【趣の庭】沖縄・黄金(くがに)の庭
2008.8.25   
  せっせと植えた
紫の葉っぱは誰のため?
イモだけじゃない  知念の畑・その2
林 秀美   

写真1
知念

■アントシアニンだらけ!?

とにかく知念の「畑」は「ひと山」なのだ。
イモ畑の先を下っていくと、そこには、さらにもうひと畑……。

5月のイモ植え作業の日、
「おー、終わったー。ビールビール!!」と喜ぶ私に
非情な声が降ってきた。

「あ、終わった? じゃ、次!」

紫のイモの次は、紫の葉モノを植えるというのだ。
その葉モノは、沖縄でいうところの「ハンダマー」。

沖縄に来て初めてその存在を知ったので、
沖縄の野菜かと思いきや、
和名を「スイゼンジナ」というそうだ。

熱帯アジア原産、キク科の植物とのことだが、
熊本県の水前寺周辺で栽培されていたことから
その名がついたといわれているそう。


写真
ハンダマー
葉っぱの表が緑、裏側が鮮やかな紫色のハンダマー。
ナマのときは美しい色だけど、
炒めるとクッタリと黒っぽくなってしまう。

写真
ハンダマーサラダ
炒めたり茹でたりしてもおいしいけれど、見た目がイマイチ。
…と思っていたら、ナマでもOKなんだって。
居酒屋で発見したハンダマーサラダ。

鉄分を多く含んでいるので、貧血や血行不良によいとされ、
沖縄では古くから「女性の薬」とも言われていたそうだ。

調べてみると、紫の葉っぱに含まれているのは
アントシアニン系の色素で、紫の紅芋と同じものらしい。

成分のことはよく分からないけれど、
知念の畑は、なにやらアントシアニンだらけになるワケだな。


■虫のエサ?

ハンダマーは植えるときからすでに、
葉っぱはカタツムリやケムシやらに食われていた。
ヤツらを取り除きながら畑に移植する作業は
かなり、キショクワルイことだったのだ。

そして、イモ畑の雑草取りの日。
もちろんハンダマー畑も見事に雑草に覆われていた。

そもそも葉モノを植えたのに、
2か月もほったらかしにしたのがマチガイというものだ。


写真
雑草畑
雑草と競い合うように育っていたイモに対し、
雑草の中で、肩身の狭い思いをしているかのようなハンダマーたち。
こんなに引いた写真じゃ、何がナンだか……。
ファーマーのやる気も明らかに喪失気味。

雑草とイモが絡み合い、
競うように育ちまくっていたイモ畑に比べると、
ハンダマーは、雑草に押され気味。

なので、作業そのものはラクではあるのだが、
植えたときからの成長ぶりが実感できず、
いまひとつ楽しさに欠ける。

しかも葉っぱは、虫食いだらけだしカサカサしているし。
食べるための野菜の栽培という実感が湧かない……、
などと、ブツブツ言ってたら、
見ないほうがいいモノを見てしまった。

5月に畑に植えそびれたハンダマーの苗たちが、
ガレージでスクスク育っているではないか。

苗は買ってきたときのまま、
黒いふにゃふにゃのビニール製のポットの中で、
苦労して畑に植え替えたやつよりも
ダンゼン気持ちよさげに、旨そうに成長していた。

はぁぁぁ〜。
私たちは苦労して、
畑の虫たちのために、紫の葉っぱを植えたわけ?

写真
畑のハンダマー
苗をガレージから畑に運び込み、汗だくだくで植えたハンダマー。
穴ボコだらけのカサカサの葉っぱ。ぜんぜん旨そうじゃない!


写真
ポットのハンダマー
ポットに入れられたまま、畑に植えそびれていたハンダマー。
なんだよ、キミたち。広い畑でスクスク育つより
ポットでヌクヌク育つモンだったのか?


こんな呑気なファーマーぶりだと、
今度、畑に来たときは「花」が咲いてるかもしれないな。

うむむ、もっと真面目な顔して畑に通ってみよう!


林 秀美(はやし ひでみ)
1961年、香川県生まれ。
沖縄在住・フリーランスライター。大阪〜東京の出版社勤務を経て、フリーに。97年、唐突に沖縄に転居。沖縄で初めて出くわす、この地ならではの習慣などを面白がっているうちに10年経ってしまった。主な共著に「沖縄のナンダ(シリーズ)」(双葉文庫)、「沖縄オバァ烈伝(シリーズ)」(双葉社)、「沖縄なんくる読本」(講談社)など。

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