【趣の庭】沖縄・黄金(くがに)の庭
2009.3.16    
一攫千金、牛1頭!?
黒島「牛祭り」に行ってみた

林 秀美

前回、黒島の「アーサ(=海藻)」のことを書いたが、
今度は「牛」のお話し。

写真1
黒島は石垣島から船で30分ほど。
黒島への入り口となる石垣島の離島桟橋からすでに、お祭りムードが漂う。
往復の船とイベントの抽選券、食事券がセットで販売され、
乗船前から「牛1頭」が当たる抽選への期待が高まる(!?)のだ。

黒島の「アーサ」も有名だけど、
実は「牛の島」として、その名を聞くことのほうが多い、と思う。
……というより、島の人たちががんばって、
「牛の島・黒島」をアピールしているのだ。

それが、毎年2月に行われる「牛祭り」で、
2009年に17回めを迎えた、島を挙げての一大イベントだ。

島人総出の温かい手作りイベントだが、
人々の注目は(語弊があるかも知れないけれど)
なんといっても、生きた牛が一頭まるまる当たる抽選会だろう。

写真2
黒島の港では、牧草ロールがお出迎え。
島を挙げて、牛祭りを盛り上げている気持ちがヒシヒシと伝わってくる。

ほぼ200人が暮らす島に、牛が約3000頭。
そこへやって来た人は3500人というから、
イベントの人気ぶりが分かるだろう。

当日は船の臨時便もたくさん出て、
次から次へと客を満載した船が到着する。

石垣島の中高生のグループや、
黒島出身者らしい人の家族連れ、
年に一度の再会を楽しんでいるリピーター、
そのほか全国各地からの旅行者たちで港はごった返していた。
(遠くは北海道から、という人もいた!)

港からすぐのところに作られた会場では、
ライブステージあり、優良牛の展示あり、牛の図画コンクールあり……と
大人から子どもまで、思い思いに楽しめる工夫が凝らされている。

ここでの目玉は、牛5頭を使ったという牛肉三昧の食事コーナーだ。
名物の「牛汁」をはじめ、豪快なステーキや焼き肉、牛丼、牛そばなど、
牛尽くしのブースが並び、長い長い行列ができていた。

写真3
豪快に焼き上げる牛のもも肉。長〜い行列ができていた。
写真4
ドラム缶の炉が並べられた「セルフ焼き肉」コーナーも人気。

黒島の畜産は、生後7か月ほどの子牛を出荷する
「子牛生産」と呼ばれるものだそう。

それぞれの地域で、体重が約3倍(600〜700キロ)になるまで育てられた後、
その土地の銘柄牛として出荷されるという。

我が身には縁の薄いシチュエーションながら、
レストランで高級銘柄牛に舌鼓を打ちつつ、
黒島に思いを馳せてみるのもいいかもしれない。

写真5
牛との「ふれあいコーナー」も設けられていた。
子牛は人を怖がることもなく、のんびり近寄ってくる。もぉぉぉぉ〜。

イベント会場では、
重さ400キロもある牧草ロールをころがすゲームや、
闘牛と人との綱引きなどのゲームで、えらい盛り上がりを見せている。

いい意味で、昔の田舎の運動会という雰囲気が漂い、
温かい空気感に満ちている。

「なんだ? この、ほのぼの感は?」

もてなし上手な黒島の人の気質を強く感じるが、
その元にあるのは、
「牛祭りで多くの人に黒島の牛を知ってもらいたい。
さらに牛の島として栄えるだけでなく、
祭りを次なる産業につなげたい」という
畜産に関わる島の若者たちの情熱なのだ。

そして、その思いに応え、
応援しようと駆けつける多くの人の愛情が交差して
独特の温かい空気を生み出しているように思えてくる。

写真6
人と綱引きをして「遊んでくれる」闘牛。
「屋部小さな兵隊号」というフシギな名前がついていた。
写真7
これが「賞品」の牛。
ていねいにブラッシングしてもらい、おめかししてから、もらわれていく。
心なしか、寂しそうな表情。♪ドナドナ〜

いよいよお待ちかねの大抽選会!
丑年の大盤振る舞いで、今年は2頭の牛が「賞品」だった。

ううっっ、当たったらどうしよう。
どうやって那覇に連れて帰ればいいの?
集合住宅のベランダで牛を飼ってもいいの?
うわ〜、どうしよう……。

とかいう、あらぬ心配をヨソに、
牛は石垣島からやってきた2人の客がゲットした。

あらま。

当たった牛を連れて帰る人の追跡取材はできなかったけど、
いつかは、体験してみたいモンだ。

この祭りは、毎年2月の最終日曜に行われる(予定)。
「牛1頭」を夢見る人は、ぜひどうぞ。


林 秀美(はやし ひでみ)
1961年、香川県生まれ。
沖縄在住・フリーランスライター。大阪〜東京の出版社勤務を経て、フリーに。97年、唐突に沖縄に転居。沖縄で初めて出くわす、この地ならではの習慣などを面白がっているうちに10年経ってしまった。主な共著に「沖縄のナンダ(シリーズ)」(双葉文庫)、「沖縄オバァ烈伝(シリーズ)」(双葉社)、「沖縄なんくる読本」(講談社)など。

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