【趣の庭】軽井沢便り Vol.73
 趣の庭】千駄木だより  Vol.1
2016.7.28   

Sendagi Journal

「旨いっ!」のひと言が欲しい

信州うどん「おざんざ」の店を開く



荒井 久  

  長らくのご無沙汰でした。わけあって軽井沢ヴィラAraiをたたみました。本業の出版業は変わらず、ネットショッピング「採れたて長野」とネット事業は相 変わらずのままですが、なんとこのほどワイフの俊恵と2人で文京区湯島に信州うどん「おざんざ」の店「湯島春近」を開店したのでした。千駄木を根城にまだ まだ挑戦は続きます。

信州うどん「おざんざ」の店「湯島春近」

    ワイフの実家は静岡県伊東市の鮨屋でした。子供の頃から見よう見まねで父に手習いを受けると共に日本食の「味」を学んできました。 小学校時代には地元の友達を招いて「お寿司屋さんごっこ」と称してお寿司を振る舞うこともたびたび。そのあと父親は、お客様用に準備していたネタが無くな り大慌てするのですが。俊恵の味の基礎はこの時から培われてきたのでした。

    地元の伊東商業高校を卒業して帝国ホテルに就職。サービス業の本質を学び、後に大学、大学院でも学問の基礎知識を身に着けました。

ベジタブルダイニング晴れ晴れ家(文京区根津)

 その後は会社員としてこ こ10年は営業経験、シニアマネージャとなっていたのですが、50歳に到達して今後の夢を考えたとき独立を決心します。荒井久(夫)が出版業の傍らで始め た、ベジタブルダイニング「晴れ晴れ家」を2年ほど手伝ったことで調理人としての自信も深めていました。パリ、ミラノ、ローマ、ジュネーブなどでのイタリ ア料理研修旅行でも自分の味を磨く基礎ができてきたのでした。

魚介のチーズパスタ(ジュネーブで)


トマトソースパスタ(ジュネーブで)

 「おざんざ」は旨いもの探しの旅で


   文京区湯島に信州うどん「おざんざ」の店「湯島春近」を開店したのは縁あってのことですが、かつて夫婦で信州の旨いもの探しに旅したとき、元長野県農政部 長氏に推薦されたのが「おざんざ」でした。俊恵はその言葉の響きに快さを感じ、長野県佐久市出身の久は子供の頃の家庭料理を思い出していました。

   久の思い出は60年も以前のことですが、6人兄弟の5番目の久は長兄「春近」が作るおざんざが楽しみだった。「今日はおざんざでも作ってあげようか」との 春近の言葉に兄弟たちは目を輝かせた。おざんざ(ほうとう)は水分を限りなく少なくして作るから力持ちしかできなかったのです。

佐久市は浅間山のふもとに広がる

  季節の野菜、根菜をたっぷり入れた味噌煮込みうどん。煮込みに負けない腰のあるほうとうです。グルメで力持ちだった長兄・春近が亡くなってからすでに8年が経ちます。

    幸いにしてそのおざんざの伝統を引き継ぎ、長野県製麺技術士第一号で認定された有限会社伴野が長野県佐久市にあるのです。久はその伴野からの提供を受け、 2,3年前には文京区根津で経営した「晴れ晴れ家」で「ほうとう」を提供、好評でした。

長野県製麺技能士第1号の伴野澄朋氏


 「おざんざ」を「春近」を東京で流行らせたい

   そんな背景もあり2015年12月、久と俊恵は文京区湯島で「おざんざ」の店を開くことを決意するのです。俊恵は脱サラしての開店ということになります。

書家の友人である澤井仁氏がプレゼントしてくれました


  2016年1月6日、春近の誕生日だったこの日に株式会社春近を2人が出資して設立、おざんざの店第一号として2月2日、文京区湯島で「湯島春近」を開店させました。
   2人の想いはひとえに「おざんざ」を、「春近」を東京で流行らせたい。

  「湯島春近」は出汁と素材と安さにこだわる

   「おざんざ」と言えども、日本食のうどんの一種であることに変わりはありません。俊恵は「健康的食材で美味しくて安価」をコンセプトにしました。「出汁(だし)が命」を貫くのです。

   できる限り天然 羅臼昆布、伊吹産いりこ大羽を前日から水出しし、鰹節・宗田節・鯖節の厚削りを加えて引く。

様々な名品で出汁(だし)を引く

  その白出汁に、「天草の通詞島 釜炊き塩」、「ヤマシン醸造の白醤油 極み」、「福来純3年熟成本みりん」を使い、さらに「つけつゆ」には極上の「関ヶ原たまり醤油」を使用。いずれも逸品です。湯島春近の厨房には化学調味料 はありません。また明太子には無着色はもとより無添加のものを取り寄せ、バターはカルピスバターを採用しました。

味付けも最高な品々から



  「うどん屋」の発想を超えた幅広いメニュー

   肝心なおざんざメニューも多岐にわたります。ほうとうに使われる太麺を2mm幅に切り出した細麺、3mmに切り出した中太麺を使い、冷ざるから冷かけ、め かぶ納豆ぶっかけ、温玉梅おろしぶっかけ、牛肉温玉ぶっかけ、温かいかけおざんざでは油揚げのきざみ、鶏もも、豚しゃぶがあり、釜玉明太バター、豚野菜カ レー、豚野菜チーズカレーにも広げました。

牛肉温玉ぶっかけ



釜玉明太バター


豚野菜チーズカレー

 さらに俊恵が得意なイタリアン系の技も活かしてツナニラペペロンチーノ、トマトモッツァレラ、さらにはピリ辛坦々もあります。


ツナニラペペロンチーノ

トマトモッツァレラ


 季節ものでは桜の花を練りこんだ「さくら」、ヨモギをねりこんだ「よもぎ」があり、夏になった今は熊笹を練りこんだ熊笹麺が好評です。

季節の冷ざる熊笹

 湯島春近は「水」にもこだわっています。最近、有名ラーメン店で導入が相次いでいる「πウオーター」を導入。口に入る物の水にはこれを採用しました。何よりこだわりの出汁を引くのに効率が良いのが嬉しいのです。




荒井 久
1945年、長野県生まれ。1968年、東京電機大学電子工学科を卒業して日本経済新聞社に入社。 日経BP社で日経ニューメディア編集長、日経コミュニケーション編集長などを歴任。「コンピュータ・テレフォニー」「ビットバレーの鼓動」「モバイル・イ ンターネットの鼓動」「Web2.0の鼓動」など著書多数。02年、株式会社ソリック(www.soriq.jp)を設立、代表取締役として現在に至る。09年1月、ソリックブックスとして藤原忠彦著「平均年収2500万円の農村」を刊行。09年6月からは、長野県下の名産物をネットで販売する「採れたて長野」( http://www.rakuten.co.jp/toretatenagano/ )を経営している。2016年1月6日、株式会社春近を設立、おざんざの春近1号店「湯島春近」を2月2日に開店。

 
 
 


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