【趣の庭】軽井沢便り
2014.3.10   
Karuizawa Journal

「安全・安心で美味しい」レタスに注目

NHK「海外ネットワーク」でも放映


荒井 久  

ダラットで始まった定植。苗床からレタスの苗を移す

  ベトナムの高級リゾート地(標高1300m)「ダラット」(Da Lat)での川上村レタスの栽培に注目が集まってきた。ベトナム国内での新聞、テレビ報道などで僕らのプロジェクトが紹介されたからだ。日本国内でもNHK総合テレビで3月2日(日曜日)午後6時10分からの「海外ネットワーク」内で約8分間の番組が組まれた。3日間取材にお付き合いさせていただいた広報担当の僕としてはありがたい限りだ。
 このところ、この「軽井沢便り」もすっかり「ダラット便り」に変身してしまっているが、ご容赦願いたい。ただ、ダラットは軽井沢と同様、高級避暑地という共通項はある。しばらくは、「ダラット便り」をお届けしたい。

 まずはそのNHKの番組をご紹介しよう。実際の映像もここから見られる。
http://www.nhk.or.jp/worldnet/archives/year/detail20140302_445.html

定植後のレタスも順調に育ってきた

 もちろん取材したすべてが放映されるわけでもないが、少々残念ながらビジネス的な観点の部分は削られた。日経出身の僕としてはベトナム・ホーチミンにこの1月オープンしたイオンモール1号店との関わりを外せない部分と思っていた。このイオンの威力は凄い。旧正月のお祭りということもあったが、なにせピーク日は1日15万人が押し寄せ、20日間で200万人が来店した。僕らとすればイオンと手を組むことは大事に一歩だった。

 実際、NHKは川上副村長など僕らがホーチミン空港に降り立つところからカメラで追っていた。ここで新会社「An PhuLacue,Limited」(APL)の土屋泰統会長と合流、イオン1号店に向かう。ここでイオン1号店の社長など幹部らの出迎えを受ける部分も映像に収まった。ベトナムで川上レタスを栽培する新会社、その受け皿としてのイオン。その握手が大事だった。

 もちろんNHKの番組は、それはそれで筋が通っていた。川上村の若き二人が新天地を求めてベトナムはダラットに向かう。そこで、川上レタスの栽培が始まった。流れは美しかった。NHKさんには感謝、感謝なのが、放映されなかったいくつかの場面を振り返りたい。

左は長野県川上村の川上副村長、
右はイオンベトナムの西峠泰男社長

 イオンベトナム株式会社ベトナム1号店のタンフーセラドン店に向かったのは、川上芳夫・長野県川上村副村長、井出智博・長野県川上村農政係長、新会社APLの土屋泰統会長と荒井久(取締役広報担当)。タンフーセラドン店店頭で、社長(Managing Director)の西峠泰男氏、Senior General Manager、Merchandising Dept.の佐伯直久氏、General Manager-Foodlineの妹尾文郎氏が出迎えてくれた。お待ちしていましたよとばかりに両者は厚い握手を交わした。

左は土屋氏、中央は佐伯氏、右は妹尾氏


 まずは食品売場の青果売場を見学。かなり良く管理された青果売り場だが、レタスだけはクタクタで劣悪だった。しかもキャベツみたいに堅い。価格は1kgあたり50米セントから90米セントぐらい。キロ単位で販売するため、生産者はどうしても堅く、重くなるまで育ててしまう。これではレタスをまずくなってから収穫するようなものだ。「1週間前に収穫しないといけないね」と川上副村長が呟く。

劣悪な状態で売られていたレタス

 翌日、新会社のオフィスに決まったビラの前は、朝からまるで結婚式でも始まるかのような雰囲気に包まれていた。続々と集まってきたのは、地元ダラットの有力者2名、川上村役場から2名、イオンベトナムから3名、JICAハノイ事務所から6名、新会社に参加する日本側、ダラット側の面々、そしてマスコミも14名ほど。新会社APLは川上村のLacueとダラットのAPP(An Phu Products)が中心の合弁会社だ。

APL新オフィスのエントランス

 最初に土屋泰統会長からこのプロジェクトの概要を説明。続いて長野県川上村副村長の川上芳夫氏がレタス生産で日本一の川上村を紹介した。一方、APPのタン会長はダラットの歴史、APPの状況を説明。最後に花岡貴也社長から2013年11月の調査、「安心・安全で美味しいレタス」を栽培するための対策、そしてその後に試験栽培に突入していることなどを解説した。その詳細な説明は参加者をうならせた。

土屋泰統会長からのオープニング

 イオンの妹尾氏からは、栽培量、流通体制など突っ込んだ質問が飛び出し、同社の期待の高さをうかがわせた。JICA担当者は「昨日の地元幹部、JICAとの会議で、花岡氏、篠原氏のプレゼンテーションがベトナム要人の心をわしづかみにした」と絶賛していた。

地下のダイニングでランチ

 ちなみにこの新オフィスのビラ。新会社のダラット側パートナーの紹介で借り受けた。全体で15部屋もある。中にはシャワーだけの部屋もあるが、ちゃんとバスタブのある部屋もある。新会社の事務所兼宿泊所になる。

立派なバスタブのある部屋

 「荒井さんの部屋にしていいよ」と言われたのがこの部屋。立派なデスクが備わっていた。「ここで原稿書けばいいじゃない。時々来てよ」とも。さて、どのくらい頻繁に行けるかどうか、まだ不明だ。

これが僕の部屋?


 この日の午後、一行はAPP敷地内で進めているレタス栽培の現場を視察、NHK、VTV、朝日新聞らの個別取材にも応じた。川上副村長は自らマルチの穴に定植中の現地の若いスタッフを直接指導。後に副村長は「あの若いスタッフらを悲しませてはいけない。そのためには君たちが、この事業を絶対に成功させねばならないよ」と漏らす。

NHKハノイ支局長の取材を受ける川上副村長


 ベトナムの大手テレビ局のVTVも取材に。ダラット側出資会社のAPPの若き社長のニュエンも抱負を語る。

VTVの取材を受けるAPP社長でAPL取締役のニュエン氏


 この二人が新会社APLを牽引する。花岡貴也社長(35)とニュエン取締役(25)。自ら畑に向かう花岡氏の後を追うように、最初の経営会議でニュエン氏は花岡氏と共に栽培を担当したいと強く申し出た。

左は花岡社長、右はニュエン取締役


 この苗が苗床から次々に畑に定植される。現在、APPの敷地内で約8haの準備がある。さらにすでに40haもの畑の見通しがたっているという。

苗床のレタス


苗床の育成に使ったハウス

 翌日早朝、国立ダラット大学農学部を訪問。農学部長以下、日本語学科の教職員も含めて約30名の関係者に迎えられた。土屋会長が今回のレタスプロジェクトを紹介。併せて、大学、学生の協力を要請。学生のダラットでの研修、川上村への派遣の可能性も議論した。土屋会長はダラット大学学生の日本への渡航費負担も表明した。

ダラット大学農学部でのミーティング


 夜は、ダラット市副市長のTON THIEN SAN氏、ラムドン省計画・投資担当幹部を招いてレセプション。和やかなうちにも十分なコミュニケーションがはかられた。

握手を交わす川上副村長(左端)と
ダラット副市長(右から2人目)


 僕らの訪越の最終日。川上副村長らを伴い、ラムドン省計画・投資局のDirector PHAN VAN DA氏を訪問。土屋会長が今回の合弁会社によるレタスプロジェクトを説明。局長は申請があれば速やかに認可されるだろうと話し、僕らと堅い握手を交わしたのだった。

右から3人目がラムドン省計画・投資局長のPHAN VAN DA氏


 さてさて。レタスの栽培は種を蒔いてから収穫までおよそ70日間。1月中旬に蒔いたレタスは3月末には収穫を迎える。今のところ、4月12日に「ハーベスト・セレモニー」を開催する予定だ。ベトナムでのAPL、川上村の注目度は上がるばかり。3月16日―18日に訪日予定のベトナム国家主席も川上村に強い関心を寄せているそうだ。



荒井 久
1945年、長野県生まれ。1968年、東京電機大学電子工学科を卒業して日本経済新聞社に入社。日経BP社で日経ニューメディア編集長、日経コミュニケーション編集長などを歴任。「コンピュータ・テレフォニー」「ビットバレーの鼓動」「モバイル・インターネットの鼓動」「Web2.0の鼓動」など著書多数。02年、株式会社ソリック(www.soriq.jp)を設立、代表取締役として現在に至る。09年1月、ソリックブックスとして藤原忠彦著「平均年収2500万円の農村」を刊行。08年06月から軽井沢の貸し別荘「軽井沢ヴィラArai」( http://www.karuizawa-villa.com )を、さらに09年6月からは、長野県下の名産物をネットで販売する「採れたて長野」( http://www.rakuten.co.jp/toretatenagano/ )を経営している。
12年12月から東京都文京区根津で、ベジタブルダイニング「晴れ晴れ家」を経営。

 
 
 


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