【趣の庭】四季三昧
2013.7.31

takonosuke's natural life

夏草は「夢のあと」ではなく恐怖なのです


樋口 正博

春先、まだ雑草がそんなにないころの庭。古レンガでエントランスを作って周囲に西洋芝の種をまいた。アーチにはバラを絡ませた。奥の機械は電動草刈り機。

■ふたつの庭に悩みは深し

 隠居はタコの介のかねてからの夢でした。。なんという甘美なことばだろう。去年還暦を迎えたタコの介はいま、そんな生活にじわりじわりと迫っています。晴耕雨読。晴れた日は庭や畑仕事。雨が降ったら読書三昧。たまに原稿書き。
 ところが現実は厳しい。ふたつの庭はいまとんでもないことになってます。夏草がはびこってるのです。
 信州・塩尻の実家、そして家族がいる東京・立川。その両方に庭があります。タコの介はこのふたつを行ったり来たりしているのですが、当然ながらどっちかは一週間以上不在になります。
 ということは、どちらか一方が放置されているわけで、いまの季節、夏草は元気元気。雨も適当に降っているので、ますます元気。
「夏草や兵どもが夢の跡」(芭蕉)
 と追憶に浸る夏草ではありません。もう、難敵というか凶器というか。いや、この強敵とまともに闘ったら敗北必至なのは分かっているのです。なんとかなだめる作戦をとっているのですが負け続け。


その庭があっというまに雑草に埋まった。芝も伸びてレンガが見えなくなった。

■草取りは自分の性格とのタタカイでもある

 さて、今回は立川の庭です。URの庭付き賃貸。真ん中にバラのアーチがあって、そのエントランスには古レンガが3列に敷き詰められてます。レンガは隙間があってそこに西洋芝が。みんなタコの介が汗水たらして作りました。
 草取りには性格がよく表れますね。カミさんがやると、徹底的に草を根っこから根絶します。地面に雑草一本残っていない。もともと完璧主義者なので、そりゃ見事なものです。
 でも、彼女にも欠点があって、やり出したらやるけど、なかなかやり出さないのです。だから、あんまり戦力にはならない。
 タコの介はというと、ほらご存じの通りB型ですから、すべてにいいかげんです。草取りは最初から及び腰。地面にピタっとしゃがみ込んでひたすら雑草と格闘するなんて、とても無理無理。ちょっとやっては腰を伸ばして「うー」って唸ってはその腰から剪定バサミを取り出して近くのバラの枝を切り出したりします。
 つぎに草と格闘するのは30分後。だから、なかなか仕事がはかどりません。草の取り方もいいかげんなので、まばらに雑草が残っていたりします。
「あーあ、せっかく草取りをしてくれるのはいいけど、そのやり方だと一週間でまた草だらけよ」
 とカミさんが呆れてます。涼しい部屋から窓を開けて。いや、そこじゃなくて、庭で一緒にやろうよ。
 庭はヤブ蚊の主戦場です。そのため、庭に出るときは完全装備。長袖のシャツ。長ズボンに長靴。ネット付きのハット。手には軍手。腰には剪定バサミをセットしたベルト。そのベルトには蚊取り線香もぶら下がってます。
 この装備で庭仕事をすると10分間で全身汗みずくになります。目はチカチカしてネットを伝わって汗が流れていきます。真夏の庭作業は熱中症とのタタカイでもあって、還暦のタコの介にはとても過酷なのです。
 そんなわけで、現在の立川の庭の使用前、使用後をどぞ。
 春先、まだ草が少ないころは、「庭の雑草図鑑」を作ろうなんて、のんきなことを考えてました。まったくノー天気なものです。


半日の汗まみれの成果。ふー。シャワーを浴びてビールだッ!


 メヒシバ君もやっかい君である。雑草の名に恥じずしぶとい。
しぶといというのは雑草の正しい姿ではあるが、タコの介はやはり憎らしくなってしまう。ギザ付きの小さな草刈り鎌で「この、この、このー!」と土ごと根っこを削り取っていくのだ。
 カタバミには複雑な思いがある。とにかく執拗にはびこる雑草だ。
バラの鉢にも平気で生えてくる。やっかいなのはランナーを伸ばし根を深く張るので、完璧に抜き取るのに苦労することだ。だが、よく見るとかわいいやつである。葉はハートを3つくっつけた形。花も黄色の5弁でかわいい。オキザリスという園芸種のカタバミの仲間があるのもうなずける。
 カタバミは戦国の武将で、四国を制覇した長宗我部家の家紋でもある。長宗我部家の末裔で「そら飛ぶ庭」の主催者である長宗我部友親さんはタコの介の友人で句会の仲間である。タコの介は彼を殿と読んでいる。
 その殿によると、長宗我部家の家紋をカタバミにしたのは「絶対に絶えない強さがある」からだという。やっぱり、手に負えない雑草だわ。


                                                                                   

樋口 正博 (ひぐち・まさひろ)
1952年、長野県生まれ。
釣り専門誌の編集長を経てEditor&Writer。へら師にしてフライフィッシャーマン。そしてパラ愛好家。庭、釣り、農、酒を通して社会を見つめている。通称「タコの介」。Twitterのアカウント@takonosuke7
 
 
 


トップページ会社紹介著作権についてお問い合せ
Copyright (c) Flying Garden Rights Reserved.