【趣の庭】古書道楽「珍・本・版」
2007.02.26
Vol.2 『 新富町多與里 』 再訪 3万匹のミノムシが森から消える
坂崎 重盛
少雨荘の造った奇書を撫でさする
 一代の書痴であり、その本づくりに舌を巻かざるをえない異能の出版人・斎藤昌三 ( 号・少雨荘 ) のことに、もう少し触れていたい。
  実際、ぼくは二時間ほど前から、早春の陽ざしの入り込むボロ屋の二階で、少雨荘の本づくりした 『 新富町多與里 』 や、蚕卵紙つまりカイコのタネ紙を使って装丁した山中笑 『 共古随筆 』 や、古書コレクターの仲間のうちでは伝説的一冊、淡島寒月 『 梵雲庵雑話 』 を、本棚から引き出し、身の傍らに置き、一冊、一冊、優しく、心をこめて “ 触れて ” いたのだ。
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少雨荘による寒月の 『 梵雲庵雑話 』
 
  本というものは、文字を読むためだけに手に取る、とはかぎらない。とくに、少雨荘が愛情をこめて造った本などは、撫でたり、さすったり、抱きしめてしまったりしてもかまわない。ところで、この連載スタートの第1回目『 新富町多與里 』 に関して、原稿依頼が 「 400字で、3枚ほど 」 ということだったので、枚数の制限もあり、かなり急ぎ足の文章になってしまったが、聞くところによると、パソコン上の原稿は量など多少多めになってもかまわないものらしい。
  パソコン音痴で、まだ原稿用紙に手書きで入稿というていたらくなので ( インターネットの検索だけはマスターしつつある!) そのへんの具合が、なかなかつかめないのである。

 というわけで、せっかくの奇書 『 新富町多與里 』、前回は “ 紙型 ” ( しけい ) を表紙に使った空前絶後の造本・装丁のことばかりに意識がいってしまったので、今回はもう少し、内容のことにも触れてみたい。
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(左)『 共古随筆 』 表紙。カイコの種紙で装丁されている。
(右)同じく 『 共古随筆 』。本文挿画は木版刷り。
 
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