【健の庭】 そら飛ぶ健康料理
2007.08.06
野菜を食べよう!猛暑は夏野菜で乗り切る
大城 朝次郎 
 

「おししくてダイエットにもいい」と評判の「ヘルシー芋御膳」
 
 

 イモ姉ちゃん、イモ侍―など、とかくイモ(甘藷)にはダサイイメージがつきまとう。だが、イモには享保の大飢饉をはじめ各地の飢饉を救った輝かしい歴史がある。また、昨今はイモに含まれる各種の成分が生活習慣病の抑制、高血圧の予防、コレステロールの低下などに効果があることが知られ、「健康食品」として脚光を浴びるようになった。

 イモは中南米で生まれ、さまざまなルートを通って世界に広まったとされる。わが国には1605年、野國總管が中国から沖縄(当時は琉球王国)に持ち帰って伝え、それが薩摩などいくつかのルートで本土に広がった。いまは国内各地で栽培されているが、沖縄の紅イモ、鹿児島のサツマイモ、徳島の鳴門金時、京都の京金時などが有名である。
 イモにはでんぷんをはじめカリウム、ミネラル、ビタミン、食物繊維などがバランスよく含まれており、“畑の母乳”の観がある。その上、甘くておいしいので焼きイモや各種のお菓子がつくられ、恰好のおやつとして愛されている。
 “象のオリ”(米軍通信基地)で有名になった沖縄県読谷村はそこに目をつけ、特産の紅イモで「村おこし」をし、成功をおさめている。
 紅イモの果肉は京金時などと同じ紫だが、「紅イモ」と命名され、差別化が図られている。前述のカリウムなどの他、ポリフェノールも含まれ、上江洲榮子琉球大学教授(教育学部生涯健康教育コース)は、「肝臓病や動脈硬化の進行を抑制し、高血圧の予防、ストレス解消に効果があり、細胞(肌)もみずみずしくする」と、紅イモを高く評価する。また「老廃物の排出を促し、コレステロールを低下させるのに役立つ他、コメよりカロリーが低くダイエット効果も期待できる」とも言う。
 つまり紅イモは生活習慣病を恐れる中高年や美容・ダイエットを追い求める女性にとって、なんともありがたい食品なのだ。読谷村の紅イモによる「村おこし」成功の要因もそこにある。
 
 
 

 みるべき産業がなかった同村が「村おこし」に取り組んだのは、1984年に村商工会が「地域ビジョン策定事業」を打ち出し、地元の個人企業「お菓子のポルシェ」(澤岻カズ子社長)に紅イモによる菓子づくりを依頼したのが始まり。同時に「村おこし」の推進母体として(株)ユンタンザ(大城勝哲社長)を村民有志が出資して設立した。
 依頼を受けたポルシェは、「大きな負担になったが、村おこしのためなら―と、リスク覚悟で紅イモ菓子の開発を進めた」(澤岻社長)。悪戦苦闘の末、紅イモのタルト、カステラ、パイ、饅頭、かるかん、ヨーカンなどの開発に成功し、次々商品化した。ユンタンザの方も紅イモのチップス、ジャム、ちんすこう、かりんとうなどを製造、販売している
 同村は毎年夏、「むら咲きまつり」を開催して紅イモ菓子を展示するとともに紅イモグルメ会席やヘルシー芋御膳などの紅イモ料理の試食会、紅イモ娘コンテストなどを行って「紅イモの里」をPRしている。また、中国から琉球にイモを伝えた野國總管の出身地である嘉手納町は今秋、「野國總管甘藷伝来400年祭」を催し、「甘藷の発信基地・嘉手納」を大々的にアピールする。地元の懸命な取り組みを全国的な健康志向が後押しして紅イモ菓子は観光みやげとしても好評で、沖縄の観光振興にも一役かっている。個人企業だったポルシェもいまでは株式会社化して大きく発展している。
 長浜功勇読谷村建設経済部長は、「紅イモの特産品化は村の産業振興、雇用創出、さらには観光振興にも貢献している。今後とも産地ブランド化を進め、本土への移出にも力を入れていきたい」と語っており、いまは本土では限られたところでしか手に入らない紅イモ商品が全国各地に出回る日も近い。

「たんけん」より
 

大城 朝次郎(おおしろ・ちょうじろう)
琉球新報記者を経て、現在フリージャーナリスト。沖縄県出身。
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