【趣の庭】お庭拝見
2008.02.04
林田 茂喜
 
 

 私が住む熊本県玉名市の菊池川堤防に櫨(ハゼ)並木がある。秋には真っ赤に紅葉し、真っ青な空と見事なコントラストを描く。鮮やかな紅葉が少ない九州の平野部では秋を彩る貴重な樹木だ。この櫨並木は平成18年度に国内初の国の登録記念物(植物)に登録された。

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櫨並木の風景 ――晩秋には堤防が赤い帯に染まる
 

 この櫨は、江戸時代に細川藩が栽培を奨励した名残。藩は財政再建を図るため櫨の実から蝋(ろう)を製造して大阪市場で販売する櫨蝋専売制を実施した。櫨蝋は現在でもクレヨン、インクリボン、口紅などに欠かせない材料だそうだ。

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櫨ろうそ く――櫨蝋の塊と櫨ろうそく。炎は黄色味を帯びる
 

 菊池川右岸堤防の約3キロに、ひところは200本あった櫨は、老化や工事による伐採で今では100本程度に減った。このため、生態系を変えないように配慮してクローン苗を補植するなどの保護活動が始まった。櫨並木への関心を高めようと数年前から晩秋に、地元ボランティア主催の「玉名はぜ祭り」も催され、ろうそく手づくり体験、特産品販売などでにぎわっている。

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カラーガード ―― 高校生のドリル演奏が祭りに華を添える
 
 「明日を楽しむなら花を植えよ。10年後を楽しむなら木を植えよ。100年後を楽しむなら人を育てよ」という警句があるが、約300年も前に先人が植えた櫨を今、私達は楽しんでいる。
 
林田 茂喜 (はやしだ・しげき)
長野県出身。
通信社の記者を経て、現在、造園業を楽しむ。
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