【趣の庭】釣り三昧
2009.9.7      

釣り三昧 Vol.43
Joy of Fishing


剣崎沖でワラサを獲ったどー!

樋口 正博

写真
さい先よくトップで取り込んだ嵐山御大のワラサ。
後ろはワラサ船の大船団

ワラサが東京湾に
やってきた

 8月、今年も剣崎沖にワラサの大群が入ってきた。いま剣崎沖はワラサ船の大軍団が出現している。嵐山御大は仲間のダンゴローを誘ってワラサ釣りに出かけた。ダンゴーは光文社の嵐山担当編集者である。

 ワラサというのはブリの一つ手前の魚。出世魚なので、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリと名前を変える。全長は60cmくらい。

「どうだ、タコの介。ワラサは回ってきたか」
「はい、ばっちりと来てます。早朝が勝負で、2時間で数本は固いですよ」

 あいかわらず、ノーテンキな予測をするタコの介である。そんなわけで、近場の剣崎松輪の間口港だけれど、恒例の前泊で出かけた。民宿「きしろ荘」は間口港近くにある。主人は割烹で板前をしていたくらいの腕で、この民宿のウリも魚料理なのだが、おじいさんの具合が悪く、調理の時間がないので素泊まりだという。

 そこでタコの介は、夕食の店を探した。京急「三浦海岸駅」近くに、地元の人たちが通いつめる回転寿司「海鮮」があった。チェーンではなく個人の店で、ネタは地元産だけ。さっそく夕方、嵐山御大、ダンゴロー、コンちゃん、タコの介の4人が店にかけつけた。

 評判通りの新鮮なネタ。ビールを山ほど飲んでも4人で1万2000円にも届かなかった。大満足で宿に帰った。行き帰りは民宿の主人が送り迎えしてくれたので、ビールをたくさん飲めた。

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嵐山御大にワラサがヒット! 耐える、耐える、根性で耐える

前夜はワラサの
イメージトレーニング

 民宿ではまたビールを飲みながら、明日のワラサ釣りについてイメージトレーニング。
「とにかく、今回は仕立で4人しかいません。ワラサはコマセをせっせとまいて寄せないと釣れませんから、みんなマメにコマセを入れ替えてまいてください」

 コンちゃんが説明する。今回は、編集部のイカ(恩田のあだ名)が、とっても美しい仕掛けをたくさん作ってくれた。6号と8号のハリス。ハリはがまかつの「ワラサ王」11号を「南方延縄イカスペシャル結び」で作ってくれた。この結びは最強である。はずだ。

ポイントは
城ヶ島沖

 出船は5時30分。間口港は小型の仕立て船が多いので、次から次へと釣り客を乗せて船が出港していく。今回お世話になるのは「育丸」である。船長は若船長の鈴木智一船長。船は新造船でピカピカで大きい。

 この船の四隅にそれぞれが陣どった。右舷ミヨシに嵐山御大。左舷ミヨシはダンゴロー。タコの介は左のトモ、コンちゃんが右舷のトモ。4人ともにちりぢりである。こうしないと、コマセが有効に左右しないからだ。

 松輪沖にはワラサ船が集結していた。その数無数。ここで釣りを始めるかと思っていたら、船長が猛然と船を走らせた。超スピードである。どこに行くんだ? たどりついた先は城ヶ島沖だった。ただいまワラサのポイントは松輪沖と城ヶ島沖の2カ所で、このどちらかで釣れているポイントを狙うのだという。その情報源は無線だ。

 ジャンボビシにコマセを詰めて、付けエサはオキアミ。ハリスは8号6m。電動リールである。スルスルと仕掛けを入れて指示ダナの5m深くまで落とし、そこからコマセを振りながら指示ダナで止めて待つ。

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イカ渾身の「南方延縄イカスペシャル結び」。
美しさには強靱さが宿る。イカ、ありがとう

最初に釣ったのは
嵐山御大だった!

 船長の指示ダナは海面からで30m前後。かなり浅い。ワラサは早朝が勝負。みんな真剣にコマセをまいては振ってタナで待った。一発目は嵐山御大だった。開始わずかだ。うんせ、うんせと顔を真っ赤にしてリールをまく。のではなく、ポンと電動リールのスイッチを入れて余裕で眺めている。もう少しあわててほしいな。
 
 無事取り込んで、次に続いたのがコンちゃん。今回のコンちゃんが無駄口を叩かずにセッセと釣りに集中していた。つづいてタコの介。そして、ふたたび嵐山御大。周辺の船団とは接近戦である。すぐ近くまで近づいてくる。
 
 ダンゴローがただ一人カヤの外。タコの介がいろいろと教えている。間違ったことはしていないようだ。ただ、水深をリールの数字を見てやっているので、「リールの数字はあてにならない。道糸の色を見て正確にタナ取りをするように」と、タコの介がなんども注意する。
 
 でも、ダンゴローに釣れるのはサバとソウダガツオ。サバは丸々と太った松輪サバ。「ぼくサバ大好きですから、嬉しいです」とダンゴローはいう。

 その間にタコの介は良型のワラサをヒットさせた。リールのドラグを緩めにしていて、時間を掛けてあげているのを見て、鈴木船長が飛んできた。「ハリスは何号? 8号なら一気に巻いちゃいな。ドラグをガチガチに締めて」
 
 そんなわけで、タコの介はドラグをガチガチにして取り込んだ。今回、一番でかいワラサだった。

「さぼらない
必死にコマセをまきなさい」

 そのころ、嵐山御大、ダンゴローたちは中だるみ状態。コマセをまく頻度が極端に少なくなった。タコの介とコンちゃんはワラサを寄せようと必死にまいている。近くに船が接近しているので、寄せ負けまいと必死だ。
 
 だが、なかなか大きな船で数少ない竿ではコマセが効かない。
「マメにコマセをまいてくださいよ。まかないとワラサは釣れませんよ!」

 温厚な船長がマイクでイエローカードを出した。だが、なかなか思うようにアタリはない。そのとき、コンちゃんの竿が大きく曲がった。「あれ? ワラサじゃないな」と首を傾げて取り込んだのは1.5sのマダイだった。

 途中で、嵐山御大が3本目のワラサを掛けた。だが、横着に電動リールのスイッチポンをまたやって、しかも高速で巻き取ったのでバシッとハリスがハリのチモトで切れた。

「それは絶対にぼくの結びのせいではありませんからね!」
 と、あとで結果を知ったイカが吠えた。

 こうして、沖揚がりの12時半になってしまった。結局、勝負は朝の2時間のみだったのだ。

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おまけ。タコの介の大好きなマチルダ様

樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
沖釣り専門誌「つり丸」編集長。最近は釣りよりも魚料理に興味が傾いてしまった。毎月一回、嵐山光三郎さんと連載「釣って開いて」の取材に出かけるのが、おもな釣り取材となっている。通称「タコの介」(嵐山光三郎命名)。
 
 
 


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