【緑の庭】牧野植物園便り

2010.6.21  

Makino Botanical Garden News


牧野博士が発見したヨコグラノキが今も元気に

梅雨時に黄色い小粒の花を咲かせる

夏井 操


(ヨコグラノキ)

■長野から来たお客様

 牧野博士の紹介をしている展示館の周辺に、ヨコグラノキBerchemiella berchemiaefolia(Makino) Nakaiの黄色い小粒の花がたくさん咲きました。
ヨコグラノキの花を見て、長野からいらしたお客様が「うちの近くにも咲くのよ」といわれました。西のものだとばかり思っていた私は、じゃあ、どのあたりまで分布するのか、と気になってきました。調べてみると、宮城県を北限に、本州、四国、九州に点在するのだそうで、宮城県の自生地は国の天然記念物に指定されています。


(ヨコグラノキ)

■山の名前をそのままつける

 1884(明治17)年秋、高知県高岡郡越知町横倉山で、23歳の牧野博士はこの木を見つけました。横倉山は博士が好んで登った山で、5年後にコオロギランを発見した山でもあります(牧野植物園便りvol.15で紹介)。
 その後1895年、山の名前をそのまま冠した和名「ヨコグラノキ」を新称として発表、またその3年後の1898年には新学名を発表しました。当時はよく似た植物、ネコノチチと同属として発表されましたが、現在はクロウメモドキ科ヨコグラノキ属のヨコグラノキ、1属1種とされています。


■再開の記念に手折られる

 1934(昭和9)年土佐博物学会に招聘され、再び横倉山を訪れた博士は73歳でした。1935年発行の博物会報第3号によると、「一層深い懐かしさをお感じになられたのか、しばし感慨無量の様伺われた。記念に一枝と梢の方をロープでひかえて手折られて、胴乱に収め」とあります。
 「馬鹿試し」と呼ばれる崖のそば。横倉宮の裏手に、牧野博士がまさに発見したそのヨコグラノキが今もあります。幹周りは165cm、樹齢154年だそうで、高知県下最大の老株です。台風で樹冠を失い、石灰岩に寄り添うように佇むこの老株が、これからも牧野博士を偲ぶ人たちのシンボルであるよう、願うばかりです。
 

(ヤマアジサイ)

(南園鑑賞棚)


▼インフォメーション

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オープニング記念 
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(みどり)の宝石箱 −発見と感動、熱帯の旅へ
開催期間/開催中 〜 6月27日(日) 新温室にて開催中

■企画展も開催中!
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牧野植物園では、1999年のリニューアル以来、わたしたちの生活に欠かせない植物 について、植物分類学と有用(薬学)植物学の2つの視点で新たな植物の利用の可能性を探ってきました。わたしたちの暮らしを豊かにする牧野植物園の10年の植物研究 活動や成果を紹介します。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
高知県立牧野植物園

 牧野植物園は、高知県が生んだ植物学者・牧野富太郎博士の業績を顕彰する施設として、昭和33年(1958)に、高知市五台山に開園した施設です。平成11年11月には「牧野富太郎記念館」が開館しています。
 園内には博士を生む土壌となった高知県の植物を中心に、博士ゆかりの植物など約3,000種が四季を彩られています。
 また、植物園機能とあわせて、貴重な資料を紹介する展示、研究、生涯学習の場を提供する施設などを収めた博物館が同居する総合施設は、国内では他に例がないと思われます。さらに、景観に配慮した環境保全型建築の方向性を示す優れた建築物として全国的な評価を受け、第13回村野藤吾賞をはじめ数々の賞を受けています。

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