【趣の庭】お庭拝見
2007.01.29
Vol.2 ほどよく木漏れ日が差すように 光りや風が通るように枝葉を透かす
林田 茂喜
 庭木の剪定(せんてい)は 「 一種の造形美術だ 」 と私は考えている。樹種の特徴を生かして、例えばケヤキは枝がほうきのように天に向かって素直に伸びていくように。クロマツはごつごつした枝がリズミカルに広がるように、などと留意しながらハサミを入れる。
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  そして私が最も重視しているのが木漏れ日。日光や風が通るように枝葉を透かし、その影が地面や背景の壁に落ちて揺れ動くなら、庭木が一層美しいオブジェとなる。" 光と影の画家 " になった気分でもある。学校の庭木の場合なら、単に姿、形を整えるだけでなく、幹や枝葉の躍動感を強調して、児童生徒の気持ちを鼓舞したいと思いながら仕事している。
 
 そんな造形美術家気取りの私に、ある顧客が 「 最近、腕を上げましたね 」 と言ってくれた。えっ、ということは、以前はヒドイ腕だったということ? 
  このお宅では、カシの生垣の剪定をさせてもらって3年。その間、枝を間引き小枝を適度に広げて、ほどよく木漏れ日が差すようになったところだった。そんな経緯は知らずか、腕が上がった結果と見たのだろう。苦労話はのみこんで 「 ありがとうございます 」 とお褒めへのお礼を言ったものの、内心複雑な気持ち。正直なところ、安易に褒めてほしくはない。輪郭を整えるだけの剪定ならお安い御用。植木屋の苦心をちゃんと見てもらいたいなー。褒め言葉って実は難しいものだな、と痛感したことでした。
 
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林田 茂喜 (はやしだ・しげき)
長野県出身。
通信社の記者を経て、現在、造園業を楽しむ。
 


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