【趣の庭】軽井沢便り
2010.12.28     
Karuizawa Journal

信州と愛知県の狭間で極めた

自然薯(じねんじょ)料理に感激

荒井 久

入り口に「10割蕎麦を塩でいただく」とあった。
まずは、そこに興味を持った。
だが、専門は蕎麦ではなく、「自然薯(じねんじょ)」。
たっぷりと自然薯料理の数々を堪能した。

ここは、長野県最南端の村、根羽村の「じねん亭」。
というわけで、今回は久しぶりに訪ねた根羽村便り。
しかも、根羽村の美味しいモノ便りである。

軽井沢は国道18号線を群馬県から入るのだが。
ここは、名古屋から飯田市に向かう国道153号線から入る。
軽井沢は信州の東で東京文化圏、根羽村は信州の南で名古屋文化圏というわけだ。
いずれも標高は600mから1000mと同じくらい。
蕎麦と自然薯は共通項だ。

根羽村はかつて、愛知県に属していたのだが。
戦に勝った武田信玄が信州に併合してしまったのだそうだ。
ちなみに、愛知県豊田市から根羽村に入って間もなく、武田信玄終焉の地がある。

じねん亭(有限会社角井)社長の片桐隆則さん

この方が、じねん亭と漬物会社を営む有限会社角井の社長、片桐隆則さんだ。
http://www.hiyomo.co/jinentei.html

人間自然薯みたい、いかにも自然な趣きだ(失礼)。
ここで、社長の手による、自然薯料理を満喫することになる。
ご案内してくださったのは、社長の同級生という根羽村の副村長、佐々木秀彦さんだ。
軽井沢の近くで育った僕は、自然薯が大好きなのだ。

刺身こんにゃく、じねんじょ豆腐、お新香

まず出てきたのは刺身こんにゃく、じねんじょ豆腐にお新香。
あ酒は、地酒の喜久水を熱燗で。
この日はめっぽう寒かった。

根羽村産原木なめこは格別な味わい

次に出されたのが、深い味わいのなめこ。
聞いてみると、これが根羽村産原木なめこなんだそうだ。
しっかりとした歯ごたえで、なんとも美味。

10割蕎麦を塩でいただく

この頃合いで出てきたのが、10割蕎麦。
長野県産の蕎麦にこだわり、水だけで打ったのだそうだ。
つゆも用意できるが、塩がお勧めという。
かつては海だったモンゴルの湖塩から作られたミネラルたっぷりの天日塩だ。
うーーむ。なるほど。旨い。
蕎麦を塩で。初めての経験だった。

極上の霜降り馬刺しはにんにくでいただく

お酒の調子もでてきたところで登場したのが、極上の馬刺し。
霜降りだった。
にんにく下ろしでいただく。
旨い。

自然薯、日本原産の野生種の山芋だ

さて、肝心の自然薯だが。
本来は日本原産の野生種の山芋だ。
これを、どうやら栽培しているようだ。

市販の山芋とは異なる強い「ねばり」と「ぬめり」。
昔から精がつき身体に良いと言われ、「滋養強壮」に効果とされている。
この歳になると、なんともありがたい食材だ。

ねばりの成分である「ムチン」が、人間の目や口とか呼吸器、それに消化器の粘膜や体液を補給するのだそうだ。
さらに。
天然グルタミン酸が良質のタンパク質として、細胞を若返らせ、肌つやが良くなるとか。

それに、自然薯には活性酸素を抑えて血液をサラサラにするポリフェノールが多く含まれているという。褐色変化すのが、その証なんだそうだ。
ねばるのも褐色になるのも本物の証拠と片桐さんは胸を張る。

体力が衰えてきた上に、口内の粘膜が弱くて口内炎に悩まされている僕にとっては、まさに天の恵み。
ありがたい説を伺った。

じねんじょ豆腐の田楽2種

そして出されたのがじねんじょ豆腐の田楽2種。
柚子ダレと味噌ダレでいただく。
「温かいうちに召し上がってください」と。
ああ、こんなのが食べたかったと後で感じる味わいだった。

じねんじょのお刺身の海苔巻き。ワサビ醤油でいただく

さて、そして。
これは何でしょうか。
なんと、じねんじょのお刺身だった。
しっかりしたねばり。
コクがあって、もちもち感があって。
なるほど、確かにお刺身。
ワサビ醤油で美味しくいただいた。

じねんじょの蒲焼。香ばしくて美味

そしてこれば、じねんじょの蒲焼。
なんともはや、という感じ。
いただいてみると、確かに蒲焼の味。
香ばしく焼かれており、美味な味付けだった。

じねんじょの磯辺揚げ。程良く揚がっている

まだまだ続く、じねんじょシリーズ。
今度は、じねんじょの磯辺揚げ。
蒲焼よりもちもち感がある。
じねんじょや山芋は、山芋ご飯しか食べていなかった僕には驚きの数々だ。

イワナの唐揚げ。カラリと揚がっていた

ようやく、じねんじょ料理が途切れて。
出されたのは、イワナの唐揚げ。
なんだか僕にはもったいない感じがした。
高級魚だから、僕だったらイワナの骨酒にするな。
そう言ったら、もちろんできる。作りますかと言われてしまった。
いやいや、もはや料理にしびれてお酒をついつい飲み過ぎていた。

しそ巻き大根「美味しいよ」。酒の肴に合う

この頃合いで出されたのが、こんなお新香。
しそ巻き大根。その名も「美味しいよ」。
歯ざわりの良い割干し大根を、青じそで1本1本丁寧に巻き上げたという。
お酒に合う逸品だった。

じねんじょご飯。麦たっぷりの麦飯だった

そして、いよいよ登場しました。
というか、すっかりこれを忘れていた。
じねんじょご飯。
絶妙な味にコントロールされている。
しかも、ご飯は麦飯。
なぜか、山芋ご飯には麦飯が似合う。

以上がじねん亭のじねんじょ満喫料理。
片桐社長、ごちそうさまでした。

ネバーランド裏にある宿泊設備。左右2戸で1戸にベッドは4つ

というわけで、その日の宿泊はネバーランドが経営する宿泊設備。
2戸が1対で建てられている。
その片割れに泊まったのだが、ベッドは4個もあった。
そこで、ひとり寂しくということに。

暖房は完璧だったが、朝起きてびっくり。
12月9日の朝、なんと真っ白な雪に包まれていた。
この日も、いくつかの取材がある。

朝食メニュー。これにトーストとコーヒーをいただく

朝食に向かったのが、「カフェ キャロット」
ネバーランドから153号線を下って、下って、下って、根羽村役場を越えたところにある。
ちょうど真ん中へんで雪はまったく消えていた。
というか、半分下は雨だったようだ。

ここでいわゆる、カフェのモーニングセット。
ハムエッグにサラダ。
これにトーストとコーヒーをいただいた。
爽やかな風が突き抜けた。

巨大油揚げと大杉蕎麦を使ったきつね蕎麦。なんとも豊か

午前の取材を終えて、再びネバーランドへ。
ここのレストランで昼食となった。
ここで自慢のきつね蕎麦を注文した。
大杉蕎麦に大きな大杉油揚げ。
豊かな気持ちにさせてくれる。
なにより旨い。

400gトンカツ。厚さ4センチのトンカツだ

それに名物、激アツのトンカツだ。
がっつり400グラム。
信州豚を4センチ厚で切り出した。
厚いにも関わらず、しっかり熱も通り、サクサクしているから不思議。
柔らかくてジューシー。
思わず、旨って言いそうな気持ちになる。
信州味噌と愛知県八丁味噌との調合がまたいい。
だが、一人ではとても食べきれない。 三人でシェアしたのだった。

今回は軽井沢ならぬ、根羽村食べ歩記。

根羽村の人口はかつて3000人もいたが、現在は1105人。
村全体での出生数は20年度が3人、21年度が4人、そして22年度が5人の見込み。
こうなったら、23年度は6人。
そう掛け声を掛けたくなって、僕はブログに書いた。
http://ameblo.jp/toretatenagano/entry-10732801620.html

平成の大合併にも参加せず。
それがきっかけの「根羽村のネバーギブアップ宣言」
その象徴が「ネバーランド」だ。
http://www.nebamura.jp/page013.html
立派に黒字化を果たしている。

そのネバーランドの前に、民宿「根羽る」があって、思わず苦笑。
僕は再び、じねん亭のネバネバ粘るじねんじょを思い出して。
僕も粘らねばと思う。
なにより、この村が大好きになった。

粘りが減り気味の皆さん、一度、根羽村を訪れてみませんか。

荒井 久
1945年、長野県生まれ。1968年、東京電機大学電子工学科を卒業して日本経済新聞社に入社。日経BP社で日経ニューメディア編集長、日経コミュニケーション編集長などを歴任。「コンピュータ・テレフォニー」「ビットバレーの鼓動」「モバイル・インターネットの鼓動」「Web2.0の鼓動」など著書多数。02年、株式会社ソリック(www.soriq.jp)を設立、代表取締役として現在に至る。09年1月、ソリックブックスとして藤原忠彦著「平均年収2500万円の農村」を刊行。08年06月から軽井沢の貸し別荘「軽井沢ヴィラArai」( http://www.karuizawa-villa.com )を、さらに09年6月からは、長野県下の名産物をネットで販売する「採れたて長野」( http://www.toretatenagano.com )を経営している。

 
 
 


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