【趣の庭】軽井沢便り
2012.2.21     
Karuizawa Journal

売上1兆円突破の楽天市場

ネット販売はどこまで伸びるのか

荒井 久  


   長野県出身の僕が、信州の僕の好きなものだけをネット販売するサイト「採れたて長野」を開設したのが、2009年6月。世界一美味な「川上レタス」をネット販売するのがきっかけだった。それから1年半ほどしてから「楽天店」にも出店を果たした。それから約1年が過ぎようとしている。

 そんな折、楽天の担当者から「楽天新春カンファレンス東京大会」に参加しませんかとのお誘い。参加費は1万2000円。楽天から見れば、こちらはお客なのになあと思いつつも参加したのだった。2月3日。場所は旧・新高輪プルンスホテル。2500名以上も参加したのには、正直のところ驚いた。ダルマの顔の真ん中、最上部に僕も「採れたて長野」とサインした。


 演台に立った楽天の会長兼社長の三木谷浩史氏は、意気揚々こう語る。日経新聞が報じましたように、楽天は売上1兆円に達しました。創業当初は売上が1兆円を超えたら一丁上がり、退こうと思っていましたが。あれ、これで笑いが取れると思ったんですが(笑)。まだまだ、これからです。

 そういえば、まるで示し合わせたかのように数日前、日経新聞が1面トップで「楽天が取扱い売上高1兆円を超えた模様」と報じていたのだった。三木谷社長のマスコミ対策は上手いなあと思う。ちなみに創業から売上1兆円に到達するまでの年数は楽天が14年7カ月で、セブンイレブンが18年、ダイエーが23年、ヤマダ電機が32年、そごうが180年なんだそうだ。

  三木谷社長、1兆円の次のステップは2兆円ではなく、10兆円なんですと続けた。伸び続ける出展社数を2倍にして、出展社の皆さんが売上を5倍にすれば10兆円は可能なんですと。そのためには皆様のご協力が必要です。日本の文化を売りましょう。それには「おもてなし」の心が必要です。そう訴えたのだった。

 確かに。出展社数を伸ばすのは楽天の努力。売上を伸ばすのは出展社の努力。出展社に頑張ってもらえば可能だ。なんだか、楽天の努力よりも、出展社の努力の方が大きい気がするのだが。

 実はこの日、会場に行く前から、僕は楽天には心地好くなかった。これまでにメールでは、何回もこの大会のEチケットを印刷して持って来るようにとの連絡があった。予め印刷しておいたのだが、ご覧のようにこれには東京、2月3日とかしか書いていない。確か、品川の新高輪プリンスホテル、10時頃だったかなと思うのだが、確かめようがない。コンサートのチケットに会場と日時が書いてないようなものだ。

  おまけにチケット持って来るようにというメールにも、場所、日時のご案内がないのだ。最初に来たメールを検索、ようやく場所、日時が確認できた。10時から受付開始、11時開始だった。それで急ぎ会場に駆けつけたのは10時40分くらいだったろうか。

 受付には延々人の列。聞いてみると、サーバーの故障で受付不可になっているとか。こう言うときに電子システムは本当に困る。約2500名が受付で右往左往となったのだった。システムを売る楽天がこんなことでは困ると思うのだが。結局、かなり遅れて始まり、その後のスケジュールも変更、その後の案内方法は誠に不備だった。変更の掲示は無く、いちいち担当者に聞かねばならなかった。

 おまけに、受付を待っている間に配られた1枚のチラシにカチンときた。専門セッションの1部、2部、3部、4部のスケジュールのチラシだった。それぞれ開始時間が微妙に異なる。聞いてみると、1部、2部で1セッション、3部、4部で1セッションを選んで欲しいとのこと。その1行、2行がそのチラシにまったく書いていないのだった。なんという「おもてなし」のなさ。僕は文句を言ったのだった。

  参加費1万2000円。これがNECや富士通などIT業界だったら、お客から金を取るようなことはしないだろう。おまけにスポンサーが約30社ほど並んでいてお金をいただいたのだという。楽天は売上1兆円、利益700億円になったのだから、金が無いわけではない。私たちの売上から1割を持っていくのだから、こうなる。そんな三木谷楽天から「おもてなし」の教えを学ぶとは思わなかった。

 とは言え、専門セッションはとても勉強になったし、ちゃっかりと三木谷社長と一緒に写真に納まり、握手もしてしまったのだった。なにせ大人数、写真だけで話してもいけないとのことで、苦情はここに書くことになってしまった。

 一番良かったのは、グルメ関連出展社の約100人との二次会(実はこれも楽天が幹事役で参加費4500円)。持っていった50枚の名刺もすべて他人の名刺に変わった。素晴らしい人達との出会いもあった。にんじんだけを売って大成功して6人も参加させていた企業や、馬刺し専門やお米、お茶などの出展社企業。聞いてみると、やはり黒字になったのは4年目くらいからと言う。

 そんな出展社の皆さんのためにも、楽天にはまだまだ苦情はたくさんあるのだが、まあ、今日はこの辺にしておこう。いずれ、実体験に基づいた「ネットの内側、ネットの裏側」みたいな単行本を書きたいと思う。



荒井 久
1945年、長野県生まれ。1968年、東京電機大学電子工学科を卒業して日本経済新聞社に入社。日経BP社で日経ニューメディア編集長、日経コミュニケーション編集長などを歴任。「コンピュータ・テレフォニー」「ビットバレーの鼓動」「モバイル・インターネットの鼓動」「Web2.0の鼓動」など著書多数。02年、株式会社ソリック(www.soriq.jp)を設立、代表取締役として現在に至る。09年1月、ソリックブックスとして藤原忠彦著「平均年収2500万円の農村」を刊行。08年06月から軽井沢の貸し別荘「軽井沢ヴィラArai」( http://www.karuizawa-villa.com )を、さらに09年6月からは、長野県下の名産物をネットで販売する「採れたて長野」( http://www.rakuten.co.jp/toretatenagano/ )を経営している。

 
 

 


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