【趣の庭】釣り三昧
2010.1.24

釣り三昧 Vol.66
Joy of Fishing


大苦戦!
厳寒のタチウオ釣り


樋口 正博

写真
真剣なまなざしでタチウオのアタリをキャッチしようとしている清水希香

■超難敵のタチウオ釣り


 前回に続いて「清水希香のステップUPフィッシング」の取材に行ってきた。今回はタチウオ釣り。
 タチウオは別名「幽霊魚」とも呼ばれる。ある意味一筋縄ではいかないターゲットである。顔を見ると鋭い牙を持つ。小魚を捕食しているので、こんな牙がある。ヤツは海中では上を向いて泳いでいる。
 さらに神出鬼没で、昨日は釣れたのに今日はさっぱりということがよくある。鋭い牙でアタックしてくるので、ルアーなどの格好のターゲットとなる。
 だが、サバの切り身などをエサにして狙うと、とたんにチョー繊細な釣りになってしまうのだ。
 エサの切り身の先端だけをガジガジとかじるだけで、なかなかハリ掛かりはしない。合わせるとすっぽ抜ける。いつの間にかエサだけ取られる。とにかくやっかいな魚である。そこが面白いのだが。

写真
タチウオの極意を教える飯島名人

■飯島名人の「ユラユラ釣法」炸裂


 希香とわれわれは三浦半島の新安浦港「長谷川丸」に乗った。若船長の岩瀬正紀さんは、タコの介とは懇意のなかである。
「一昨日から釣れなくなった。難しくなるよ」
 と、不吉な宣告。
「えーっ! でも頑張ります」
 と明るい希香であった。
 ところが、やっぱり船長の予測は正しかった。希香は必死に頑張ったのだが、まったくのボウズ。悔しいのと寒いのとでほっぺを真っ赤にしている。
 ただひとり7本釣ったのが「長谷川丸」の常連で名人の飯島直祐さん。タコの介はかつて飯島さんからタチウオ釣りの極意を取材したことがあった。飯島さんのは「ユラユラ釣法」という。
 仕掛けがタナに届いたら、竿先を上下にゆらゆらと揺らせて誘ったあと、ピタリと止めて少しずつ上に向かって聞き上げていく。そのときの微妙なアタリをとらえて合わせるのだ。
 文章では明快なのだが、実際にやってみるととても難しい。なにしろ、「微妙なアタリ」というのがまったく分からない。釣りというのは、やはり感覚が大きく左右するもので、この独特の感覚が分からないと釣りにならない。
「まっ、何回も失敗しながら覚えていくしかないね」
 と、温厚な飯島さんはにこにこしている。
「せっかくだから、このタチウオ全部持って行ってよ」
 と、タコの介や希香に釣果を譲ってくれたのだ。
 希香は再取材となった。つまりリベンジ釣行である。タコの介はさらに撮影だけのためにふたたび「長谷川丸」に乗ることに決めた。
「ほんとうは、釣れないから来ない方がいいよって電話しようと思ったくらいなんだ。次回に期待しましょう」
 と岩瀬船長がなぐさめてくれた。
 タコの介はその晩タチウオを塩焼きにして一杯飲んだ。この脂が乗ってジュージューしたタチウオの塩焼き。やっぱり絶品である。

写真
良型のタチウオを手にした飯島名人

樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
沖釣り専門誌「つり丸」編集長。最近は釣りよりも魚料理に興味が傾いてしまった。毎月一回、嵐山光三郎さんと連載「釣って開いて」の取材に出かけるのが、おもな釣り取材となっている。通称「タコの介」(嵐山光三郎命名)。
 
 
 


トップページ会社紹介著作権についてお問い合せ
Copyright (c) Flying Garden Rights Reserved.