【趣の庭】お庭拝見
2008.6.9
静かなたたずまい、
どこを見ても絵になる庭

石灯篭に遊びの精神
来園者に心にくい気配り
林田 茂喜
写真1
庭園はこの季節、緑に輝く

 下関市の城下町長府の西端、国道9号のわきに長府庭園はある。門をくぐって庭内に入ると、そこは緑一面の別世界。眼前に広がる芝生がゆったりと客人を迎え入れてくれる。小高い山を背にした約3万平方メートルの敷地に、書院、茶室、あずまや、蔵などが池を囲んで静かなたたずまいを見せる。山すそに滝があり、谷川のようなせせらぎとなって池に流れ入る。どこを切り取っても綺麗な絵になる。

■多様な形が20基

写真2
浮き彫りに茶人趣味

 この庭園で景色のアクセントになっているのが石灯篭。池のほとりや園路の傍らにさりげなく据えられ、形式もさまざまで、その数約20基。ひときわ目を引くのが、正門を入ってすぐ対面する5mほどの大きな灯篭。よく観ると、火袋という部分に鉄瓶、ひしゃく、茶碗が浮き彫りされており、どうやら茶人好みのよう。威圧的な重量感に肩透かしを食わせるような遊び心だ。石灯篭はもともと社寺の灯明だったが、茶庭に持ち込まれ装飾用に変わった。そんな目で見ると、石灯篭が置かれた意図も読めるようで面白い。
写真3
間もなく菖蒲も開花

■家臣の遺産

 庭内では菖蒲がつぼみを膨らませ、整備員が草刈に余念がない。そういえば、園路にチリはおろか、落ち葉もないほど掃除されている。山道を散策するための杖もそこここに用意され、来園者への心遣いが感じられる。この庭園は長府毛利藩の家老格だった西運長(にし・ゆきなが、1826〜75年)の屋敷跡という。ビッグな贈り物を頂いた。


写真3
見学の中学生の感想は「和風!」「気持ちいい」


林田 茂喜(はやしだ・しげき)
 長野県出身。
 通信社の記者を経て、現在、造園業を楽しむ。
 
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