【緑の庭】牧野植物園便り

20105.17  

Makino Botanical Garden News


牧野博士も喫茶店で珈琲を楽しむ
コーヒー、紅茶、そしてマテと博士


夏井 操

植物分類学者、牧野富太郎はコーヒー、紅茶を好んだようです。日記には「本郷青木堂にてコーヒーを購ひ、帰宅す。」「銀座亀屋にてコーヒーなどを買い帰宅す。」地方の調査に赴いた時も「コーヒーを呑みに行く。」などとあり、また博士の蔵書の中には『喫茶とケーキ通』(昭和6)などのツウ本が見られます。


(コーヒーノキ)

■大学帰りにコーヒーを買う

 明治後半にはコーヒーは一般的になっていたようで、大学の帰りにコーヒーを買いに店による博士の姿が目に浮かびます。
 コーヒーは、アカネ科コーヒーノキ属の植物の種子が原料です。アフリカとアジアの熱帯に約40種分布しており、アラビアコーヒーノキCoffea arabica、コーヒーノキCoffea robustaなどが世界中で栽培されています。
 日本茶や紅茶、烏龍茶の原料はツバキ科のチャノキCamellia sinensisの若い芽です。チャノキの利用は温帯照葉樹林帯の文化ですので、熱帯の南米ではビタミンやミネラルを多く含むモチノキ科のマテIlex paraguariensisという植物を乾燥させ、湯をそそいでお茶として飲みます。


(マテ)

■マテ茶が気に入らなかった博士

 4月24日にオープンした牧野植物園の新温室では、2棟からなる室内を、8つのテーマに分けて植物を植栽展示しています。コーヒーノキやマテは暮らしに役立つ資源植物。実際はどんな植物であるかを、熱帯を旅する雰囲気で見ることができます。来園者の皆さんには、パラグアイオニバスの葉を裏から見たり、展望デッキから10mのヒカゲヘゴを上から見たり、魚や鳥の目になって植物の新しい魅力を発見していただきたいものです。


(パラグアイオニバスの葉の裏)


(ヒカゲヘゴ)

(牧野植物園新温室展望デッキ)


   さて、植物に関わることならなんでも興味を示した牧野博士は、銀座のデパートでマテ茶を見つけ、試しに飲んでみました。
 「ズット以前に(中略)試みに買ひ求めて来て飲んで見たが、至ってまずかった事を今以て覚えて居る、それから後はこのマテ茶は来ないようだ。日本には紅茶が在り、緑茶が在り、珈琲が在るので、最早や、其味のまずい、マテ茶は入用は無い、近来又彼のアッサム茶も流行り出さうと為ている矢先きだから、益々以て、其の味のまずい此マテ茶には入用は無い。」(『牧野植物一家言』北隆館、昭和31年)
 いえいえ、博士、インターネットのこの時代、「飲むサラダ」と言われているマテ茶は健康食品として注目を集めていますよ。…それにしてもよっぽどお口に合わなかったのですね。


(新温室春のようす)


(ウォーターガーデン)

▼インフォメーション

 ■高知県立牧野植物園 4月24日新温室オープン!
オープニング記念 
「土佐・龍馬であい博」連携イベント 誕生!
(みどり)の宝石箱 −発見と感動、熱帯の旅へ
開催期間/開催中 〜 6月27日(日) 新温室にて開催中

■企画展も開催中!
 「牧野植物園 研究活動展−植物研究がもたらす豊かな暮らし」〜9月5日(日)まで
牧野植物園では、1999年のリニューアル以来、わたしたちの生活に欠かせない植物 について、植物分類学と有用(薬学)植物学の2つの視点で新たな植物の利用の可能性を探ってきました。わたしたちの暮らしを豊かにする牧野植物園の10年の植物研究 活動や成果を紹介します。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
高知県立牧野植物園

 牧野植物園は、高知県が生んだ植物学者・牧野富太郎博士の業績を顕彰する施設として、昭和33年(1958)に、高知市五台山に開園した施設です。平成11年11月には「牧野富太郎記念館」が開館しています。
 園内には博士を生む土壌となった高知県の植物を中心に、博士ゆかりの植物など約3,000種が四季を彩られています。
 また、植物園機能とあわせて、貴重な資料を紹介する展示、研究、生涯学習の場を提供する施設などを収めた博物館が同居する総合施設は、国内では他に例がないと思われます。さらに、景観に配慮した環境保全型建築の方向性を示す優れた建築物として全国的な評価を受け、第13回村野藤吾賞をはじめ数々の賞を受けています。

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