【趣の庭】釣り三昧
2011.8.23

釣り三昧 Vol.74
Joy of Fishing


嵐山、外房でアジとスルメイカを釣る


樋口 正博


田舎の居酒屋の主人、渾身の刺身

■嵐のフラッシャー

 タイトルには意味がある。嵐は嵐山。フラッシャーはフラッシャーサビキという仕掛けのことで、嵐山がフラッシャーサビキでアジサバを釣る。
 これが今回のタコの介指令である。
 タコの介は椎名誠のキャンプにでかけて、編集長辞任後のそのきわめて軽やかな「脱力」ぶりと、笑顔連発に椎名隊長は面食らっていたようだ。

 今回出撃した先は外房の安房天津「鶴丸」である。天津は鴨川市にある。同行者は光文社の文庫編集部員の松岡俊。釣りが大好き。
 だが、奥さんの方がもっと大好きで腕が上だと告白した。「つり丸」に出たい! というのが奥さんの強い願望だそうだ。

 前日は鴨川駅前の安ホテル近くの居酒屋で3人は前祝いをした。突然の都会人(われわれのこと)の乱入に店の店主は呆然とした。
「盛り合わせの刺身」を注文したら、ビールをいいかげん飲んだころにようやく出てきた。手が込んでいて腕のかぎりを尽くした盛り合わせだった。
 そのあいだにおかみさんが「特製のお豆腐があるの、やっこで飲んでてて」と刺身がでる前のつなぎに出してくれた。

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夜明けそうそう、アジとサバが入れ食いになった

■出船は暗いなかの午前4時

「鶴丸」の出船時間は早い。なんとまだ薄暗い4時に出船する。ということは、天津港には3時半につかないといけない。すると、起床は3時前である。われわれ3人は11時すぎには寝ていた。

 海は大うねりである。直前まで台風6号が日本に近づいたり、離れたり、複雑な進路をたどって日本列島の太平洋側を北上して、うねりだけを残していやいや去っていった直後だった。

「おはよう!」元気な山崎髀ョ船長が軽トラでやってきた。気のいい船長である。

 まだ薄暗いなか、「鶴丸」は波をけたてて出船した。薄曇りである。船長は30分ほど船を走らせてポイントに到着した。ミヨシ両側に釣り座をかまえた。
 今回は、前半をフラッシャーサビキでアジとサバを釣り、後半はスルメイカ釣りのリレーである。

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嵐山、さっそくお得意のアジの開きを作る

■コマセも使わずエサもない
フラッシャーサビキの釣り

 フラッシャーサビキというのは、150号のオモリを使った胴付きのサビキ仕掛けで、コマセは使わない。さらには疑似餌のためエサも使わない。外房のこの地域で盛んな釣り方だ。
 おもにアジとサバを狙うのだが、コマセを使わないということはそれだけ魚影が濃いので、船長は魚探で魚群を見つけては船を止めて「やってください」と投入の指示を与える。

 水深は80m前後。仕掛けを投入すると、底近くになるとすでにアタリがある。リールを親指でサミングして止めては落とし、止めては落としをしていくと、ガンガンガンガンと、数が乗る感覚が分かる。群れをうまく捕らえれば意外と簡単である。

 嵐山、松岡が次々とアジを取りこんでいく。サバもまじっているがちょっと小型である。たまに大型のマサバがまじると嬉しい。嵐山が釣りの手を休めて釣ったアジを開きだした。船上干しの用意だ。

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嵐山、スルメイカを釣って自慢のポーズ

■ポイントを変えてスルメイカ釣り

 8時をすぎたころ、船長から「ではスルメに替えます。仕掛けを用意してください」とアナウンスがあった。午前8時というと早いようだが、すでに3時間半はフラッシャーの釣りをしていたのだ。

 水深は150mと深くなった。竿とリールはそのまま使える。嵐山はイカが好きなのでこの釣りに慣れている。松岡はイカ釣りは初めてだという。

 イカ釣りは思ったよりも数が出なかった。船長は「今日は潮が速すぎる」とボヤいている。それでも全員で16杯釣れた。半分は船上干しをして、半分は丸のまま持ち帰るようにした。

こうして10時を過ぎたころに沖揚がりとなった。なんとまだ朝といえる時間に沖揚がりである。この時間の沖揚がりは嬉しい。なんか一日が得したような気分だ。

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船上干しをしながら「鶴丸」は港へ帰ったのだ

樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
釣り専門誌の編集長を経てEditor&Writer。へら師にしてフライフィッシャーマン。そしてパラ愛好家。庭、釣り、農、酒を通して社会を見つめている。通称「タコの介」。Twitterのアカウント@takonosuke7
 
 
 


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