【趣の庭】釣り三昧

2008.03.03

樋口 正博
 

「つり丸」に連載していた椎名誠さんの『わしらは怪しい雑魚釣り隊』が本になった。マガジン・マガジン刊 1400円。好評発売中。
Web 読者3名様に本をプレゼントします。末尾の応募欄からご応募ください。

 

 冬は冬眠の季節なのに、2月はずいぶんと動き回った。まずは、週末のほとんどは郷里の信州へ帰った。介護のために妻の悦子とは交代するのだ。
 今年の信州は雪が例年より降った。朝起きると庭木も盆栽も生け垣もみんな綿帽子をかぶっている。「よし!」と気合いを入れて雪かきだ。田舎では、前日の夕方から雪が降り出すと、ご近所さんは夜でも自分の家の前の小道の雪かきをする。夜中にザッ、ザッと雪かきのスコップの音がする。

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特急「あずさ」の車窓から見た雪の八ヶ岳
 

 車が頻繁に通る玄関前の幹線道路は市の除雪車がやってきて除雪する。ぼくたちが自分で雪かきをするのは、その脇の車が1台ようやく通れるような小道だ。ぼくんちの庭に面して西側にその小道はある。
 ともかく、田舎のコミュニティでは、自分ちの前の道路の雪を取り除くということはとても大事な作業で、それを怠ると「何してるの?」という雰囲気が漂ってしまうのだ。
 でも、そんなに激しい雪ではなかったので、ぼくはその作業をサボったのだ。翌朝、ぼくんち以外の道路はみんなきれいに雪かきが終わっていた。アスファルトまで見えるほど徹底的に雪かきされている。
 ぼくんちの前の道路だけが30センチほど雪が積もっている。しかも、早朝通勤の車が通ったので、わだちが圧雪されて雪かきをしてもわだちだけ雪が残ってしまう。そうか、それで前日の夕方でも、ご近所のムッちゃ(74歳・農家でぼくのよき田舎暮らし生活の先生)はせっせと雪かきをしてたんだな。
 白いわだちを雪かきスコップでこそげるように削ったら、大汗をかいてしまった。
翌日、右腕の肘から下の筋肉が猛烈に痛い。物が痛くて持てない。いったい、なにが起こったんだ。すると悦子が言った。「横着して雪かきをしないで、あとで必死で雪を削ったからでしょ」と、腕痛の心配をしないで、その原因をクールに指摘したのだ。
 「そうだったのか!」
 「それからね、その肘の下の筋肉のことを、娘たちは『パラパラ筋』ていうらしいわよ。踊りのパラパラをやり過ぎると、そこが筋肉痛をおこすから。あなたのは『横着筋』ね」
悦子はどうしてぼくのことになると、そういう冷ややかな物言いになるのだろう。

 
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四谷荒木町「京料理・八平」で祝宴を楽しむ嵐山さんと伸坊さん
 
 4日の月曜日は嵐山光三郎さんの『史上最強の干物』の出版祝賀会を行った。表紙の絵を描いてくれた南伸坊さん、嵐山さんの秘書の中川さん、それに会社の櫻木徹郎専務とぼくの五人。場所は「つり丸」編集部のある四谷荒木町。嵐山さんの事務所は神楽坂。われわれはともに花街に棲息しているわけである。
 櫻木専務が案内した店は「京料理・八平」。うちの社長がひいきにしている店だという。フグを七輪で焼いたり、そのほかいろんな料理が出た。多分、ひとり二万円以上はしただろうが、まったく分からない。おかみさんが嵐山さんがくるというのを事前に知っていて、『史上最強の干物』に嵐山さんのサインをねだった。嵐山さんと伸坊さんは、ご機嫌で杯を重ねたのだった。2軒目は近くの「コックテール」でさらに酔いは回ったのだ。
 
その週は「つり丸」の校了日。週末は釣り業界の最大のイベント「国際フィッシングショー」が横浜のパシフィコで開催された。「つり丸」もブースと書籍販売所を出しているので、顔を出した。編集長なので、ぼくに会いに来る読者も多いのだ。「おや、まぁ」「元気なの?」予想外の知人と出会った。
 書籍販売所では嵐山さんの『史上最強の干物』と発売したばかりの椎名誠さんの『わしらは怪しい雑魚釣り隊』のサイン本を30冊ずつ出すと、あっという間に売り切れてしまった。うむ、やっぱりスゴイことだ。
 

 

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いざ、椎名隊長のゴムボートの進水式だ

 
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厳寒の夜のキャンプは焚き火に限る。飲もうぜッ!

 

小見出し
 2月15日、16日、17日は椎名誠さんのキャンプ取材。新刊になった「わしらは怪しい雑魚釣り隊」の連載はまだ続いていて、この厳寒の季節でもキャンプをする。
 場所は三浦半島西岸の和田の海岸。やっぱり寒い。朝テントから出たらカップに残った水が凍っていた。ぼくは雑魚釣り隊のキャンプでは料理長だ。せっせと鍋を作り、隊員と椎名隊長にサービスする。
 隊員は釣れない雑魚を防波堤で寒さに震えて釣り。椎名隊長はゴムボートで沖に出てキスを釣ってきた。
 夜は盛大に焚き火をして、ずっと酒を飲み続けた。なんにもしない。ただ飯を食って釣りをして、酒を飲み続ける。これが「怪しい雑魚釣り隊」の正体である。このキャンプをすでに2年半。毎月やっているのである。
 
○読者プレゼン

「つり丸」に連載された椎名誠さんの『わしらは怪しい雑魚釣り隊』(マガジン・マガジン刊 1400円)が本になりました。好評発売中。「そら飛ぶ庭」Web読者の方3名様に本をプレゼントします。
ご希望の方は、下の応募フォームに住所、氏名などをお書きの上、お申し込みください。結果は、発送をもってかえます。
締め切りは3月31日(月)です。
たくさんの応募をお待ちしております。
応募フォーム
 
 
樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
沖釣り専門誌「つり丸」編集長。最近は釣りよりも魚料理に興味が傾いてしまった。毎月一回、嵐山光三郎さんと連載「釣って開いて」の取材に出かけるのが、おもな釣り取材となっている。
【 釣り三昧 掲載記事一覧 】
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■タコの介は「炊き出しのおばさん」となって
 新島のキャンプ番を務めた(その1)
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■釣るのが先か 食うのが先か
 内房・富浦沖のカワハギ釣り(その2)
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■食って悶絶! 釣って極楽
 内房・富浦沖のカワハギ釣り(その1)
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■内房・金谷沖の黄金アジ(上の巻)
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■「謝るけど反省はしない」
 この名セリフには涙なくしては語れない秘密があった
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