【趣の庭】釣り三昧
2010.8.9

釣り三昧 Vol.60
Joy of Fishing


嵐山光三郎考案
「釣ってにぎって」が
いよいよ本格スタート

まずは「アジの押し寿司」なり


樋口 正博

写真
嵐山絶好調! 一気にトリプル達成

■釣った魚を
その場で寿司にする離れ業

「つり丸」に嵐山光三郎が連載している「釣りする旅人」。なんともシンプルなタイトルである。だが、タコの介は気に入っている。決して「旅する釣り人」ではない。
 その釣り取材が7月14日に行われた。場所は金沢漁港「黒一丸」からのLTアジ。猛暑のなかのアツイ釣りである。
 嵐山の取材では、釣り師にして料理人の三野浩一の同行は欠かせなくなった。釣った魚をその場でにぎり寿司にするという離れ業は、三野なくしてはできない。
 嵐山は三野浩一を「ミノコウ」と呼ぶようになった。そしてミノコウがにぎる寿司店は「みの幸寿司」という。
 今回、突然に日程が決まったので、ミノコウの同行はムリだろうなと思いながら連絡してみると、「大丈夫。その日は休めます」ということで参戦することになった。
 これで「みの幸寿司」を存分に楽しむことができるぞ。

■今回は「釣り部」の部員2人が
特別参加した

 今回は「つり丸」の会社の社員2人が参加することになった。女性コミック誌を編集している濁沢直也。男性誌の編集者、長谷川正一。どちらも「つり丸」で募集した「釣り部」の部員たちである。
 金沢漁港はすぐ近くなのに、例によって前泊。ミノコウだけは当日集合。夕食は4人で金沢八景駅近くの居酒屋「あさひや」で魚料理を肴に盛り上がった。
 嵐山はこのときに宣言したのだ。
「今回はにぎりのほかに押し寿司をやろう」 急に言わないでよ。タコの介は急いで近くのダイエーで押し寿司用の道具を揃えたのだ。
 翌朝は7時前に「黒一丸」に全員が集合した。強風と雨予報のために、釣り客はわれわれだけ。つまり貸し切りでの出船となった。「黒一丸」はタコの介の親しい船宿だが、訪れたのは3年ぶり。「樋口さん、いつのまにか偉くなっちゃったんだね」と黒川信次社長がいう。前に会ったときはまだ編集長になる前だったのだ。

写真
ミノコウが船上でアジをさばく。丁寧に骨抜きも欠かせない

■みんな真剣になって
せっせとアジを釣った

 操船するのは社長の兄、通称アニイが担当した。じつはアジのほかにサバも釣りたかった。サバも押し寿司にするためだ。だが、アジのポイントではサバは小さいのしか釣れないという。とりあえずアジ釣りに専念する。
 ポイントは港の真沖で、航程は15分程度と直近だ。水深は20m前後。LTアジには絶好の深さである。
 ミヨシ部分に全員が左右に別れて入った。潮が速い。波も高く風も強い。釣り始めたが、なかなかコマセが効かない。それでもポツポツと釣れはじめた。釣れてくるのは27、28cm前後のアジである。だが、これが脂が乗って旨い。別名「黄金アジ」という。
 付けエサはアカタンとアオイソメ。
 心配された雨も降ることなく、強風のなか釣りが続いた。ときにはトリプルで釣れてくる。長谷川も濁沢も黙々と釣りに集中している。タコの介はカメラ撮影。ミノコウは嵐山のサポートのかたわら、手ビシでアジを釣りだした。
 11時半には沖揚がりになるので、釣りの時間は3時間半程度と短い。なるべく全員でたくさんのアジを釣ろうと頑張っている。数が徐々に増えていった。
 午前9時過ぎにミノコウが包丁を取り出した。いよいよアジの開きと、寿司用にアジをさばくのだ。手際よくアジが開かれ、サクになっていく。

写真
タコの介が船上で寝る。となりのアジの開きがゆらゆらと揺れている

■港に戻って
いよいよ「みの幸寿司」の開店だ

 結局、4人でアジを釣って、全部で50匹くらいになった。釣果としては十分である。港に戻ったのが正午前。さっそくミノコウの活躍が始まる。「みの幸寿司」の開店である。
 すでに寿司用のネタは船上でさばいてある。ミノコウは木枠を取り出して、サランラップをかぶせたあと、アジのネタを並べ、さらに大葉、チューブ入りの生姜を絞り出した。
 その上に酢飯を詰めていく。ラップをかぶせて、木枠のフタをして体重をかけるようにして押していくと、あっという間にアジの押し寿司ができた。
「おっ、これはネタといい料理人の腕といい一級品の押し寿司だから、販売するとしたら1本5000円はもらわないとな」と嵐山は吠えた。
 さっそく、きれいに切ってみんなでほうばる。「うーん」と言葉にでない旨さ。嵐山さんが言った。「お土産用にもう一本作って」「あいよ。料金5000円なり」とミノコウ。

写真
「みの幸寿司」特製のアジの押し寿司

■たくさんのアジのにぎり
たくさんのアジの押し寿司を食ったぞ

 次にはミノコウは休むことなく、アジのにぎりを作っていく。
 この様子を黒川社長ほか、アニイ、おかみさんが珍しそうに見ている。われわれは釣った魚はすぐに寿司にして食っちゃうというテーマでやってるんですよ。
 いつの間にか強烈な日射しが降り注いでいる。ここは金沢漁港の防波堤である。黒川社長が「もう、梅雨は明けたね。夏の到来。夏の釣りを楽しんでよね」とタコの介に話しかけてくる。
 LTアジは午前と午後の2便出ている。そうだ、7月25日はタコの介の会社の「釣り部」の釣り会だ。「黒一丸」の黒川船長にLTアジの仕立て船を予約した。
たくさんのアジ。そしてたくさんのアジの開き。そして絶品のアジの押し寿司1本をクーラーに入れて、タコの介号はミノコウの深いおじぎを受けながら、首都高湾岸線を突っ走って帰ったのだ。長谷川、濁沢を会社に送って嵐山邸へと走り去る。
 あとで聞くと、長谷川、濁沢は社員たちにアジを配りながら「このアジのにぎりと押し寿司を食べたら、もうほかの寿司は食えねえ」と大いに自慢して、ありがたがらせて配ったのだという。たしかに旨過ぎ。

写真
嵐山、アジの押し寿司をほうばる。旨すぎて言葉がない

写真
「黒一丸」の船長、おかみさんと記念写真。「ありがとう」

樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
沖釣り専門誌「つり丸」編集長。最近は釣りよりも魚料理に興味が傾いてしまった。毎月一回、嵐山光三郎さんと連載「釣って開いて」の取材に出かけるのが、おもな釣り取材となっている。通称「タコの介」(嵐山光三郎命名)。
 
 
 


トップページ会社紹介著作権についてお問い合せ
Copyright (c) Flying Garden Rights Reserved.