【趣の庭】お庭拝見
2007.06.11
遊びいっぱいの庭の小道具コンサートでの電子音がヒント水位15センチで美しい音色
林田 茂喜
 
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水琴窟の概念図 林田画

 「コーン、コン、コン、コン、キン、キン、キン…」 水琴窟から漏れてくる透明な金属音に耳をすませていると、魂を洗われる思いがする。水琴窟は、地中に埋めた甕(かめ)に手水鉢などの水を落とすと、水滴のしたたり音が甕の中で反響して清澄な音がする仕掛け。江戸時代に考案されたといわれる、遊び心いっぱいの庭の小道具。

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阿蘇の溶岩石を組んだ蹲踞
 

 「玄関わきに坪庭を作ってほしい」との依頼があり、あれこれ思案しているとき、夜の野外コンサートできれいな電子音を聞いた。「そーだ、水琴窟だ」とひらめいた。阿蘇の溶岩石を組み、"深山"から流れ出た水を筧(かけい)に引き、手水鉢にためるデザインにした。苦心したのは音色。高さ約60cmの高質焼きの甕を使い、いろいろ試してみて、甕の底の水位が15cmのとき一番美しい音がすると分かった。小さな穴を開けたロート状のふたを甕の口にかぶせ、水滴が適度に落ちる工夫もした。

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水琴窟を設けた蹲踞

 出来栄えは上々と思ったが、難点は地下から漏れてくるだけに、音が小さいこと。当初は依頼主の老母が住んでいたが、耳が遠かったため水琴窟の音は聞こえなかったようだ。その老母も独り住まいが不安になって息子の家に越し、あとに老母の新婚の孫夫婦が移り住んだ。が、この若者たち、庭にはほとんど関心がない。造園家の苦心も今のところ水の泡の格好である。

 
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林田 茂喜 (はやしだ・しげき)
長野県出身。
通信社の記者を経て、現在、造園業を楽しむ。
 


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