【趣の庭】沖縄・黄金(くがに)の庭
2008.12.22    
歳末・大収穫祭!

ごろごろ獲れたはいいけれど。


林 秀美

いもの話を、こんなに長く続けるとは思わなかった。
とはいえ植えてしまったモノは、収穫するまで責任がある、のだ。
(人んちの畑ではあるけれど)

で。今度こそ、大収穫を願っていも掘りに出かけた。
イマドキ、いも掘りといえば、
幼稚園児の秋のイベント、というイメージが強いのだが、
師走の沖縄、晴天の元で大汗をかいて、畑シゴトにいそしんだ。

写真1
ネッチリした粘土質の畑。
スコップを突き立てるたびに大汗が吹き出す。


実は、いも掘りは人生初。
でも作業はいたって簡単。繁りに繁った蔓をカマでザクザク刈り、
なんとなーくアタリをつけて、スコップで掘り起こすだけ。

土の中から、いもが顔を見せる様は
ふはは、と笑ってしまうようなあっけなさ。

それでも、前回「キミはゴボウか?」と言いたくなるような
ひょろっとしたものしか見ていなかった目には、
今回のリッパな姿はうれしい収穫。

写真
ごろごろ出てくる、リッパないもたち。

スコップで大きないもを突き刺してしまったり、
いもを食べる(?)アリンコの大集団や、
なんだか分からぬムシたちがゾロゾロ出てきて大騒ぎになったり、
なんだかんだと失敗しつつも、短時間でこーんなに獲れた!

写真
2時間ほどで、大収穫。 それはいいけど、どうする? いもたち。

いも料理と言っても、
せいぜい焼きいもか、ふかしいも、
よくて天ぷらぐらいしか思い浮かばない。

とほほ。

沖縄料理を見てみると
いもと米で作った雑炊に、いもの葉を入れた
「カンダバージューシー」というのが一般的なメニュー。

米が主食になり得なかった貧しい時代には
ふかしたイモに、スクと呼ばれる小魚の塩辛(スクガラス)を載せたものが
人々の暮らしを支える食べものだったという。

うむむー。
言っちゃ悪いが、ソソられるメニューという感じでもない。

不精モノの極みみたいな展開で恥ずかしい限りだけど、
いも畑の帰り道、そのまま友人の店に駆け込んだ。

上品な和食のお店。
厨房で腕を振るう友人に

「押し売りに来たで。いも持ってきた。
なんか作って〜。
でも、天ぷらとか大学いもとかはイヤ!」

なんちゅう、ワガママな展開。
「あのねぇ…」と呆れつつも、
ささっと調理してくれる、心やさしいうちなーんちゅ(沖縄の人)。

写真
写真

蒸したいもを裏ごしし、軽く味付けて天ぷらにした上品な「いも天」と、
素揚げして、さっと煮た「いも煮(っていうのか?)」


ほへー、さすがぁ〜、と言いつつ
いもをサカナに飲み過ぎてしまった。

聞いた話では、
江戸時代後期には『甘藷百珍』なる料理本が出版されていたそう。

いもを使った料理が、123種も紹介されていて、
「いものかまぼこ」や「いもの肉(魚のすり身らしい)詰め油揚げ」など
けっこう手間暇のかかる料理が満載されている、らしい。

いもひとつを見ても、畑で汗して、
厨房でも手間ヒマを惜しまない人たちがいるのだな。

そこらのスーパーで、袋に入った作物をチャッと買い、
適当に調理している我が身を反省した(だけの?)、師走の一日。


林 秀美(はやし ひでみ)
1961年、香川県生まれ。
沖縄在住・フリーランスライター。大阪〜東京の出版社勤務を経て、フリーに。97年、唐突に沖縄に転居。沖縄で初めて出くわす、この地ならではの習慣などを面白がっているうちに10年経ってしまった。主な共著に「沖縄のナンダ(シリーズ)」(双葉文庫)、「沖縄オバァ烈伝(シリーズ)」(双葉社)、「沖縄なんくる読本」(講談社)など。

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