【趣の庭】釣り三昧
2011.5.24

釣り三昧 Vol.71
Joy of Fishing


悔し涙の清水希香


樋口 正博


GWの東京湾久里浜港。
マダイ船の「ムツ六丸」は釣り人が集結して満船状態

■永井名人の希香登場

 半年ほど前から「つり丸」で連載が始まった「清水希香のステップUPフィッシング」。希香は若手ながらかなりのテクニックの持ち主。なにしろ、マダイ釣りで知られる永井裕策の「最後の弟子」といわれているのだ。

 希香は永井名人の腕前に魅了されて押しかけ弟子となった。永井名人も最初は断っていたが根負けして「じゃ、お前は俺の最後の弟子だ」と認めたというエピソードがある。

 タコの介は希香の担当で、毎回、永井、希香、タコの介の3人で釣り取材を行っている。

 このGWは東京湾、久里浜沖でのマダイ釣りだった。永井名人のもっとも得意とする釣りで、したがって希香もそれなりの経験と腕をもっている。

 折りしもマダイは乗っ込み期(産卵期)を迎えていて、久里浜沖でも5キロ前後の大ダイが何枚か釣れている。一年でもマダイ釣りにとってはとっておきのシーズンである。

 希香は釣りの前から気合いが違っていた。「樋口さん、絶対に釣ります。なんとしても釣りますから」
 と入れ込んでいる。
「頼むよ。希香」
 と、タコの介は久里浜の「ムツ六丸」に希香、永井名人と乗ったのだ。

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あまりにも釣れないので「神頼み」をする清水希香

■「もう、悔しくて悔しくて」

  だが、まったくの悪い日に当たってしまった。ほぼ満船状態なのに、船中で釣れたのは小ダイ1枚のみ。希香は悔しくて声もでない。
「ほーら、やっちまった! 原稿は反省文にしなさい」
 と、永井名人は自分でも釣れなかったのに弟子には厳しい。
「もう一回、リベンジする?」
 気持ちの優しいタコの介は、希香に助け船を出したのだ。

 再戦は翌日になった。ところが、タコの介の優しさがアダとなって、今度も満船で20人近く乗っていたのに、全船で丸ボウズ。

 釣り場では船団ができるほどの船が集結していた。だが、ほとんど釣れていなかった。希香は終始竿を手で持って積極的に釣りをしていたのだが、まったくアタリがない。

写真
永井裕策名人も必死に粘ったがマダイは微笑まなかった

 終了間際までいろいろと工夫をしながら粘ったのだが、やっぱりダメだった。
「樋口さん、ごめんなさい。せっかく2日間やらせていただいたのに……」

 希香はもう泣きそうである。
「釣りがいつも釣れてたらつまんないでしょう。原稿は希香がどれだけ工夫をしてがんばったかを書いてください」

 こうして希香はタコの介のことばに慰められて、後日、素晴らしい原稿を書いたのだ。

写真
マダイは不発だったが、38センチの大アジを釣った希香

 

樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
沖釣り専門誌「つり丸」編集長。最近は釣りよりも魚料理に興味が傾いてしまった。毎月一回、嵐山光三郎さんと連載「釣って開いて」の取材に出かけるのが、おもな釣り取材となっている。通称「タコの介」(嵐山光三郎命名)。
 
 
 


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