【趣の庭】軽井沢便り
2011.4.4     
Karuizawa Journal

軽井沢の別荘で何を語り合ったのか。

親しい仲間との高校卒業旅行

荒井 久  


   「やっぱり平成生まれはいいなあ」。昭和40年生まれの管理人からメール。「なんだか掃除機も掛けていたみたいだし、バスタオルなども洗濯していた」との報告にびっくり。今どきの高校生って、しっかり教育されているんだなあと改めて感心する。

   その高校生8名の代表者から電話をいただいたのは3月初旬だった。仲間との卒業旅行をしたいので、軽井沢の別荘を貸していただきたいと。僕は即座に高校生との契約をできない。少なくとも親御さんのご了解が必要ですとお伝えした。昨年のケースを思い出したからだった。

   昨年は2月下旬だった。「予約申し込み」をいつものように受けてしまったら、メールをCCで見た管理人からメールが届いた。「お客様は高校生ですよ。大丈夫ですか」と。そこで、親御さんの許可を求めることにした。間もなく代表者のお父様と連絡が取れて、受け入れさせていただくことにしたのだった。

   高校生だから、使い方も心配。とんでもなく散らかされるに違いない。そんな予想があったのだが、なんときれいに使っていただき、ゴミの分別も完ぺきだったと管理人から連絡が入った。そういえば、お父さんも品の良さそうな方だった。きっと、教育がいいんだろうね。そんな会話を交わしたのを覚えていたからだった。

   たぶん、昨年の高校とは異なるだろうが、都内の某高校を卒業する仲間8名。同じクラスだという。すでに3月に入っていたから大学進学も就職も決まっていたに違いない。代表者のお父さんと電話連絡が取れた。なんだか余裕を感じる方だった。

   さてところが、直後に3.11東関東大震災。ひょっとしてキャンセルかもと思っていたのだが、3月22日からだから利用させて欲しいとのこと。もちろん、こちらはウエルカム。電話やメールで普段より丁寧なご案内を差し上げた。新幹線でみえるというから、ご案内もいつもと異なる。

   当日も何度かが連絡が入る。「今、ここで買い物しています」「タクシーはどう呼べますか」「タクシーの運転手さんに行き方を教えてやってください」などなど。そして、2時間も経ただろうか。「どうしてもストーブが点かないんです。エラーになってしまいます。4台ともです」。このストーブは排気を外に出す、いわゆるFF式灯油ストーブで、4カ所に導管で灯油を配送している。

   「えっ」。僕は絶句した。たぶん、気温は氷点下前後だったに違いない。さあ、困った。早速、地元のガス屋さんに連絡するも、肝心のご主人が会議で捕まらないという。ようやく、ガス屋さんが現場に駆けつけたのはそれから2時間も経過していた。それまでに僕はあらゆる手段を講じてもらったが着火せず。そこで炭を熾して、囲炉裏に、そして槇ストーブにとお願いした。槇ストーブは炭火で熱くしないと槇に火が点かない。そうそう、急いで風呂を沸かして入ってください、とも。結局その日、ストーブは使えないまま。わずかな電気ストーブと電気敷き毛布などを利用していただいた。

   明くる日、ガス屋さんが午前中に再訪問して、ストーブは3台が復帰した。その後に残りの1台も復帰したとの連絡が入る。不良の原因はよくわからない。もしかして、地震の影響かも、とガス屋さん。とにかく、ストーブは2日目から正常に戻った。

   男の子8名の卒業合宿。いったい、どのように過ごすのか。僕は興味深々。「あそこにジェンガがあるから楽しんでね。それに槇ストーブも結構、楽しいでしょ」。ついでに、「明日はどこぞに行くの?」と聞いてみた。なんと、東軽井沢の渓流釣りに行くのだとか。そこで初めて僕は「東軽井沢」の存在を知った。

   「南軽井沢」だけは軽井沢町だが、「北軽井沢」は群馬県嬬恋村、「西軽井沢」は長野県御代田町。ここまでは知っていたのだが、「東軽井沢」は群馬県安中市(旧・松井田町)だった。そこに管理釣り場があったのだった。明くる日に調べた僕は、営業が4月−10月であることに気づき、ケータイにメールした。だが、すでに彼らは到着寸前だったようだ。やっぱりお休みでしたとの電話が入った。

   まだまだ軽井沢周辺は、まるで木々や森は死んでいるかのよう。新芽が出る雰囲気はまったくない。それでも彼らは軽井沢から松井田に向かう大自然を大いに気に入ってくれたようだ。部屋の落書き帳にはこんなコメントが残されていた。

   大自然で過ごした4日間はとてもじゅうじつしてました。良い経験をしたと僕はとても嬉しく思いました。また、来たいと思います!!

   最後の「思います!!」の文字がことのほか大きく、その下に8名らしき仲間の署名があった。寒い思いをさせてしまったのに、僕は感謝の気持ちでいっぱいになった。

   そういえば、昨年に来てくださった高校生も今年、また来たいとの連絡があった。今年の仲間もまた、そんな風に長野県軽井沢町軽井沢ヴィラAraiに親しみを抱いてくれたら嬉しい。


荒井 久
1945年、長野県生まれ。1968年、東京電機大学電子工学科を卒業して日本経済新聞社に入社。日経BP社で日経ニューメディア編集長、日経コミュニケーション編集長などを歴任。「コンピュータ・テレフォニー」「ビットバレーの鼓動」「モバイル・インターネットの鼓動」「Web2.0の鼓動」など著書多数。02年、株式会社ソリック(www.soriq.jp)を設立、代表取締役として現在に至る。09年1月、ソリックブックスとして藤原忠彦著「平均年収2500万円の農村」を刊行。08年06月から軽井沢の貸し別荘「軽井沢ヴィラArai」( http://www.karuizawa-villa.com )を、さらに09年6月からは、長野県下の名産物をネットで販売する「採れたて長野」( http://www.rakuten.co.jp/toretatenagano/ )を経営している。

 
 
 


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