【趣の庭】釣り三昧
2009.3.30      

綾香という天才釣り師のはなし

樋口 正博

■女性の日本記録保持者

 小菅綾香は釣りの世界では、いま一番フレッシュで有名人かも知れない。6.4kgのヒラメを釣って、これは女性部門の日本新記録。さらには、沖縄・久米島沖で初めてマグロ釣りに挑戦して、体長178cm、重さ71kgのキハダマグロを釣り上げた。

 彼女をテレビ業界が放っておくわけがなく、先日はNHKのBSハイビジョンの番組『にっぽん釣りの旅』は、彼女をメインにした番組を収録したばかりだ。そのときも30cmに迫るカワハギを釣った。

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裕二船長のよき後継者となるだろう綾香ちゃん

■北方謙三との
 運命的な出会い

 その綾香ちゃんが卒業式を迎えた翌日、タコの介は作家・北方謙三のインタビューで綾香ちゃんに会った。綾香ちゃんは今度中学生になるのである。

 この時期の少女の成長は目を見張る。2年ほど前に一緒に釣りをしたときは、生意気な釣り少女で元気活発だった。中学生になる綾香ちゃんは、「こんにちは。しばらくです」と大きな声で挨拶する少女に成長していた。

 綾香ちゃんは三浦半島の小網代湾にある釣り船「丸十丸」の娘である。父親の船長、小菅裕二さんが、綾香ちゃんが5歳くらいから船に乗せて沖釣りを仕込んできた。

 負けん気のある性格は釣りにはピッタリで、ぐんぐん腕を上げた。『「丸十丸」に綾香あり』と、釣り師たちには知られる存在になった。

 北方さんは、「丸十丸」のある小網代湾に別荘がある。湾にはヨットハーバー「シーボニア」があって、北方さんはそこに愛艇を係留している。あるとき、北方さんが「丸十丸」に乗った。そして、天才少女釣り師としてメキメキ腕を上げていた綾香ちゃんと運命的な出会いを果たすのだ。

■綾香ちゃんに
 弟子入りを果たした北方謙三

 まるで、いまベストセラーの北方さんの「三国志」か「梁山泊」の英雄の出会いのようだ。綾香ちゃんの鋭い釣りセンスを見抜いた北方さんは、さっそく綾香ちゃんに弟子入りを申し込んで受け入れられた。

 「いやぁ、嬉しかったよ。弟子になれて。これで、晩飯のおかずの心配はなくなった(笑)」
「先生、そういうことだったの?」

 綾香さんは口を尖らせるが、北方さんが別荘に滞在しているときは、せっせと魚を運ぶのである。麗しき師弟愛。

 「好きな男の子ができたら、俺に紹介しろよ。おれは男を見る眼は厳しいんだから」
「お願いします」

 隣りで裕二船長は苦虫をつぶしたような顔を引きつらせているのだ。

 綾香ちゃんと釣りをしたいという釣り師はたくさんいる。彼女の釣り人生が健やかなりと願うばかりのタコの介である。

写真
裕二船長が栽培中のワカメを収穫して、タコの介に分けてくれた。
これが涙がでるほど旨い。潮の香りたっぷり

樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
沖釣り専門誌「つり丸」編集長。最近は釣りよりも魚料理に興味が傾いてしまった。毎月一回、嵐山光三郎さんと連載「釣って開いて」の取材に出かけるのが、おもな釣り取材となっている。通称「タコの介」(嵐山光三郎命名)。
 
 
 


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