【趣の庭】沖縄・黄金(くがに)の庭
2009.11.30   
「残り物の福」つながりで久米島へ

大規模酒造所の「福」で、のびのび育ち、
小さな島の新名物になったモノ

林 秀美
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しばらく「最西端の島」の話が続いたので、
今度は「久米島」へ。

久米島は那覇から西に100キロ、
飛行機だとわずか30分で行ける島だ。

島全体が県立の自然公園に指定されていて、
起伏に富んだ、緑豊かな島としても知られている。

豊かな自然は良質の湧き水を生み、
古くから湧き水を利用した稲作が盛んに行われてきたという。
その湧き水は、今、泡盛の仕込みにも使われている。

島には『久米島の久米仙』と『米島酒造所』の2軒があり、
前者は県内でもトップレベルを誇る規模だ。

周囲48キロ、人口1万人弱の島に、
そんな大規模な酒造所があるのもビックリだけど、
その酒造所からの「残り物の福」の恩恵にあずかっているのが、
近年、人気を集めている、久米島地鶏だ。

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日本全国はもとより、海外進出も果たす大規模酒造所。
社名も銘柄名も『久米島の久米仙』。

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厳密な管理の元、ぶくぶくと発酵しているもろみ。

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ずらりと並ぶ古酒甕。温度や湿度の安定した環境で熟成され
ますます深い味わいを醸し出している最中。

久米島の地鶏は「牧場」と名付けられた山で飼育されている。
牧場といえども、養鶏所特有の、
アノ香りがするのでは……と気にしつつ出かけてみたのだが、

あらま。
牧場は、酒造所の同じ甘〜い香りに包まれていた。

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ヒヨコからたいせつに育てた鶏は、
緑豊かな土地を自由に駆けて、元気に成長する。

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これが搬入された泡盛の酒かす。
粉砕して飼料と混ぜたものが鶏のエサとなる。
ブロック上の酒かすを囓ってみたら、
ほんのり甘くて予想以上においしかった。

久米島の鶏たちは、
泡盛の酒カスを配合した、特別なエサを食べて広い山を自由に駆け回り、
マイナスイオンをたっぷり含んだ海風を受けて元気に育つ。
足下の肥えた土に潜む元気なミミズを
時折ついばんだりしているのかもしれない。

なんちゅう贅沢な鶏なんじゃ、と思いきや、
彼らは「生産者」でもあり、健康な鶏が生み出す副産物は、
良質な肥料として活用されているのだそう。

鶏の生産物は、近隣の農家に分けてあげ、
その畑でとれる野菜もまた、「格別な旨さ」なのだという。

小さな島で循環する、有機的なシステムが確立されているのだ。
 
食べるのに夢中で写真を撮りそびれたけれど(失礼!)
このうえない環境で育った久米島地鶏は
ぎゅっと身が締まり、濃厚な味わいだった。

今、久米島地鶏はネット通販などでも入手可能になっているが、
久米島でしか味わえないのが、
新鮮な鶏をネタにした握り寿司だそう。

居ながらにして全国各地の美食を堪能できる時代にあって
「現地に行かないと食べられない」モノは
ある意味、希少価値があるといえるだろう。

これからも「残り物の福」が生み出す
新しい味や、知らない何かに出会えるのかもしれない。

「福」に出会う旅、
イイモンに出会ったら、またお知らせしたいと思います。


林 秀美(はやし ひでみ)
1961年、香川県生まれ。
沖縄在住・フリーランスライター。大阪〜東京の出版社勤務を経て、フリーに。97年、唐突に沖縄に転居。沖縄で初めて出くわす、この地ならではの習慣などを面白がっているうちに10年経ってしまった。主な共著に「沖縄のナンダ(シリーズ)」(双葉文庫)、「沖縄オバァ烈伝(シリーズ)」(双葉社)、「沖縄なんくる読本」(講談社)など。

 


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