【趣の庭】釣り三昧
2009.11.02      

釣り三昧 Vol.46
Joy of Fishing


わが社に「釣り部」誕生!

樋口 正博

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安原がライジャケを勝手に膨らませてしまった。
そのままやってなさい

きっかけは「わたしたちも釣りをしたい」のひと言だった

 それは、かねてから懸案になっていた。社内に釣り部を作る案件である。

「つり丸」の編集部員が、釣った魚を持ち帰って社内で配っていると、たくさんの社員が群がる。

「そのヤリイカ4つに、アジも4つ下さい」
「ヤリイカはどうやって食べるの?」
「えーとね、やっぱりまずは刺身。あとは青物野菜と一緒に炒めると酒の肴に絶品」

 釣った編集部員が声をかけながら配っている。「つり丸」編集部が一瞬にして鮮魚の産直センターに変貌してしまうのだ。

「わぁー、美味しそう。スーパーの魚とまるで違うね。私たちも釣りしたいなー」

 こんな声が、ふつふつと湧き上がってきた。よーし、タコの介がぜんぶ面倒を見てやろうじゃないの。

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田上がマダコを釣った。これ1杯でイイダコ100杯分になる

初心者にして車なし
早朝集合ができない!

 そんなわけで、タコの介はアナウンスした。
「社内に『釣り部』を作ります。みなさん、楽しく釣って美味しく食べてみませんか」

 すると、経理の女子社員を始め、ほかの編集部の連中が続々と手を挙げてきたのである。

 集まったのは10数人。社外からの応募もあった。平均年齢は30歳ちょっとくらい。

 交通手段を聞くと、今どきの若者らしく、マイカー所有者はほとんどいない。経理の女子社員にいたっては実家が埼玉の奥で、片道2時間をかけて通勤しているので、たとえ朝の7時に船宿に集合しようとしても間に合わないことが発覚。

 うーん。
 と、タコの介は唸ってしまった。沖釣りは早朝に出船するのが当たり前。そのために、われわれは午前2時に自宅を出発することなど普通なのだ。

 初心者で早朝の集合ができない釣り部。タコの介は頭を抱えてしまった。かといって、東京湾で釣りをするのに、前泊して船宿に行くなんてことはできない。

 そんなこんなで、「釣り部」結成をアナウンスしたのに、第1回目の釣り会がなかなか開催できないでいたのだ。

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女子も楽しそうにイイダコとたわむれる

そうだっ!
午後船のイイダコ釣りがあった

 10月を迎えたとき、シーズンに入った東京湾のイイダコ釣りが活況を呈してきた。一人100杯を超えるような好調な釣果が続いている。

 イイダコ釣りは道具はすべて船宿で貸してもらえる上に、テンヤというルアーのようなタコを引っかける道具だけでエサは使わない。初心者でもすぐに覚えられる。

 そして、肝心なのは午後船があるということだった。これは初心者が集まる「釣り部」にはうってつけの釣りものではないか。

 そんなわけで、「釣り部」第1回目の釣り会は10月17日(土)に、川崎の「つり幸」のイイダコ船で開催されることになった。

 集まった会員は、タコの介と編集部の須永を含めて10人。午後12時半に出船となった。「つり幸」では、われわれのために船を1艘増発させてくれた。広い船内で半分を使って「釣り部」のメンバーは釣りができた。

 場所は金沢八景沖で、航程は40分程度。走っている間に、安原が叫んだ。
「う、うわぁぁぁ〜!」
 なんだ、どうした?
 見ると、安原がライフジャケットを膨らませてもがいている。

「なんかストラップがあったので、引っぱってみたんです。そしたら、一瞬で膨らんでしまって…」

 あのね、ライフジャケットのストラップを引っぱると、ガスが出て膨らむのよ。飛行機でもキャビンアテンダントが説明してるでしょ。今日はずっとそのままで釣りをしてなさい。

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塩原はいまにも食べちゃいそうに喜んでいる

「楽しかった」
のひと言が嬉しいのだ

 釣りが始まった。ポツポツと釣れている。だが、なかなか数が伸びない。そのなか、長谷川だけは一人で突っ走った。結局彼がトップで36杯。釣りの時間は3時間だったので、快調なペースだ。

 ほかのメンバーも10杯から15杯くらいは釣ったので、鍋に煮物に十分の釣果となった。

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トップを取った長谷川。36杯とお見事

 船宿に戻ったのは夕方5時を過ぎていた。すでに夕闇が迫ってきていた。

「タコの介さん。楽しかったです。船にも酔わなかったし、お土産もできたし。次回もセッティングしてくださいね。ありがとう」

 経理の塩原が言った。いいなぁ。こんな言葉をもらえるなんて。タコの介は自分で釣ったイイダコはぜんぶ、メンバーに分けてやったのだ。また、やろうぜ。「釣り部」の諸君。

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沖揚がりは夕刻になった。
みんな満足である。「いえーい!」

樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
沖釣り専門誌「つり丸」編集長。最近は釣りよりも魚料理に興味が傾いてしまった。毎月一回、嵐山光三郎さんと連載「釣って開いて」の取材に出かけるのが、おもな釣り取材となっている。通称「タコの介」(嵐山光三郎命名)。
 
 
 


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