【趣の庭】お庭拝見
2008.03.03
お隣の庭も多少は掃除することこれが他人の敷地に入り込む術です
林田 茂喜
 
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これが街路樹? 裸にされたイチョウ
 

 熊本市内の国道を車で走っていて、昨年晩秋、街路樹の異変に気が付いた。イチョウの並木で、本来なら黄葉を楽しめる季節なのに裸同然。枝を極端に切り詰められて、さながら電柱のようだ。街路樹には、緑の景観をつくり、騒音・ほこりの遮断、風や直射日光の緩和などの機能があるが、裸の木では全く役に立たない。そればかりか、哀れでさえある。
 なぜ、そうなったのか。国道の管理者は「看板が見えなくなる」「落ち葉で滑る」から枝を深く切ってほしいとの地元の要望にこたえたと説明する。

 
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潤いと安らぎを与えてくれる街路樹であってほしい
 

 私が住む町のJR駅を起点とする県道の街路樹も一変した。駅から100mほどの間のイチョウ並木は全部伐採され、その先約2kmの緑豊かなホルトノキの街路樹はすべてハナミズキの若木に植え替えられた。この結果、街路樹の存在感が薄れ、どこにでもありそうな普通の街並みになった。道路管理者によると、イチョウは「落ち葉に迷惑している」との商店の強い意向で切った。ホルトノキは、植樹帯を狭めて歩道を広げるために樹形がコンパクトなハナミズキに替えた。地元商店街と何度も話し合い、樹種も商店街の希望通り決めたという。商店街は満足だが、周辺住民からは「殺風景になった」との批判が出ている。

 
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 自治体の財政難、歩道や車道の拡幅要求などのため、街路樹は今後いじめの対象となりそう。落ち葉掃除や草取りなど、地域住民が積極的に手も出し、口も出さないと街路樹は守れそうもない。あなた任せでは街から緑が消えてしまいそうな予感がする。

 
林田 茂喜 (はやしだ・しげき)
長野県出身。
通信社の記者を経て、現在、造園業を楽しむ。
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