【趣の庭】軽井沢便り
2010.7.19     
Karuizawa Journal

長野県内を駆け巡った1年
8県に接する長野、各地の銘産、文化に出会う


荒井 久


中野市の増田敏納さんの無農薬・有機野菜

僕は生まれ故郷の佐久市が好きだ。長野県が好きだ。
縁あって、自分が営む会社から川上村長の本を出版した。
藤原忠彦著「平均年収2500万円の農村」がそれ。
お陰さまで全国的な注目を浴びることになった。
その村長は今年4月には全国町村会長に就任した。
いい縁が広がっている。

全国町村会長に就任した藤原忠彦川上村長

そんなご縁から、昨年6月にネットショップ「採れたて長野」を始めた。
川上レタスをインターネットで販売しようということがきっかけだった。

恵まれた土、標高1300mで育つ川上レタス

長野県には川上レタス以外にも銘産品はある。
多くの銘産品をこの目で確かめて、納得する商品を提供したい。
「採れたてレタス」ではなく「採れたて長野」としたのは、そんな想いがあったから。
そこでこの1年間、僕は長野県中を駆け巡った。
僕のブログ「ひさしの信州食べ歩記」はその旅行記が中心だ。


そして今や「採れたて長野」で扱う商品点数は130点を超えた。
もっと商品が売れてくれればいいのだが、こんな楽しいことはない。
売れて欲しいのは、僕の感激を共有して欲しいという一心に尽きる。
ふる里の「長野は美味しい」を宣伝したいのだ。

今年もまた、川上レタスの出荷が始まって。
たまたま木曽御嶽山の麓で出会った若い夫婦の物語が面白い。
僕がお勧めした川上レタスをネットでお求めいただいたのがきっかけだ。

そのレタスにご夫婦がいたく感激なさった。
あとで分かったことだが、可愛い奥様は料理が得手ではなかったようだ。

奥様は、川上レタスの感激がきっかけでレタスが好きになり。
サラダが好きになり。
レタスのサラダ以外のメニューが好きになり。
様々なレタス料理、様々は野菜料理に興味が出てきた。

朝食にはこれが一番のレタスサラダご飯

気が付くと、料理そのものが好きになり。
不得手だった料理にいくつか挑戦するようになった。
炒め物、焼き物と興味が広がる。

健康的で何より美味しいと、採れたて長野の馬刺しも求めてくださった。
感激してリピートしてこられた。

少し脂身だが軟らかいヒレ肉の馬刺し

様々なドレッシングにも興味が出てきて。
ドレッシング作りにも挑戦しだした。
「これはまだまだだな」と旦那さんの視点も高くなった。

料理は体を作る。
美しい体を作る。
なにより、野菜中心の料理で綺麗に痩せられる。
そんなことから、今度は運動にも興味を持ち出した。
美しいボディラインには料理と運動の両方が重要と気付いたからだ。

旦那さんは毎夜、ランニングを忘れない。
奥様は室内運動を始めた。
毎日、スクワット、腹筋、ステップと少しずつ回数を増やしている。
25回しかできなかったスクワットは今、40回を超える。
旦那さんからは腕立て伏せのメニューも加えさせられた。

気が付けば、体脂肪率が少しずつ減ってきた。
「なんだかお肌もツヤツヤしてきた」という。

こんな美しい物語。
考えて見れば、川上レタスに感激したのが始まりだ。
ただ単に「美味しい。美味しかった」だけではなく。
ひょっとして、人生を変えてしまうドラマを生む力。
ひとつの逸品の波及力に、僕は驚いている。

僕は毎日、長野県地図を眺めている。
トイレに大きな長野県地図を貼り付けてあるからだ。
さあ、今度はどこに行こうか。
そうか。ここはこんなところだったのか。
生まれ故郷とはいえ知らなかった地図を読むのは楽しい。

毎日、長野県地図を見る

「本州は長野県のすそ野」と教えてくれた友人がいた。
なんともオーバーな表現だが、嬉しい。
本州で最も海から遠い地点は佐久市の中にある。
日本海からと太平洋からの距離が同じで、それが本州で最も長いのだ。
昔から海に憧れたのがうなずける。

この1年で僕も、佐久以外の長野県をよく知ることとなった。
長野県では最北の野沢温泉村には「野沢菜とお米」の取材。
隣は新潟県の魚沼地区、お米が旨いのもうなずける。
昨年の品評会では野沢温泉村の野沢農産生産組合が見事日本一に輝いた。
そのお隣の木島平村もお米、キノコが有名だ。
豪雪の冬が明けて、雪の中から野沢菜がトウ立ちしていた。

雪の中から昨年の野沢菜が芽を吹き出すトウ立ち。

北西では富山県に接する大町市、安曇野市。
大町市から黒四ダムに向かうと、その向こうは富山県だ。
5月の連休にはまだ道は開通していなかった。
少し南に下がると安曇野市。
清流豊かに山葵や春野菜が育っていた。

安曇野の春野菜は美しく美味しい。

東京から近い東側では群馬県、埼玉県、山梨県に接する佐久市、南相木村、川上村。
雪は少ないが、めっぽう寒い。
夏でも昼夜の寒暖差が大きく、野菜・果物の甘さ、旨さを育てている。

爽やかで甘い「川上レタス」

西では木曽御嶽山を堺に岐阜県に接する王滝村、阿智村。
ここでも独特な山の幸を守る文化に感激した。
なんとどんぐり食だけの郷土レストラン「ひだみ」が20年間も存在していた。
なにより、どんぐりパンが美味しかった。

「ひだみ」のどんぐりパンやどんぐりまんじゅうなど

木曽路から飯田方面の抜ける道すがらには合併してしまった清内路村があり。
多くの伝統野菜が引き継がれていた。
南には南アルプスを堺に静岡県に接する大鹿村、飯田市。
大鹿村の小さな温泉宿の露天風呂から臨む南アルプス連峰は格別だった。

赤石荘の露天風呂から南アルプス連峰を臨む

そして、さらに南に下ると愛知県に接する天龍村、根羽村。
根羽村のネバーランドでは改めて商品を吟味させていただいた。
名シェフの手による鹿ジビエ料理は抜群だった。
野趣味を残した極上の処理。
採れたて長野でも扱わせていただくことにしたのだった。

鹿ジビエ料理が人気メニューに

もちろん、長野県の中央部にはいくつかの幹線がある。
東京から佐久、小諸、上田を経て長野方面へ。
長野から松本を抜けて諏訪、岡谷へ。
こちらも東京につながる。
岡谷からは木曽路へ、もう一方は飯田方面へ。
こちらは名古屋へつながる。

いま僕は、「長野大好き」を再認識した自分を感じている。
ちょっと寒いけど清涼な長野県。
そんな長野県をもっともっとPRしなくてはと思う。

来週は少し早い夏休みでフィンランドに旅行する予定。
長野県というよりは、軽井沢に近い気候かなと思う。
気温が低く、湖、湿地帯が多いからだ。
次号では、軽井沢に似たフィンランド報告をしたい。

荒井 久
1945年、長野県生まれ。1968年、東京電機大学電子工学科を卒業して日本経済新聞社に入社。日経BP社で日経ニューメディア編集長、日経コミュニケーション編集長などを歴任。「コンピュータ・テレフォニー」「ビットバレーの鼓動」「モバイル・インターネットの鼓動」「Web2.0の鼓動」など著書多数。02年、株式会社ソリック(www.soriq.jp)を設立、代表取締役として現在に至る。09年1月、ソリックブックスとして藤原忠彦著「平均年収2500万円の農村」を刊行。08年06月から軽井沢の貸し別荘「軽井沢ヴィラArai」( http://www.karuizawa-villa.com )を、さらに09年6月からは、長野県下の名産物をネットで販売する「採れたて長野」( http://www.toretatenagano.com )を経営している。

 
 
 


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