【緑の庭】牧野植物園便り

2010.8.16  

Makino Botanical Garden News


夕方から咲乱れるマツヨイグサ

夜、蛾が花の媒酌を


牧野博士がその様を表現

夏井 操
 


パラグアイオニバス

■夜の植物園10回も続く

 高知県立牧野植物園の夏のイベント「夜の植物園」は今年で10回目を迎えます。
 この催しは、最初は植物園の温室で閉園後、夜になってから見事に開花するパラグアイオニバスをお客さまに見ていただきたくて始めました。
 それが、もう10回も続いているのですが、今年はカラスウリやイランイラン、ヤコウボクなど多彩な夜咲く花たちがご覧いただけます。


カラスウリ

■夜行性の動物が受粉を

 植物の中には、昼間と姿が変わらないものと、昼に花や葉が開いて夜閉じるもの、昼閉じていて夜開くものがあり、夜咲く花々は夜行性の動物に花粉を運んで受粉してもらうため暗くなりころから咲き始めます。動物といっても受粉のメインになるのは昆虫。甲虫や蛾が、気温が高い夏の夜に活発に活動します。


イランイラン

■月華の流るるがごとし

 牧野博士の記述(大正12年)を読むと、夜咲きほこるマツヨイグサの様子がいきいきと表現されています。
 「夕方にたくさん咲いた様は、あたかも月華の流るるがごとし…(中略)花が開き、かつ香りを漂わせば(中略)蛾が得意げに花間を飛び回り駆け回り、出雲の神様の役目をつとめ、一場所で何十組の結婚が行われ、これが毎晩続くのである。おめでたいことである。そしてこの媒酌者へのお礼はあらかじめ備えられたる花中の蜜だ。さあ、それからできることできること、その子(種子)がウヨウヨと育ち、日ならずしてその家(果実)から生まれ出て地上へ散落する…」「明治17、8年ごろには東京ではただわずかに品川辺の鉄道の土手に少々あったくらいであったが、今は日本国中に広まり諸所で見受けるようになった」と博士は続けます。


コマツヨイグサ

■日本には江戸時代に入る

 アカバナ科のマツヨイグサは、北米の荒れ地に生える夜咲き植物。日本には江戸時代に導入され、鉢植えで育てられていましたが、日本の環境に適応し、今や至る所で見られる帰化植物になりました。マツヨイグサは花粉の運搬係として蛾をターゲットにしぼっています。
 ストロー状の口に合った細長い筒状の花の奥に蜜を隠し、見つかりやすい淡い黄色の花を咲かせ、甘い香りで蛾を呼び寄せます。花粉はつるつると糸を引くようにつながって蛾の体にまとわりつき、蛾が花から花へと飛ぶたびに花粉は次の花へと運ばれるのです。


メマツヨイグサ


メマツヨイグサ

■コウモリが媒体

 日本ではスズメガなど蛾が媒体する夜咲き植物が多いですが、熱帯にはコウモリが媒体するサボテンがあり、また先に述べたパラグアイオニバスは甲虫が花粉を運びます。牧野植物園の「夜の植物園」、夜の植物ガイドツアーで実際に職員と園内を歩いて、夜花ひらく植物たちの生態を垣間見ていただきたいと思います。


ガイドツアー

▼インフォメーション

■夜の植物園 開催!

8月14日(土)・15日(日)・21日(土)・22日(日)
http://www.makino.or.jp/update/2010-yoru.html


■企画展も開催中!

 「牧野植物園 研究活動展−植物研究がもたらす豊かな暮らし」〜9月5日(日)まで

 牧野植物園では、1999年のリニューアル以来、わたしたちの生活に欠かせない植物 について、植物分類学と有用(薬学)植物学の2つの視点で新たな植物の利用の可能性を探ってきました。わたしたちの暮らしを豊かにする牧野植物園の10年の植物研究 活動や成果を紹介します。
 詳しくは、ホームページをご覧ください。
高知県立牧野植物園

 牧野植物園は、高知県が生んだ植物学者・牧野富太郎博士の業績を顕彰する施設として、昭和33年(1958)に、高知市五台山に開園した施設です。平成11年11月には「牧野富太郎記念館」が開館しています。
 園内には博士を生む土壌となった高知県の植物を中心に、博士ゆかりの植物など約3,000種が四季を彩られています。
 また、植物園機能とあわせて、貴重な資料を紹介する展示、研究、生涯学習の場を提供する施設などを収めた博物館が同居する総合施設は、国内では他に例がないと思われます。さらに、景観に配慮した環境保全型建築の方向性を示す優れた建築物として全国的な評価を受け、第13回村野藤吾賞をはじめ数々の賞を受けています。

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