【趣の庭】お庭拝見
2007.09.10
お隣の庭も多少は掃除することこれが他人の敷地に入り込む術です
林田 茂喜
 
写真

葉の色と立ち姿がきれいなカクレミノ
 

 カクレミノ(隠蓑)という樹木が私は気に入っていた。日陰に耐える性質のため、日当たりの悪い庭の一隅や玄関前などに植えられ、脇役の地位に甘んずることが多い。いつの日にか、この木に主役を演じてもらいたいと密かに考えていた。
 その機会が来た。植栽を任された庭は南側に隣の二階家が迫り、日差しは朝と夕方のそれぞれ二時間ぐらいしか期待できない。そこで南西の隅に庭の主木としてカクレミノを据えた。主役を引き立てる木は白椿、斑入りプリベットなど比較的日陰に強い樹種を選んだ。そばには野鳥のえさ台とバードバスも設けた。

写真
 
夏には球形に集まった実を見せる
 

 カクレミノはヤツデと同じウコギ科、常緑樹。葉はヤツデより小形。面白いのは、若木のときは葉に四つの裂け目が入ってモミジ葉のようだが、成木になると裂け目が二つ入った蓑のような形の葉と、裂け目のない葉が混在する。身を隠す蓑に似た葉が目立つところから木の名が付いたようだ。ヒイラギも老木になると、あのノコギリ歯のように鋭いトゲがなくなって丸い葉になるが、年を取ると角がなくなっていくのはなぜだろうか。

写真
 
蓑のような葉と裂け目のない葉が混在
 

 立ち姿に気品があり、遠慮がちに小さな淡黄緑色の花も実も付ける。育てれば高木にもなる。そんな点が私がカクレミノにほれ込んだ理由だ。花も実もある名脇役、ぜひ主役を演じるのを見てみたい、そんな俳優さん、確かにいますよね。

 
林田 茂喜 (はやしだ・しげき)
長野県出身。
通信社の記者を経て、現在、造園業を楽しむ。
【 お庭拝見 掲載記事一覧 】
やぶを突いたらハチが襲撃
 心和む野鳥の子育て
 悲喜こもごもの剪定作業
本文を読む
大地の力を感じさせる枯山水
 海の波音まで聞こえるような
 能「藍染川」の悲恋が背景に
本文を読む
にわか農家はコメ不作
 作物は足音を聞いて育つというが…
 有機・減農薬はたいへん
本文を読む
静かなたたずまい、どこを見ても絵になる庭
 石灯篭に遊びの精神
 来園者に心にくい気配り
本文を読む
タケノコ・パーティーは楽しいけれど…
 厄介者扱いされる放置竹林
 竹の需要が少なくなって
本文を読む
街にもっと緑をふやそう
 熊本市が漱石の森づり事業
 地方景気の低迷で庭にも陰り
本文を読む
電柱のように切り詰められて寂しく立つ
 悲しきイチョウたちの声が聞こえるよう
 熊本市内の国道風景です
本文を読む
秋を彩る貴重な樹木 玉名・菊池川沿いのハゼ並木
 細川藩が江戸時代に奨励
本文を読む

「まず、咲く」がマンサクの呼び名に転化
 花弁は黄色いテープが4本ひらひら
 縁起ものの花になって、庭木に

本文を読む
イチジクが豊かに実を結びました
 息子夫婦から贈ってくれました
 好きな土地に自分の記念樹を
本文を読む
留守の時でも「庭はご自由にご覧ください」
 オープンガーデンで結ばれる輪
 「スローライフは忙しい」って本当です
本文を読む
小さな淡黄色の花をつけ、立ち姿に気品
 年をとると葉から角が取れるのが不思議
 カクレミノを庭木の主役に据える
本文を読む
書院、枯山水など3様式が寄り添う静かで神秘的なたたずまい 本文を読む
お隣の庭も多少は掃除すること
 これが他人の敷地に入り込む術です
本文を読む
遊びいっぱいの庭の小道具コンサートでの
 電子音がヒント水位15センチで美しい音色
本文を読む
阿蘇山からの伏流水を庭に
細川家が80年かけて造園 水前寺成趣園
本文を読む
ほどよく木漏れ日が差すように
 光りや風が通るように枝葉を透かす
本文を読む
縁起木/百両から万両まであるよ 本文を読む
 
 


トップページ会社紹介著作権についてお問い合せ
Copyright (c) Flying Garden Rights Reserved.