【緑の庭】牧野植物園便り

2010.9.27  

Makino Botanical Garden News


ベルベットのような感触の紫の花

牧野博士と高知を結ぶ

夏井 操


ビロードムラサキの花


ビロードムラサキ

 牧野植物園がある五台山は、歴史と景勝の地として親しまれている。そこに牧野植物園があります。

■学名が「高知」

 高知市の南に位置する標高146mのこの山に牧野富太郎博士は若いころから何度も採集に訪れています。東京大学植物学教室の初代教授、矢田部良吉とも一緒にこの五台山でも調査をしています。というのも五台山には珍しい植物が多く見られ、中でもビロードムラサキはここ五台山においても標本が採集され、学名にも「高知」との名がつけられた植物です。


牧野博士が五台山で採集したビロードムラサキの標本
(高知県立牧野植物園標本室蔵)

■ムラサキシキブと同じ属の植物

 ビロードムラサキの学名はカリカルパ・コキアナ(Callicarpa kochiana Makino)。庭に植えられ、秋にみのる紫の実を観賞するムラサキシキブ(クマツヅラ科)と同じ属の植物です。
 花はムラサキシキブより大形で淡い紫、長めの雄しべが突き出して、さらに大きく見えます。葉には細かな毛が生えているため、ベルベットのような感触があります(ベルベットは英語で、ビロードはポルトガル語です)。
 ムラサキシキブは紫色の実を観賞しますが、ビロードムラサキの実は白くて目立たず、むしろ花の方が美しいでしょう。 


葉の拡大写真。星状毛と呼ばれる毛が密に生える

■植物園を造るなら五台山

 牧野博士は1885年(明治18年)に五台山で採集したものを標本にしており、ロシアの植物学者マキシモビッチにそれを送っています。当初、博士はカリカルパ・トメントーサ(Callicarpa tomentosa Willd.)と考え、1888年に新和名「ビロードムラサキ」をつけて報告しました。しかしその後の研究で新種であることが判り、1914年(大正3年)「kochiana」という種名を命名したのでした。
 故郷の高知を遠く離れ、東京都にお住まいだった博士は晩年、「植物園を作るやったら五台山がえい」と言われました。風光明美で市街地からもほど近いといった理由もありますが、ビロードムラサキが博士と現在の牧野植物園を結んでくれたのかもしれません。  


園内連絡道のビロードムラサキ

▼インフォメーション

 ■次回企画展予告
・10月23日(土)〜2011年2月13日(日)/企画展「樹と言展」
http://www.makino.or.jp/update/kitokotoba-top.html

■牧野植物園 秋冬の催し
・11月5日(金)〜7日(日)/カンラン展
・11月13日(土)・14日(日)/景道展
・11月20日(土)・21日(日)/野点と秋の野の花観察会
・11月20日(土)〜28日(日)/菊花展
・12月11日(土)〜25日(土)/温室クリスマスイベント
高知県立牧野植物園

 牧野植物園は、高知県が生んだ植物学者・牧野富太郎博士の業績を顕彰する施設として、昭和33年(1958)に、高知市五台山に開園した施設です。平成11年11月には「牧野富太郎記念館」が開館しています。
 園内には博士を生む土壌となった高知県の植物を中心に、博士ゆかりの植物など約3,000種が四季を彩られています。
 また、植物園機能とあわせて、貴重な資料を紹介する展示、研究、生涯学習の場を提供する施設などを収めた博物館が同居する総合施設は、国内では他に例がないと思われます。さらに、景観に配慮した環境保全型建築の方向性を示す優れた建築物として全国的な評価を受け、第13回村野藤吾賞をはじめ数々の賞を受けています。

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