【趣の庭】釣り三昧
2011.7.19

釣り三昧 Vol.73
Joy of Fishing


梅雨の晴れ間のスルメイカ釣り


樋口 正博


これが釣り師特権の「スルメイカの船上干し」。
帰ればすぐに炙ってビールだ

■嵐山、ツヨシ、タコの介の
精鋭3人組が揃った

 嵐山光三郎、今回は久しぶりのスルメイカ釣りだ。場所はいつも行っている三浦半島は長井漆山港。嵐山にとっては初めての「すえじ丸」。この船宿もイカ釣り一筋で、家族的な温かいもてなしが人気の船宿だ。
 前日、ゲストの『週刊朝日』の敏腕記者、鈴木毅君と嵐山とタコの介は京急金沢八景駅で合流した。当日は「つり丸」が渾身の力で開催した震災チャリティー釣り大会、「つり丸チャリティー釣り大会」が金沢漁港の「忠彦丸」で開催されていて、迎えにいけなかったからだった。
 大会は大盛況で100人を超える参加者がキス釣りを楽しんだ。1匹の最長寸を競う競技では、なんと小学生が優勝。お父さんや大人たちをうならせた。寄付金もたくさん集まった。
 さて、合流した嵐山、ツヨシ、タコの介の3人は、さっそく野火のホテルに入った。すぐに再会を祝してビールで乾杯。いつものようにスルメイカ釣りのやり方などをタコの介がレクチャーする。ツヨシはイカを釣るのも食べるのも大好き。だが、ほとんどがアオリイカで、スルメイカは初挑戦である。
「ふんふん」と聞いているツヨシ。ま、なんとかなるだろう。その晩の夕食はホテル脇にある高級そば屋で翌日の必勝を祈願した。

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嵐山光三郎、こんな真剣な顔は釣り以外には見たこともない

■まずは手本を示して
タコの介が釣ってみせる

 当日には、編集部から滝徹也が加わった。滝が嵐山のサポートをする。4人は「すえじ丸」に6時半に乗り込んだ。茂大船長、おかみさんに挨拶。今回は司若船長が操船する。
 梅雨の真っ最中なのに、どうやら雨はなさそうだ。しかも昼になるほど晴れてくるという予報。「だから言ったでしょう。ボクは晴れ男なんです」とツヨシ。だが、前回行った上越のマダイ釣りは嵐だったしなぁ。
 司船長は船を城ヶ島沖に走らせた。6時に出港してポイントには6時40分に到着した。すでにスルメイカ船の船団ができている。湘南地方からも船が集まっていた。
 司船長はしばらくイカの群れを探したあと、「いいですよ。水深は105m。100から80mを探ってください」と指示を出した。
 まずは、タコの介と滝が手本を示す。仕掛けは長さ14cmの5本ヅノのブランコ仕掛け。投入器にツノのハリを下向きにして入れて、120号のオモリを前方に投げると、シュッ、シュッ、シュシュとツノが発射されていく。

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ツヨシ、釣り方もマスターして良型を連発した

■船長はほかの船団のなかには入らず

 波はほとんどない凪。曇り空なので心地よい風が渡っていく。投入直後に船中ですでにイカが取り込まれていく。今回は調子が良さそうだ。一定の手順を教えて、嵐山、ツヨシそれぞれが自分で竿を使い出した。
 ツヨシは投入と仕掛けの回収はなんとかできるようになった。だが、タナに仕掛けが入ったあとのシャクリがぎこちない。リールを巻いてシャクったり、ポーズを入れなかったりと不規則である。そんなところをタコの介は修正しながらツヨシに教えていく。
 一方、嵐山は好調である。イカ釣りは2年ほど前にやったことはあるが、ほとんどやり方を忘れている。だが、滝の指導で思い出したのか、ポツポツながらスルメを乗せている。
 ツヨシにも乗ってきた。だが、続かない。そんなポツポツ状態が続いた。司船長は船をこまめに移動して群れを探していく。ほかの船を移動を繰り返す。どうやらスルメの群れが小さい上にすぐに移動してしまうので、一か所に留まっていることができない。
 司船長のポイント移動には特徴があった。船団のなかには入らない。船団から離れてポイントを見つけていく。「ほかとは群れず」ということらしい。

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嵐山の雄叫びが船上に響き渡った

■嵐山は釣ったイカを
全部塩辛にしてしまった

 滝が仕掛けをブランコ仕掛けから10本ヅノの直結仕掛けに変えた。直結仕掛けはツノ数が10本と多く、釣り方も電動リールで巻きながらシャクるので、簡単だし広範囲のタナを一気に探ることができる。
 ただし、欠点はツノが固定されているので、ちょっとでも仕掛けを止めたり、戻したりすれば簡単にイカが外れてしまうことだ。ブランコ仕掛けがビギナーでも確実に取り込むことができるのに対して、直結仕掛けはちょっとコツがいる。
 船上では3杯の多点掛けが最高だったのに、滝はなんと10本のツノのうち8点に掛けるという荒技を披露した。しかし、滝は釣りが好きである。後半、嵐山が昼寝を始めると、黙々とひとりで数釣りをしていた。
 一方、ツヨシはこれも粘り強く釣り続けている。当日の釣況を見てタコの介は「本日の目標は10杯。絶対にクリアするように」とツヨシに告げていた。ツヨシも3杯掛けをしたりして、着実に目標に迫っていた。
 10時を過ぎたころ、太陽が顔を出した。しかも強烈な太陽である。みんなは肌を焼きながら奮闘している。タコの介は日陰に逃げ込んだ。その間、まめな滝はイカを釣ってはさばいて干していく。船上干しだ。これがイカ釣りの風物詩。船上でイカが干されていく。
 12時半を過ぎたとき、司船長が「これで揚がっていきます。お疲れさまでした」と沖揚がりを宣言した。熱い戦いが終了したのだ。
 後日、嵐山から電話が入った。
「持って帰ったイカは全部塩辛にしたよ。うまいねー。参ったねー。酒がすすんで、すすんで」
 と、電話口でわあわあ言っている。嵐山は塩辛が大好きなのだ。痛風にご用心。
(*詳しくはいま発売中の「つり丸」8月1日号「嵐山光三郎の釣りする旅人」をご覧ください)

樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
釣り専門誌の編集長を経てEditor&Writer。へら師にしてフライフィッシャーマン。そしてパラ愛好家。庭、釣り、農、酒を通して社会を見つめている。通称「タコの介」。Twitterのアカウント@takonosuke7
 
 
 


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