【趣の庭】釣り三昧
2009.5.25      

Joy of Fishing

春は海に山に大忙し
しかも、園芸愛好家にとっては
歓喜の季節でもある

樋口 正博

ああ、この時間が
止まってくれたらなぁ

 春、真っ盛り。
 海ではイサキ、マダイ、マアジ、シロギス、マルイカ、アナゴ、スズキ。みんな初夏が旬の美味い魚で、快調に釣れている。

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クリーム系の優しい色の「アンバークイーン」

 一方、園芸愛好家にとっても、いまの季節は「歓喜の季節」である。ウチのルーフバルコニーで丹精込めたバラたちが、次々と花開いている。毎朝、レースのカーテンを開けて、バラを窓越しに見るのが魔力的な愉しみになっている。

 今年は新しい鉢を10数鉢増やした。初めて見るバラの花も多い。田舎の実家の庭のバラを掘り起こして、鉢に植えて持ってきたのもある。不注意にもラベルを付け忘れて「ノーネーム」になってしまったのも数鉢。だが、花が咲いてくれれば品種はすぐに分かる。

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やわらかなピンクの「キャサリンモーリー」

 樹盛旺盛で蕾がたくさん付いたのは、やっぱり「カクテル」だった。蕾は赤、花弁が開くとピンク、さらにカップ咲きになると白くなったのは「ルドゥーテ」だった。

 強烈な芳香を振りまいて、大輪の赤い花を咲かせたのが、「ミスターローズ」と呼ばれたバラの育種家、鈴木省三作の「芳純」。直径15センチにもなる巨大輪だ。

 この時間が止まってほしいと、タコの介は真剣に思っている。

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わが家のルーフバルコニーのバラコーナー

極上の海岸で
ビール浴び放題

 4月の中旬は椎名誠の「わしらは怪しい雑魚釣り隊」のキャンプだった。今回は三浦半島の西岸、諸磯の浜でのキャンプだった。

 ここは、花だいこんが咲いている小径をたどり海岸にでる。白い灯台があって芝生が広がる。いまどき珍しく、海岸でキャンプができる。しかも芝生が広がっていた。

 関東の海岸でキャンプができるところがごく少ない。千葉県と茨城県は全滅。自治体がうるさく規制しているのだ。

 ところが、神奈川県だけは海岸でのキャンプは自由にできる。エラい県である。ただ、以前同じ三浦半島の長井荒崎海岸でのキャンプは大失敗だった。

 夏である。われわれは金曜日に出撃して、海岸を独占してタープやテントを張った。その晩はビールを浴びるように飲んで、大騒ぎをして寝た。
 翌日の朝、テントから起き出してみて仰天した。ファミリーが大挙して押し寄せていて、われわれのテントを囲むようにしているではないか。まさにイモを洗うような大混雑。

 その日は土曜日で、家族連れが一斉に集まってきたのだ。小さなガキが泣きわめく。それをたしなめる甲高い母さんの声。オヤジも缶ビールを飲みながら、慣れない手つきでタープを張っている。

「ちょっと、そこわれわれの場所なんだけど」
 とタコの介は言おうとしてやめた。あっという間に周囲のスペースが占領されてしまった。

 神奈川県の海岸は、キャンプ自由なので休日になると家族釣れが集結するのだ ところが、今回行った諸磯の海岸は、土日になってもカップルがポツポツと来るだけで、家族連れは少ない。静かな夢のような海岸だった。

「まだ、こんな海岸があるんだね。これは一回だけじゃもったいない。また来よう。来てビール飲もう」

 と、椎名さんもすっかり気に入ってしまった。で、釣りだけど、いつもの通りで雑魚が2、3匹。なかには10センチにも満たないメバルを釣ったドレイが言った。

「これなんていう魚ですか。メバルですか。食えるんですか?」

 お前ね、いままでメバルって魚を食ったことがないのか?

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花だいこんの花が咲く諸磯海岸

山奥で鯛料理に腕をふるう

 さて、連休のなかほどの5月1日〜2日、タコの介は信州・蓼科の山荘にいた。わが社の社長の山荘で、親族、幹部社員など10数名が集まった。

 タコの介の役割は魚料理。「つり丸」と懇意にしている鮮魚店「舟藤」から、1.5キロのマダイと10杯のマルイカ、そして15匹のマアジを持ち込んだのだ。魚料理の得意な親族の奥さんがいて、タコの介が魚をさばき、奥さんが次々と料理を作っていく。

 この連係プレーがうまくいって、豪華な魚料理が食卓を賑わした。

 標高1500メートルの蓼科高原は、まだ春浅く、カラマツの芽吹きが美しい。そして、山桜がようやく花を咲かせていた。雑木林はまだ芽吹いたばかりで、遠くまで見通せる。

 タコの介はセッセとマルイカとマアジを開いて、干物を作っては軒下に干した。明日の朝食用である。

 こうして、いっときの休暇を魚料理と浴びるような酒で過ごしたのだ。

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「つり丸プレミアム」が4月23日に発売。
大好評のビジュアル沖釣り誌の誕生です。

樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
沖釣り専門誌「つり丸」編集長。最近は釣りよりも魚料理に興味が傾いてしまった。毎月一回、嵐山光三郎さんと連載「釣って開いて」の取材に出かけるのが、おもな釣り取材となっている。通称「タコの介」(嵐山光三郎命名)。
 
 
 


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