生まれ。1968年、東京電機大学電子工学科を卒業して日本経済新聞社に入社。 日経BP社で日経ニューメディア編集長、日経コミュニケーション編集長などを歴任。「コンピュータ・テレフォニー」「ビットバレーの鼓動」「モバイル・イ ンターネットの鼓動」「Web2.0の鼓動」など著書多数。02年、株式会社ソリック(www.soriq.jp)を設立、代表取締役として現在に至る。09年1月、ソリックブックスとして藤原忠彦著「平均年収2500万円の農村」を刊行。09年6月からは、長野県下の名産物をネットで販売する「採れたて長野」( http://www.rakuten.co.jp/toretatenagano/ )を経営している。2016年1月6日、株式会社春近を設立、おざんざの春近1号店「湯島春近」を2月2日に開店。

 
 
 


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