【趣の庭】軽井沢便り
2009.3.23     
山で味わう海の珍味
久しぶりに「アンコウ」の吊るし切り

荒井 久

これが、深海に潜む「アンコウ」
軽井沢ヴィラAraiの庭木にぶら下げた。
結構、グロティスクだ。

久しぶりに「アンコウ」の吊るし切りの機会を作った。
ネットで知り合った仲間達6人で「軽井沢ヴィラArai」に行くことになったからだ。
「冬の軽井沢、何を料理しようか」と皆に投げつつも、すぐにしたいことがあった。
ここしばらくはしていなかったアンコウの吊るし切りだ。
参加者は誰も経験ないという。

金曜日の夜に出発だったために「東京・築地市場」は諦めた。
あちこちに電話したところ、運良く、渋谷の大型魚店にいいのが入荷しているという。
夕方現場に行ってみると、青森沖産、7.92キロモノ。
「2万円でいいよ」。
威勢良くそう言われて、素直に買うことに。

実は6人ではちょっと大きすぎだが。
肝の大きさも見せてくれた。艶もいい。

その日、軽井沢ヴィラAraiには深夜に到着。
明けて土曜日もとりわけ寒い軽井沢だった。
庭木にアンコウをぶら下げた。
こうすると捌き易い。これがアンコウの吊るし切りだ。

冬の軽井沢は草木も枯れたよう。
雪も少なく、きりりと寒い。

周囲の山木もまるで枯れてしまったよう。
軽井沢は意外に雪が少ない。
ただ寒さだけがシンシンと迫ってくる。

こんな時はアンコウ鍋が美味しい。
十数年前、東京にしては珍しく大雪の日に、初めて友人宅のベランダでアンコウの吊るし切りをやった。
面白かったし、美味しくてやみつきになった。
一冬に20回も吊るし切りをやった年もあったが、最近ではご無沙汰だった。

この日、軽井沢では日中でも間違いなく摂氏零度以下。
あまりの寒さに、スタッフがボールにお湯を入れて来てくれた。
時々、そのお湯に手を入れ、凍てついた手を温めながらの作業となった。
とはいえ、そんなに時間の掛かるものではない。

わずか10分ほどで、ご覧の姿に。
かくして七つ道具に分離された。
アンコウの口に自分の顔を入れたら、僕が吊るされたみたい。

吊るし切りの所要時間は10分ほど。
こんな恰好になってしまった。
おどけてアンコウの口の中に自分の顔を入れてみた。
周囲は大笑いに。

なんだか、僕が吊るされたみたい。
アンコウさん、ふざけてごめんなさい。
せめて供養に美味しくいただくことに。

アンコウ料理のメインは何と言ってもアンコウ鍋だ。
湯がいてポン酢醤油でいただく。
味噌鍋なども有名だが、やっぱりこれがお勧めだ。

美味しくいただくには、アンコウの部位を別々にする必要がある。
アンコウは部位によって味や食感がまったく異なるからだ。
それぞれが素晴らしく美味しい。
スーパーで売っているように分離せずに切ってはだめなのだ。

少なくとも部位を7種類に分類する。
アンコウの七つ道具と言われる所以だ。
背肉の部分の柳肉、皮、水袋(胃)、キモ(肝臓)、ヌノ(卵巣)、えら、トモ(ヒレ)の7つの部材だ。このほか、腸も美味しい。

柳肉は刺身用に下ろす。
仲間の女性がバター炒めを試してくれた。これも美味。

なにせ7.92キロの大物。
参加者は6人だから、一人分は1キロ以上。
アンコウはほとんど捨てるところがないから、ちょっとヘビーだ。

メインのアンコウ鍋はポン酢醤油でたらふく食べた。
アンコウの他は野菜やキノコ、豆腐などだから、目一杯食べても大丈夫。
キモは大きな2切れずつ12切れに分けたが、これを一人で2切れいただくのはさすがに重い。
刺身用の醤油にキモを溶いて刺身と一緒にいただく。
これもなかなかいける。

柳肉は普通のお刺身の他にいろいろと試した。
カルパッチョやバター焼き。
それに、鍋でしゃぶしゃぶも楽しんだ。
火が通るかどうかぐらいの瞬間が美味だ。

部屋は通常のストーブのほか、薪ストーブも。
仲間は、仕事を忘れてはしゃぎまわった。

ふと、料理や食に夢中になっていて、外の寒さを忘れていた。
中では、二つの石油ストーブの他に、薪ストーブが赤々と燃えていた。
一晩で太い薪を2輪。
きれいに燃え尽きた。

アンコウ鍋宴会の後も、なにやら後を引いて。
なかなか寝室には行けなかった。

初日の睡眠時間はわずかに3時間。
そして、この夜も5時間程度だった。

アンコウは成仏してくれただろうか。
左は上歯、右は下歯でアゴが付いている。

アンコウ鍋を食べ尽くす。
アンコウの顔の回り、歯の回りは戦いだった。
なにせ、アンコウの鋭い歯。
怖いのだが、この辺の部位のとろとろ感がたまらない。
美味しい。

戦い終わって干しておいたのがこれ。
なんだか美しく、凛々しい。


荒井 久
1945年、長野県生まれ。1968年、東京電機大学電子工学科を卒業して日本経済新聞社に入社。日経BP社で日経ニューメディア編集長、日経コミュニケーション編集長などを歴任。「コンピュータ・テレフォニー」「ビットバレーの鼓動」「モバイル・インターネットの鼓動」「Web2.0の鼓動」など著書多数。02年、株式会社ソリック(www.soriq.jp)を設立、代表取締役として現在に至る。09年1月、ソリックブックスとして藤原忠彦著「平均年収2500万円の農村」を刊行。08年06月から軽井沢の貸し別荘「軽井沢ヴィラArai」( http://www.karuizawa-villa.com )を、さらに09年6月からは、長野県下の名産物をネットで販売する「採れたて長野」( http://www.toretatenagano.com )を経営している。

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