【知の庭】古書道楽「珍・本・版」

2008.03.03

 
写真

 ひょうたんコレクションの中から一部を紹介。なお、重盛センセイのひょうたん文は『蒐集する猿』(坂崎重盛 著/ちくま文庫)を読もう!

 
写真

1.

1. 「梅は咲いたか桜はまだかいな」――なんでこんな花見の絵を紹介したかというと、右下、寝ころんだ男の背に大きなヒョータンが。しかも橋の下には、誰かが川に落としたヒョータンも流れている。明治中葉の石版名所絵の内「小金井観桜の図」。小金井は今日も桜の名所。

写真
1-2 上の図のクローズアップ(中央部分の川を流れるヒョータン)
写真
1-3 同じく図のクローズアップ(右下部分)
 
写真
2.

2. なんとも肉感的なヒョータン。豊満な女体を連想してしまう。ヒョータンは水や酒を入れる器に利用された。これは亀に酒をあげている絵柄。石版刷り「引札」(宣伝ビラ)。大正末か昭和初期の作品だろう。

 
写真

3.

3. こちらもまったく同様のテーマ。このヒョータンも色っぽい。酒蔵が出した「引札」だが、金箔を多用した刷りが豪華で見事。とてもゼイタクな引札だ。

 
写真

4.

4. 巨大なヒョータン(酒器)に座って酒の盃を手にするのは、酒呑童子(しゅてんどうじ)か。酒器としてのヒョータンは、汲めども酒の尽き養老の滝を連想させる。
 
写真

5.

5. なんの「祝」の刷り物だろうか。「雪月花にうかれだし」という文字も刷られている。

 
写真

6.

6. これは広重による俳画の刷り物。「火入れも素肌夕顔の下すずみ」とある。「夕顔」はヒョータンや冬瓜(とうがん)の総称。ヒョータンのぶら下がる棚は、庶民の夏の風物。
 
写真

7.

7. ぼくのヒョータン好きを知って高校時代のクラスメート吉川さんが、「こんな池が近所のそば屋に庭にありました」と、写真に撮って送ってきてくれた。ありがたいなぁ、こういうの。
 
写真

8.

 
8. この、明治の錦絵とヒョータンがなんの関係があるかといえば、この子供たちの遊んでいるのが「瓢箪ぽっくり」という遊びなんだな。つまりヒョータン物の一つ。コレクターって、こんなもんなんですよ。自分のコレクションしているテーマと少しでも関わるものなら、なんでもつい手を出してしまう。まったく、もー。
 
 

※ 今回は、紙系列、刷り物系、ひょうたんのみ。墨、硯、茶器、あるいは扇子や手ぬぐいetcはまたの機会に。

 
 
 
坂崎 重盛 (さかざき・しげもり)
東京生まれ。
造園家を経て、編集者・ライターに転進。
著書に「秘めごと礼賛」(文春新書)、「超隠居術」(角川春樹事務所)、「蒐集する猿」(ちくま文庫)、「東京本遊覧記」(晶文社)など。
【 古書道楽「珍・本・版」 掲載記事一覧 】
「粋人粋筆」探訪の清水崑の粋筆 「遊歩人」で大好評連載本文を読む
プロレタリア本が私に囁きかける 蟹工船効果で柄にもなく私も……本文を読む
戦前の昭和26〜27年の 艶笑本にときめいて…本文を読む
女人短歌 「秘帳」にドキドキ 堂々の性の謳歌に引かれて本文を読む
スゴイ! すごすぎる! 戦前の和洋の小百科本文を読む
見よ! タバコカード この愛らしさ美しさ!!本文を読む
漫画家によって描かれた 戦前・戦後の東京を蔵出し本文を読む
夏だ団扇絵だ 今回は「可愛いい」「メデタイ」子供絵本文を読む
そろそろ団扇(うちわ)の季節 美人団扇絵を鑑賞する本文を読む
今年の藤は見る前に散り そろそろ花菖蒲の季節本文を読む
ついに重盛センセイのヒョータン部屋に闖入本文を読む
重盛センセイは春休みでどこかへ遠足 お留守番はぼくたちヒョータン仲間本文を読む
エロティック増書票の世界(海外編) 蔵書票の主流(?)は好色系本文を読む
なんだコリャ? 正月らしく「見立て」宝船が登場本文を読む
エロティック蔵書票の世界(日本編) 秋深し独居 好色蔵書票(露骨)本文を読む
明治中期の版画で 隅田川の雪景色を楽しむ 『東京おもかげ散歩』の 本づくりのついでの蔵出し本文を読む
絵師・山本松谷の筆により この驚異の企画が完成した [新撰・東京名所図絵]を開く本文を読む
「風俗画報」の盛哀を見る 明治石版画から写真版へ本文を読む
明治石版印刷の粋 「風俗画報」礼賛本文を読む
明治中期の「少年少女」本 当時一流の文人・画工が 健筆をふるう本文を読む
明治中期は打ち揃って、なんだかスゴイ 美妙、二葉亭、そして露伴 「版」でいえば木版、銅販、石版がズラリ本文を読む
この一冊が“日本の風景”を生んだ 志賀重昴の『日本風景論』本文を読む
手にしているだけで うれしくて 血圧が上がる本本文を読む
『 新富町多與里 』 再訪 3万匹のミノムシが森から消える本文を読む
ついに入手したぞ 『新富町多與里』本文を読む
 


トップページ会社紹介著作権についてお問い合せ
Copyright (c) Flying Garden Rights Reserved.