【趣の庭】沖縄・黄金(くがに)の庭
2008.11.25    
那覇の港で発見
いもと魚で自給自足!?

知念の畑には行けず…
新たな展開へ
  知念の畑・その5

林 秀美

■「イモ・はだし論」が渦巻いた地
毎回、いそいそと知念の畑に通っていた身だが、
なんだか、わさわさしていて知念に行きそびれてしまった。

沖縄で「イモの話」をしようと思うと、
イモを上手く利用した独自の食文化やら、
イモを活用したベンチャー企業の成功話やら、
いろいろテーマがあるのだけれど。

うむむー、と悩みつつぶらぶら歩く那覇の町。
折しも那覇市長選の真っ最中。
(あ、これがアップされる頃にはすでに決着していますが)

選挙と言えば、耳に新しい『Yes we can』のように、
分かりやすく的確なスローガンが話題だけど。

かつて、沖縄では選挙戦で
『イモ・はだし論』が議論された時代があったという。

写真1
そろそろ師走……という季節なのに
明るい夏空(?)の広がる那覇の港。
いやいや、注目ポイントは海ではなく、足下の緑色


もちろん、2008年の市長選ではなく、
米軍統治下にあった1968(昭和43)年の話。

政治にも歴史にも疎い私が、こんなこと書くのも申し訳ないけれど、
68年の県知事選に当たる主席公選を前に、
当時の米高等弁務官が、こんな言葉で革新側を牽制したそう。

「基地が撤去されると、
沖縄は、たちどころにイモと裸足の経済に戻る」

その後の展開や政治・経済の話は置いておくとして。
「イモ」は貧しさの象徴として、人々の心に刻まれてしまった。

ある居酒屋で聞いた話では、
イモ料理をメニューに掲げると
「せっかく何でも食える時代になったのに。
なんで今さらイモを食わねばならんのか!」と怒り出す人までいるそうだ。

■イモで年商30数億円の企業も
なんちゅう不憫なイモよ……と思いきや、
あっぱれ、紅芋!

いまや紅芋は、沖縄の特産品としての地位を確立し、
イモを使ったお菓子で、年商30数億円という企業もある時代。

写真
コンビニでも買える、有名どころのお菓子。
物色していたら、紅芋ロールパンとかいうのも発見。
後ろの「葉っぱ」は、先日のイモ掘りで、
ザックリ割ってしまった知念のイモ。水栽培で、スクスク成長中!

写真
袋をあけると、こんなふう。

ペースト状にすれば、
お菓子に練り混んだり、アンコにしたりと
何かと使いやすそうな上に、発色もきれいなので
さまざまな商品を目にする機会は多い。

そうだそうだ。
本島近隣の島々への船が発着する港へ行けば、
おみやげ用の紅芋商品があるはずね〜、と港へぷらぷら。

……と。
なぜか、海辺にイモを発見してしまった!

今まで何度も通っていた道なのに、
足下の「イモの葉」に、ぜんぜん気がついていなかった。


写真
港の道端で、ケナゲに成長するイモたち。
龍も見守ってくれているのだろうか?

さらに、港のターミナルビルの花壇にも
我が物顔で、イモが青々と育っているのを発見!

それもこれも知念の畑で、
イヤというほど、雑草の絡みつくイモの葉を見てきた成果か!?


写真
ターミナルビルの花壇で、なぜか成長を続けるイモたち。
うーん、なんでコンナトコロに……?
来たるべき(!?)「イモの時代」に備えているのか、那覇市?

写真

えーっと。
我ながら、いったい何を書いているんだと思いつつ。

港にイモ。
いざとなれば、那覇でもイモとサカナで命を繋げる、らしい。
ンなことで安心してどーする、と思うけど、
決して心地よい環境ではない街中でも育つイモ。
イモはやっぱりエライのだ!



林 秀美(はやし ひでみ)
1961年、香川県生まれ。
沖縄在住・フリーランスライター。大阪〜東京の出版社勤務を経て、フリーに。97年、唐突に沖縄に転居。沖縄で初めて出くわす、この地ならではの習慣などを面白がっているうちに10年経ってしまった。主な共著に「沖縄のナンダ(シリーズ)」(双葉文庫)、「沖縄オバァ烈伝(シリーズ)」(双葉社)、「沖縄なんくる読本」(講談社)など。

【沖縄・黄金の庭 掲載記事一覧 】
■労せず収穫
 2月の海は、緑の畑!?
本文を読む
■サクラ、タンカン、ムーチーで始まる
 沖縄の正月
本文を読む
■歳末・大収穫祭!
 ごろごろ獲れたはいいけれど
本文を読む
■那覇の港で発見 いもと魚で自給自足 !?
 知念の畑には行けず…
 新たな展開へ 知念の畑・その5
本文を読む
■収穫よりも、芸術の秋!
 焼き芋の行方は……? 知念の畑・その4
本文を読む
■抜いても抜いても 生えてくる
 思わぬ副産物を発見 知念の畑・その3
本文を読む
■せっせと植えた
 紫の葉っぱは誰のため? 知念の畑・その2
本文を読む
■知念の畑で汗だく
 イモを植え、雑草にアタマを悩ませる
本文を読む
■「南の島でのんびり暮らしてみっかぁ〜」
 沖縄の土地は神様からの借り物
本文を読む
 


トップページ会社紹介著作権についてお問い合せ
Copyright (c) Flying Garden Rights Reserved.